ヒルネクロコップの日記

ペルーに2年ほど住んでいたスペイン語学習者です。 読書や旅行の記録、ラテンアメリカのニ…

ヒルネクロコップの日記

ペルーに2年ほど住んでいたスペイン語学習者です。 読書や旅行の記録、ラテンアメリカのニュースについて書いていきたいと思います。2023年秋からメキシコに来ました。

マガジン

  • ハリケーンの災害復旧ボランティアに行った話

    2023年10月にハリケーンで壊滅的な被害を受けたメキシコ・アカプルコ市に災害復旧ボランティアに行ってきました。被害はすさまじかったですが、アカプルコの人々のたくましさや、日本との意外なつながりが見えてきて面白かったです。

  • 移民支援のボランティアに行った話

    メキシコ・ベラクルス州にある「パトロナス」という移民支援団体でボランティアをしてきました。中米・南米からの移民は列車に乗って、あるいは徒歩でアメリカを目指します。彼らのおかれた過酷な状況を身をもって知ることができました。

  • 古代メキシコ

    アステカ、テオティワカン、マヤなど古代メキシコ(先スペイン期)に関して勉強したことを書いていこうと思います。

記事一覧

『百年の孤独』が生まれた小さな家

前回の記事では、ガルシア=マルケスが『百年の孤独』で得た資金で建て、亡くなるまで暮らした家について書いた。 今回、ついに彼が実際に『百年の孤独』を書いた家を訪問…

ガルシア=マルケスの家に行ってきた ~『百年の孤独』がヒットして建てられた美しい家~

2024年はガルシア=マルケスの年 今年はガブリエル・ガルシア=マルケスが何かと話題になる年だ。3月には遺作となる『出会いはいつも八月』が出版され、今月末には満を…

メキシコ大統領選の投票所に行ってきたらメキシコっぽくて面白かった

歴史的な一日、大変な一日 先週の日曜(6月2日)はメキシコの大統領選挙の日だった。 与党(MORENA)のクラウディア・シェインバウム候補が当選し、メキシコ史上初の女性…

移民施設で出会った印象深い人々について

食事付き、無料の宿泊施設 移民支援のボランティアに行った話の続き。 支援団体パトロナスには、野獣列車への食料支援だけでなく、もう一つ重要な役割がある。それは「…

移民たちを襲う腐敗した軍・警察、そして列車事故について

「野獣列車」の移民支援ボランティアに行った話の続き。 ここでは、メキシコから北を目指す移民たちがどんなリスクにさらされているのかを少し書いてみたいと思う。 列車…

「野獣列車」移民支援のボランティアに行ってきた

30年間 寄付だけで運営される慈善団体「パトロナス」 先週、移民支援のボランティアに行ってきた。メキシコ・ベラクルス州にある「パトロナス(Las Patronas)」という団…

知っておくと役立つ古代メキシコの神々10選(その3)

前回、前々回の記事では古代メキシコの10の重要な神々を紹介した。だが、それ以外にも知っておいて損はない神々がけっこういるので、ここではプラスして8人紹介したい…

知っておくと役立つ古代メキシコの神々10選(その2)

知っておくと役立つ古代メキシコの神々。後半ではケツァルコアトル、テスカトリポカ、チャルチウトリクエ、ミクトランテクトリ、シペ・トテックを紹介します。 前半はこち…

知っておくと役立つ古代メキシコの神々10選(その1)

神話を学ぶのは役に立つ! メキシコに来てから、大学の授業などで歴史の勉強をすることが生きる喜びになっている。中でも古代メキシコ(スペイン征服以前)の世界観・宗…

ペルー 女性たちの尊厳を踏みにじった強制不妊手術について

3月8日は国連が定めた「国際女性デー」だった。ここメキシコシティーでは大規模なデモ行進が行われ、18万人が参加したと言われている。メキシコでは年間3000人もの女性が…

世界中にある「支倉常長」像 ~大航海時代を生きたグローバル日本人~

去年メキシコのアカプルコ市を襲った時速270キロのハリケーンを無傷で耐え抜いたものがある。支倉常長(はせくら・つねなが)の銅像だ。 この銅像は日墨友好の象徴として…

初めてマチェテ(山刀)を使った ~アカプルコ植物園でのボランティア~

去年12月、アカプルコでハリケーンの災害復旧のボランティアをしたいと思い、赤十字やキリスト教系の団体など5カ所にメールを送った。だがメキシコにはボランティアという…

ハリケーンで破壊された街に行った ~メキシコ・アカプルコの現状~

昨年12月、ハリケーンで壊滅的な被害を受けたアカプルコという街に災害復旧ボランティアに行ってきた。 アカプルコはメキシコの太平洋側に面したリゾート観光都市で、何度…

メキシコ史にはまった5ヶ月

メキシコに来て5ヶ月が経ちました。 去年の10月から仕事を1年間休職し、外務省の交換留学プログラムでメキシコ国立自治大学というところで学んでいます。 普段ははてなブ…

