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【後編】免疫とは?免疫細胞の種類や仕組みをわかりやすく解説

「免疫ってそもそも何?」
「どういう仕組で免疫は働いているの?」

私たちの体を外的から守ってくれる免疫。さまざまな感染症が流行するなか、免疫について興味をもっている方も多いのではないでしょうか。

「一度かかったらもう二度とかからない」といわれる感染症があるのは、免疫がしっかりと働いているためです。今回は、私たちの体が免疫によってどのように守られているのか、数多くある免疫細胞がそれぞれどのような働きをしているのかについて詳しく解説します。

前編はこちら:https://editor.note.com/notes/n186610d7a8b2/edit/

免疫系が働く流れ

免疫系はいくつもの細胞が複雑に絡み合うことで働いています。簡単にではありますが、ざっくりと免疫系がどのように働いていくのかを見ていきましょう。

マクロファージや樹状細胞が異物を取り込む

樹状細胞もマクロファージと同じく異物を食べる働きがあります。その情報をT細胞に伝えるだけでなく同時に活性化することが大きな違いです。

NK細胞が病原体を攻撃する

NK細胞は、マクロファージが異物を食べてヘルパーT細胞に情報を伝えるのを待つことなく単独で働きます。異物を見つけると即座に自分の判断で攻撃できるのです。

キラーT細胞が病原体を攻撃する

マクロファージから病原体の情報を貰ったヘルパーT細胞は、キラーT細胞に「病原体を攻撃するように」と指示を出します。キラーT細胞はNK細胞と違って、指示がないと攻撃ができません。

B細胞が抗体を産生して病原体を攻撃する

体内に侵入してきた異物が病原体だった場合、B細胞は形質細胞へと変化して抗体を作ります。抗体とは、病原体を体から排除するための物質です。病原体に特異的な抗体を作ることで効率よく攻撃していき、体内から排除していきます。

そもそもウイルスや細菌はどこから体内に侵入するの?

ウイルスや細菌は、鼻や口、目などから侵入します。ウイルスや細菌は目に見えないほど小さなものです。ウイルスは0.1μm、細菌は1μmほどしかありません。1μmとは0.001mmのこと。ウイルスや細菌はとにかく小さいことがわかるでしょう。

これだけ小さいため、体内に侵入したとしても気づくことはできません。感染経路は、咳やくしゃみなどによる飛沫感染、感染した人が触れたものからうつる接触感染、汚染された食品を食べることによる経口感染などがあります。

ワクチンで免疫を獲得できる仕組み

ワクチンは私たちの獲得免疫の仕組みをうまく利用したものです。ワクチンを摂取することで病気になりにくくなったり、発症しても軽症で済んだりします。これは、ワクチンによって体に抗体ができるためです。

ワクチンは病原体を弱毒化したり不活化したりしたものを使っています。病原体そのものを摂取するわけではないので、感染することはありません。本来なら感染しないと抗体は作られませんが、ワクチンを摂取することで感染することなく抗体を作って病原体の侵入に備えられるようになります。

免疫機能が関係している疾患もある

免疫は基本的に私たちの体を病原体から守ってくれる優れものです。しかし、時にこの免疫機能が原因で疾患を発症することがあります。

アレルギー・花粉症

代表的なのがアレルギーや花粉症です。目や鼻から入ってきたアレルゲンに免疫機能が反応し、少しずつ抗体が作られていきます。抗体がある量を超えるとアレルギー反応を引き起こすヒスタミンなどの物質が分泌され、くしゃみや鼻水などの症状を引き起こすのです。

自己免疫疾患

自己免疫疾患とは、本来なら病原体にしか反応しない免疫機能が自分自身を攻撃することで起こります。バセドウ病や関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどが代表的な自己免疫疾患です。免疫を抑える薬などによって治療していきます。

では、最後に免疫に関してよく聞かれる質問に回答していきましょう。

獲得免疫があれば二度と感染しませんか?

獲得免疫があったとしても、病原体の種類によっては再び感染することがあります。病原体の特徴を記憶しづらいケースがあること、ウイルスが形を変えることがあるためです。

免疫があれば周りに感染症をうつすことはありませんか?

免疫があれば周りにうつす可能性は低いと考えられますが、ゼロとは言い切れません。感染を広げないような行動を心がけましょう。

腸と免疫にはどのような関係があるのですか?

免疫細胞の約7割は腸に存在しているといわれています。そのため、腸内環境を整えることが免疫機能をよくするために大切だといわれているのです。

まとめ

免疫により私たちの体は外敵から守られています。マクロファージやヘルパーT細胞、NK細胞などさまざまな免疫細胞が働いてくれているおかげです。

もともと備わっている自然免疫のほか、病原体の特徴を記憶しておくことで再感染した場合に即座に対応できる獲得免疫により外的から守っています。疲れやストレスによって免疫機能の低下を招くことがあるので、体をしっかり休めて感染症の対策を行うようにしましょう。