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誰かとかかわること。

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軋轢もあれば葛藤もある。 そんなときは、書いてみる。
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#人間関係

ふくらまぬ声。

ふくらまぬ声。

私の声はあまり通らないな、と思うことがある。

どこにも、声の大きな人というのはいて。
皆の話をひとところに制するエネルギーを持っている。
かと思えば、声はささやかなのに、すっと透る声でその場の空気をさらっていってしまう人もいる。
同じ内容を話していたとしても、そんな人たちは人より幾ばくか多くのプラス要素を受け取る才があるのではないか。
妬み僻みなんてものを超えて、これはもう生まれ持ったなにがしか

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omonpakaru

omonpakaru

考え過ぎだと指摘されることがある。
投げかけられた言葉を頭で追い、ひとつひとつ答えていると、相手は呆れるか、どうかすると苛立ちすら抱えていたりすることすらある。
多くの人はそれほど考えないのだろうか。
「人間は考える葦」と言った人もいるくらいだから、考えることは人として大いに活用すればいいと思う。
お金もかからないし、場所も取らない。

逆に、考えのない言葉を浴びせられることもままある。
その突き

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流れくる文字列

流れくる文字列

皆、忘れているのだろうかと思うことがある。
自分が発した言葉は、もしかしたらどこかで誰かを傷つけているかもしれないということを。

そこここにあるものはすべて、おおざっぱに分けて二通りの評価ができる。
有りか無しか。
良いか悪いか。
心地よいか、気持ち悪いか。
美しいか汚いか。
簡単か難しいか。
どれも相反するけれど、どちらも含まれている。
どちらを支持する比率が大きいかで、物事の価値はおよそ決ま

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消えない言葉。

消えない言葉。

学生の頃によく使った赤や緑の透明なシート。
参考書なんかに開いて乗せると、答えが消えるプラスチックのペラペラとした。
じつにシンプルな原理だけれど、よく考えたものだと思う。

同じ色を通して見れば、その先にあるものはまるで何もないかのように見える。
たとえどんなに嫌な言葉が書かれていたとしても、同じ色が重なれば、見えなくなる。
きっと、誰かが言ったことをその通りだということにしておけば、自分も書き

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雲で量る。

雲で量る。

なにかを決めるとき、必ずしも明確な理由があるとは限らない。
自分の足を踏み出すバロメーターが、黒と白の間で、ある一定濃度を超えるとイエスからノーに変化する。

その灰色加減は言葉にできないことも多い。
やむなく、「なんとなく」とか「あんまり」といったピンボケの表現で濁される。
ところがこの曖昧に見える拒否は、決して些細な拒否ではない。
見ないようにしていたり、気づいていなかったり。
明らかな理由で

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言いたいことは梱包済み。

言いたいことは梱包済み。

誰も悪くないけれど、結果的に誰かを悩ませてしまうことがある。
じつは悩んでいるのだと打ち明けられたとき、申し訳なさと、もっとはやく言ってくれたら、という気持ちで、なんともいえず恥ずかしくなる。
正直、自分にはどうしようもないことでも、先回りしてこちらから手を打たなかったことが非に思えてくるのである。
もちろん、そんなことは無理な話なのだけれど。

残念ながら人は多くの場合、言葉にしなければ誰かに自

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白湯

白湯

人の沸点を見極めることは難しい。
どんなに穏やかに見える人でも、じつは内心、はらわたが煮えくり返っているかもしれない。
沸点に到達したときに、その人がどんな形で怒りを表面化させるかも、それぞれ。

目に見えて形相が変わる人。
言葉尻が強くなる人。
急に無言になる人。
まったく、何も変わらない人。

また厄介なことに、そのエネルギーが向けられたとき、自分がそれを受け止めきれるとも限らない。
なぜ相手

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