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現実とは、総じて詐欺なのである。
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2018年12月の記事一覧

孤独の発明〜ことばとはなにものだ?〜

私(からだ)を大事にするなら、
メイクも、ハイヒールも、いらない。
私(なかみ)を重視するなら、
メイクも、ハイヒールも、いらない。
ならば、なぜ。
我々は見た目にこだわるのか。

それは、たた、視覚のため。
俯瞰する眼=意識・自我のため。
やつらが生まれた瞬間に、
私(からだ)は、やつの奴隷。

ただ、やつらも
ことばがなければ、現れなかった。

おお、そうだ!
私(こころ)は、
ことばを支配し

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殺害

ああ生命よ!
そんな簡単に逝ってしまうのか。
そんな簡単に殺せてしまうのか。

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長くうちに棲みついていたらしい、
長老の蜘蛛を、踏んだ。

それは、あまりに呆気なく、
くしゃり、と潰えた。
例えるなら、そう。プチシューだ。

蜘蛛なんて触ったこともなかった。
だって地獄から救えるくらいの力を持つのだ。
ただ害さぬように生きてきた。
よりによって、お前を。
そして初めて知った。
こんなに、柔

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生きているという嘘。私という詐欺。

「もっと根本的なところから見直すのだ」

かつて私の家があったはずの
痩せこけて荒れた更地が言う。

そこには新たな家のラインなんかが
引いてあるのだけれど、
新居への期待よりも、
はるかに巨大な恐怖が立ち上がる。

生まれ、育ち、暮らしてきた
あの世界は。どこへ行った?

私が、暮らしていたのは、
どこだったのか?
私が、家だと思っていたものは、
何だったのか?

もう、どこにもない。
否、

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彼が帰ってきた――Er ist wieder da

果たして、
こんなものが現代社会に
存在してもいいのだろうか。

戸惑う私の横で、
表紙につられて読んだらしい彼は、
ゲラゲラ笑っていた。
――そう。
ジャンルはcomedyなのである。

私にとっては、
世界で一番笑えないコメディだ。

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