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「出版社のガキと食材・スーパー」

 今日から食材が送られてくる日になった。
 
 これで駅前の大型スーパーで好きなものをカゴに放り込む時代は終わったのである。
 
 妻が言うには「サイコロステーキ」が送られてくるそうだ。
 
 どんな肉なのであろうか?
 
 生協のようなところなのだろう。
 わたしは、「サイコロステーキ」」は子供や犬が食べるものだと思っているので歓迎しない。
 
 G7サミットで小泉純一郎が総理の時、フランスの大統領と夕食会があったそうだ。そのとき出されたのが「サイコロステーキ」だ。シラク大統領は偉く「サイコロステーキ」をお気に召し、お代わりまでしたそうだ。
 
 お代わりをしたとき、小泉総理は今だ!!と思ったそうだ。
 
 中々フランスが受け入れてくれない議題があったそうだ。しかし、「サイコロステーキ」を召し上がっているにこやかな顔を出して、小泉氏が難しい議題について話すと、「サイコロステーキ」をほおばりながら、「いいよ」と承諾してくれたそうである。
 
 当時の日本の大臣たちは、「サイコロステーキ」様様だったそうである。
 
 わたしは、騙されはしない。
 

 「サイコロステーキ」より、220円のコンビーフくんとお鮨の握り、かつ重が好きだからである。
 
 妻が言うには生野菜はついてこないそうである。
 
 がっかりである。
 
 妻は、生野菜がなくてもしろごはんがあるでしょう、という。
 野菜とごはんは、比べるものなのか、ふと思った。
 
 わたしが、不服そうにしていると、足りない分はスーパーで買いましょう、という。
 
 「やったー!」である。
 お茶・コーラ・アイスコーヒー・とうもろこし・コンビーフくん、かつ重・お鮨の握り・ポテトチップス・カップラーメンを買うつもりでいる。
 
 これでは、せっかく我が家へやって来た「サイコロステーキ」くんの出番はないかもしれない。
 
 おい、サイコロステーキくん、君は残念なことに我が家では嫌われたんだよ、お隣さんにもらわれていくか???
 

 以前、「note」に書いたことだが、1日7記事くらいユーモア・エッセイや創作を「アメブロ」で書いていたら、参加して二か月目くらいに、「ギャラクシー」という五流の出版社からメールが来て、出版のことで話をしたいから、ズームができないかと言ってきた、お時間は1時間半位です、と言ってきた。

 妻は結構、鋭い。その分、わたしは、世の中に疎い。

 だから、妻が、あなたひとりじゃどういう話になるかわからないじゃない、わたしが、その場を仕切るからと言う、どうぞどうぞ!いやほど仕切ってくださいである。

 さらに妻は、あなたじゃ、緊張しすぎて肝心なことを聞くのを忘れていたり、お話さえうるおぼえじゃない、と厳しくきつくいう。お好きにしてくださいと言うしかない。
 
 その日がやってくるまで、わしは、アメブロで喜々として喜んだ。
 「わたしは、作家になる、君たちとはレベルが違うんだよ」
 「わたしは、一流作家、君たちはサル並みの底辺」
 「みんな、応援ありがとう、作家になります」
 「ありがとう、サイン会にはきてね」
など、いろいろなことをブログに書き、喜びをわかちあった。

 実際、そこの出版社の人と会うと、30代くらいのガキだった。
 
 小太りでドラえもんに出て来るジャイアンに似た体形であった。
 
 妻が、なに、この人、若い人ね、話も容量をえないわね、とご立腹であった。
 
 妻が、ジャイアンにどうしたいのですか?彼に何を書いてほしいのですか?と、豪速球で聴いて来た。剛速球過ぎて、ジャイアンは後ろ向きに倒れそうであったが、何とか耐え抜いていた。
 
 そのガキは、真面目に「アブノーマルな世界」について書いてほしいのですと言ってきた。
 
 なんだ、なんだ、官能小説を書けと言うのか?おいおい、いぇめーぇーよーと内心、殴りにかかったがこらえた。
 
 妻は、冷静にわかりましたが、いくら支払っていただけるのですか?と変化球で、料金を聞いているではないか。
 
 ガキは、わらってごまかしていた。
 
 妻の迎撃ミサイルが何発もガキめがけて飛んだ!
 
ガキは、「自費出版」ということでと、突飛なことを言う。
 
 妻は、いくら欲しいのよ!!
と、語気を強くしていった。
 
 ガキは、お値段は言わない。妻が、50万から100万がお宅じゃ相場ね、というと、まあそういうことで!!とごまかそうとする。
 
 この話が、予定では1時間30分、つまり、90ぷんかかるはずなのに12分ほどで終わっている。
 何だ、お金が欲しいのか? 原稿はほしくないのか、と、わたしは大きくため息をした。
 
 さらにガキは、アメブロにうちの出版社を悪く書いてほしくないと、すごく遠回しに言っていたことを覚えている。
 
 それに対して、わたしは、言論の自由ですよ、憲法で保障されていますよね、と言ったら、また腹を抱えて笑ってごまかしていたが、彼の目はわらっていなかった。愚鈍な目をしていた。

 後は、このお二人で仲良く時間まで話していたみたいだ。


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