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ルソー『社会契約論』を読む

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過去に執筆した記事のうち、『社会契約論』の紹介をした記事がまとめてあります。
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ルソー『社会契約論』を読む(10)

ルソー『社会契約論』を読む(10)

 ついに10回目になったこの連載記事も、おかげさまで大変評判がよく、ありがたい限りです。いつも読んでくださって本当にありがとうございます。特に、前回の第9回は、とても難しい内容でした。今回以降も、何とか頑張ってついてきてくださいね。(他力本願)

 今回は、第三篇第三章以降を扱います。

政府の分類 ルソーは、政府の形態を、民主政、貴族政、君主政(王政)の三つに分類します。以下に、定義を列挙します

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美しきルソー

美しきルソー

 前回の記事で、『社会契約論』第二篇第十一章が「美しい」という話をしました。今回は、なぜあの引用箇所が「美しい」のか、を見ていくことにします。

前回の記事はこちら

 というのも、前回、

と言ってルソーの引用をしたのですが、その引用直後に、

とまさかの「説明なし」のまま、ただ美しさを讃美するだけで終わっていたからなのです。今回は、しっかり説明します。

美しいルソーの文章・・・ね。美しいでし

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ルソー『社会契約論』を読む(8)

ルソー『社会契約論』を読む(8)

 今回は第二篇第十一章から。

第十一章 立法のさまざまな体系について ルソーの『社会契約論』を解説するこのシリーズ。・・・ですが、この章だけは解説しません!!

 この章は、解説してはいけないのです。(なんでやねん)

 そう、あまりにも美しい文章なのです。だから、私の拙い解説は「邪魔」です。彼の文章の美しさに、私の解説を釣合わせることは到底できません。ということで、ぜひここだけでもいいので、『

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ルソー『社会契約論』を読む(5)

ルソー『社会契約論』を読む(5)

 前回の記事では、以下の2点が明らかにされました。

今回は、この二つをふまえてさらに明らかになることを、まずはじめに紹介することから始めます。

一般意志は常に正しい しかし、ここにはある問題があります。その問題とは、たとえ一般意志が常に正しいとしても、人民の議決が常に同じように公正であるということにはならない、という問題です。なぜ、このような矛盾が起こるのでしょうか。それは、「人はつねに自分の

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