マガジンのカバー画像

極楽浄土は何処にある

23
決してふつうにはなれない性自認やフェティシズム、執着、書く事などについて終わりなく考え続ける煩悩まみれ私小説的七割ぐらいはフィクションエッセイ
運営しているクリエイター

#コンテンツ会議

#今年のベスト音楽 を選ぶのをやめた

#今年のベスト音楽 を選ぶのをやめた

毎年なんとなく選んでTwitterやブログなんかで発表している“今年のベスト楽曲/アルバム”を選ぶのをやめた。元々選んでいない年もあったり、良作揃いで決めあぐねているうちに年を跨いでしまったりすることも少なくなかったけれど、2022年分から本格的にやめた。自分も曲がりなりにも音楽ライターとしての活動を執筆業の主としているわけだし、本当はなにかしらのアクションをすべきなのだろうけれど、これからは年末

もっとみる
“Dannie May”という“人物”と、その“人生”を想うーEP『五行』、恵比寿リキッドワンマンを経て

“Dannie May”という“人物”と、その“人生”を想うーEP『五行』、恵比寿リキッドワンマンを経て

■「何物でもない何か」

一番最初に読んだインタビューで、バンド名の由来を聞かれたリーダーが答えたのはこんな言葉。言いたいことはわかるけれどその不思議な由来に、「なんやねん???」と思ったのはまだ記憶に新しい。僕がDannie Mayを知ったのは2年前の2020年、流行り病がこんなにも長い間僕たちの生活に影を落とすだなんて思ってもいなかったし、初めて拝見したライブ終わりに挨拶させてもらった3人はマ

もっとみる
「音楽は世界を救う」のかーMrs. GREEN APPLEと令和4年

「音楽は世界を救う」のかーMrs. GREEN APPLEと令和4年

■ヒットチャートを賑わせる恋や愛の傍らで

今日もヒットチャートはたくさんの恋や愛で溢れている。
アイドルの歌う明るくて甘酸っぱいラブソングに留まらず、若者の間で売れっ子のミュージシャンがヒットを飛ばす曲も大体がラブソングだ。カップルの素朴でささやかな幸せを歌った流行りの恋愛ソングもそうだし、身を切るような切ない失恋の歌もそう。いつの時代も、演歌や歌謡曲の時代だって、無数の恋人たちの日々をいろいろ

もっとみる
「エモい」を解釈する4つの断章-カツセマサヒコ『明け方の若者たち』

「エモい」を解釈する4つの断章-カツセマサヒコ『明け方の若者たち』

■Attentionこれは今年6月に刊行されたカツセマサヒコ氏による小説『明け方の若者たち』について、自意識を拗らせながらいわゆるアラサーまで生き長らえてしまった人間が気紛れに書いた長文です。僕は氏の大ファンで、刊行が決まった際に氏が運営している彼氏面でメッセージを送ってくださる公式LINEに長文メッセージを送り付け、たったひとことの返信に泣いてしまったぐらいなので、この長文を読んでくださった奇特

もっとみる
地上の浄土と信仰のような何か-五月、Plastic Tree『doorAdore』東京公演を観に行った[3]

地上の浄土と信仰のような何か-五月、Plastic Tree『doorAdore』東京公演を観に行った[3]

([1]はこちら→地上の浄土と信仰のような何か[1])
([2]はこちら→地上の浄土と信仰のような何か[2])

プラのライブに行くようになってゆうに五年は超えた。四捨五入すれば十年ぐらいにはなるだろう。

それでも「来年しれっと二十五周年になる(by正さん)」彼等のロックバンドとしての人生の半分も知らない自分が彼等の成長や変化を語るのはおこがましい限りだが、僕がライブに行くようになった十年近く前

もっとみる
地上の浄土と信仰のような何か-五月、Plastic Tree『doorAdore』東京公演を観に行った[2]

地上の浄土と信仰のような何か-五月、Plastic Tree『doorAdore』東京公演を観に行った[2]

([1]はこちらから→地上の浄土と信仰のような何か-五月、Plastic Tree『doorAdore』東京公演を観に行った[1])

サブカル野郎としては憎たらしいぐらいベタに、僕は以下の街を愛好している。

下北沢、神保町、原宿、高円寺、そして中野。

いわゆるパワースポットと言うやつだ。

これらの街にはひとの思念が溢れかえっている感じがする。マニアックな個人経営のこじんまりとした雑貨屋、儲

もっとみる
地上の浄土と信仰のような何か-五月、Plastic Tree『doorAdore』東京公演を観に行った[1]

地上の浄土と信仰のような何か-五月、Plastic Tree『doorAdore』東京公演を観に行った[1]

仏教はもともとは何かに対する信仰という形すらない宗教であった。時代が下るにつれて開祖である仏陀、また経典に登場する諸仏や菩薩に対する信仰を帯びるようになるが、根本的には信仰対象に対する絶対服従を求める態度は持たない。
(Wikipediaより引用)

宗教の中では仏教が好きだ。

どのような信仰も宗教も思想も、誰かに迷惑をかけるような事さえなければ自由に尊重されるのが真の民主主義なのだろうと思うの

もっとみる
“絆と言う呪い”を肯定せよ-2017年9月KEYTALK横浜アリーナ公演を追懐して [3]

“絆と言う呪い”を肯定せよ-2017年9月KEYTALK横浜アリーナ公演を追懐して [3]

([1]はこちらから→“絆と言う呪い”を肯定せよ-2017年9月KEYTALK横浜アリーナ公演を追懐して [1])
([2]はこちらから→“絆と言う呪い”を肯定せよ-2017年9月KEYTALK横浜アリーナ公演を追懐して [2])

僕は別に現実主義者でもなんでもないしがない夢追い人なのだが、永遠なんてものはないだろうと思っている。ひとはいつか死ぬのだ。ひとの「永遠」なんて、せいぜい百年かそこらだ

もっとみる
“絆と言う呪い”を肯定せよ-2017年9月KEYTALK横浜アリーナ公演を追懐して [2]

“絆と言う呪い”を肯定せよ-2017年9月KEYTALK横浜アリーナ公演を追懐して [2]

([1]はこちらから→“絆と言う呪い”を肯定せよ-2017年9月KEYTALK横浜アリーナ公演を追懐して [1])

会場が暗転した。この年にリリースされたシングル『Love me』をテクノ調にマッシュアップしたような出囃子と共にメンバーが現れる。アリーナ中央に建てられたお立ち台にスポットライトが四つ、人陰を映し出した。遂に来たのだ。この時が。

ライトに照らされたKEYTALKは伸び伸びと手を振

もっとみる
“絆と言う呪い”を肯定せよ-2017年9月KEYTALK横浜アリーナ公演を追懐して [1]

“絆と言う呪い”を肯定せよ-2017年9月KEYTALK横浜アリーナ公演を追懐して [1]

「絆」と言う言葉がこわい。

あーわかるわかる、わかるわーとお茶の間のわかり手の皆さんの優しい声が聞こえる。二十四時間テレビ的なアレでしょ?愛は地球を救う的なアレでしょ?正直ウッザイ、胡散臭さしか感じねえんだよなあ。
違う、そうじゃない。
いや、その気持ちもわかります。よーくわかります。僕だって二十四時間テレビなんか、小学生の時分から大好きな嵐がメインパーソナリティの回しか観た事ないぐらいああ言う

もっとみる