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言いたいことは梱包済み。

誰も悪くないけれど、結果的に誰かを悩ませてしまうことがある。
じつは悩んでいるのだと打ち明けられたとき、申し訳なさと、もっとはやく言ってくれたら、という気持ちで、なんともいえず恥ずかしくなる。
正直、自分にはどうしようもないことでも、先回りしてこちらから手を打たなかったことが非に思えてくるのである。
もちろん、そんなことは無理な話なのだけれど。

残念ながら人は多くの場合、言葉にしなければ誰かに自らの真意を確信させることは難しい。
言葉を先延ばしにすればするほど、互いの意識のズレは水面下で広がっていく。

そのくせ、誰かへ言葉を投げるには、大なり小なり、何かしらの躊躇いを振り切らなければならない。
気が重い。
言いづらい。
そんな一歩踏み出せずの言葉はなかなか出番をもらえないまま、「え、そうだったの?」という返答を受け取るまで寝かせられてしまう。

「え、そうだったの?もっとはやく言ってくれたらよかったのに。」
そう繋がって終わるのならまだいい。
けれども、ここで冒頭に戻る。
なんだかスッキリしない気持ちがひと握り残る。

そのひと握りをギュッと潰して、なんとかパウダーみたいにパッとばら撒けたらいいのに。
と思っていたら、なんだか手のひらに汗が滲んできた。









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