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空のそら|長編小説

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【長編小説】 初恋は実らないとひとはいう。 だれかを想うということを知った、少年少女の不器用だけど純粋な、そして切ない恋のおはなし。
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空のそら|第1章|長編小説

空のそら|第1章|長編小説

~~ 空から君がふってきた ~~
ぼくじゃだめかな?
それならいっそ、ぼくのせいで
君が、幸せになってしまえばいい
誰かを想うということを知った
不器用だけど純粋な、ぼくたちの本気

第1章…01

 五月のよく晴れた日曜日。俺、久我隼斗は、母校である小学校の運動会にやってきていた。
 とくに知り合いがいる訳でもなければ、運動会そのものに関心があるわけでもない。正直をいうならば黄色いその声援も

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空のそら|第2章|長編小説

空のそら|第2章|長編小説

第2章…01

 いつものように、皐月のベルが私を呼んだ。彼女がいつ来ても飛びだせるように、着替えならとっくに済ませている。素早く立ちあがり荷物をもつと、いっきに階段を駆けおりる。
 階下で仕事をしていた母が、そんな私の姿をとらえ手をとめた。こちらへ歩きながら、どこへ行くのかと問うている。遊びにいくとだけ言葉をかえし、私はそのまま外にとびだした。
 足を止めまともに向きあえば、母のお小言に付きあわ

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空のそら|第3章|長編小説

空のそら|第3章|長編小説

第3章…01

 二学年になり、北校舎へと移ったわたしたち。本校舎とのあいだに中庭をはさんでいるこの校舎は、四階建てのおおきな建物だ。その三階と四階が、二学年が使用するおもなスペースとなっている。
 新校舎といわれるだけあって、建物自体はとてもきれいで広々としている。ただ悲しいことにこの校舎には、屋上へつづく階段というものがないのだ。
 一年の校舎へいくわけにもいかず、しかたなく毎日を教室ですごし

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空のそら|第4章|長編小説

空のそら|第4章|長編小説

第4章…01

 放課後のくつばこで石川たちに声をかけられ、案内したい場所があるとつげられた。ついて来るかこないかと問われ、ふたつ返事で行くとこたえる。
 ふたたび行き場をなくしてしまっていたわたしたち、そこがどんな場所であろうとかまいはしない。ためらうことなく、彼らのあとをついていく。
 大通りをさけるかのように、ふだんは通らない住宅地のなかをひたすらあるく。もうずいぶんと歩いたように思い「まだ

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空のそら|最終章|長編小説

空のそら|最終章|長編小説

最終章…01

 二ヶ月ほどまえのことだろうか、少年学院を仮退院したおれは、横浜にうつり住んでいた。院指定の会社に就職をして、そこの社長の監視のもとで保護観察の身として働いている。
 そんな社長のもとに、とつぜん矢野からの連絡がはいった。地元中学の卒業証書、それを授与したいという内容だった。
 社長からの報告をうけたおれは、とくにうけとりたいという意思はないと返答した。母親にでも渡しておいてくれれ

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