『百年の孤独』が生まれた小さな家

『百年の孤独』が生まれた小さな家

前回の記事では、ガルシア=マルケスが『百年の孤独』で得た資金で建て、亡くなるまで暮らした家について書いた。

今回、ついに彼が実際に『百年の孤独』を書いた家を訪問することができた。こちらもメキシコシティ南西部の閑静な住宅街にある。

家の中に入ると、小さな応接間のようなスペースがあり、ガルシア=マルケスの肖像画が飾ってある。

反対側の壁には、いくつかの写真。管理人の方によると、ガルシア=マルケス

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ガルシア=マルケスの家に行ってきた ~『百年の孤独』がヒットして建てられた美しい家~

ガルシア=マルケスの家に行ってきた ~『百年の孤独』がヒットして建てられた美しい家~


2024年はガルシア=マルケスの年

今年はガブリエル・ガルシア=マルケスが何かと話題になる年だ。3月には遺作となる『出会いはいつも八月』が出版され、今月末には満を持して『百年の孤独』の文庫版が日本で発売される。そしてNETFLIXで百年の孤独の映像化が進められていて、年末に公開されるという噂だ。今年で没後10年ということで様々な企画が進んだのだろう。

30年以上住み続けたメキシコシティの家

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メキシコ大統領選の投票所に行ってきたらメキシコっぽくて面白かった

メキシコ大統領選の投票所に行ってきたらメキシコっぽくて面白かった


歴史的な一日、大変な一日

先週の日曜(6月2日)はメキシコの大統領選挙の日だった。
与党(MORENA)のクラウディア・シェインバウム候補が当選し、メキシコ史上初の女性大統領が誕生する歴史的な日となった。

僕は選挙がどんな感じで行われるのか興味があり、下宿先のホストマザーに頼んで投票所まで着いていかせてもらった(もちろん僕に投票権があるわけではない)。

実はこの日は大統領選だけでなく、メキ

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移民施設で出会った印象深い人々について

移民施設で出会った印象深い人々について


食事付き、無料の宿泊施設

移民支援のボランティアに行った話の続き。

支援団体パトロナスには、野獣列車への食料支援だけでなく、もう一つ重要な役割がある。それは「宿泊場所の提供」だ。
パトロナスの施設には合計25人ほどが宿泊できるスペースがあり、メキシコから北を目指す移民たちがここへ一時の休息を求めてやってくる。パトロナスでは彼らに無料で朝昼晩の食事を提供し、希望すれば長期間ここにいることもでき

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移民たちを襲う腐敗した軍・警察、そして列車事故について

移民たちを襲う腐敗した軍・警察、そして列車事故について

「野獣列車」の移民支援ボランティアに行った話の続き。
ここでは、メキシコから北を目指す移民たちがどんなリスクにさらされているのかを少し書いてみたいと思う。

列車にひかれ両足を失った移民

パトロナスの宿泊施設には、ベネズエラからやってきた親子(50代の父親と30代の息子)がいた。父親は両足の太ももから下をなくし車椅子に乗っていた。施設の人に聞くと、彼は1ヶ月ほど前に列車にひかれて足を失ったらしい

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「野獣列車」移民支援のボランティアに行ってきた

「野獣列車」移民支援のボランティアに行ってきた


30年間 寄付だけで運営される慈善団体「パトロナス」

先週、移民支援のボランティアに行ってきた。メキシコ・ベラクルス州にある「パトロナス(Las Patronas)」という団体で、メキシコでは有名な移民支援団体だ。地元のおばちゃんたち15人ほどで運営され、主にアメリカを目指す移民たちへの食料支援などを行っている。

パトロナスの事務所のすぐ裏には線路が通っており、ここを「野獣列車」と呼ばれる貨

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知っておくと役立つ古代メキシコの神々10選(その3)

知っておくと役立つ古代メキシコの神々10選(その3)


前回、前々回の記事では古代メキシコの10の重要な神々を紹介した。だが、それ以外にも知っておいて損はない神々がけっこういるので、ここではプラスして8人紹介したいと思う。(全然10選になっていない…。)

属性の内訳としては、自然現象に関係した神3人(太陽、火、風)、食べ物に関係した神2人(トウモロコシ、酒)、日常生活に関係した神3人(出産、芸術、犬)だ。

太陽の神 トナティウ(Tonatiuh)

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知っておくと役立つ古代メキシコの神々10選(その2)

知っておくと役立つ古代メキシコの神々10選(その2)

知っておくと役立つ古代メキシコの神々。後半ではケツァルコアトル、テスカトリポカ、チャルチウトリクエ、ミクトランテクトリ、シペ・トテックを紹介します。

前半はこちら。

⑥羽根のついたヘビの神 ケツァルコアトル(Quetzalcóatl)

「羽根のついたヘビ」の神。テスカトリポカとともに世界を創造した神であり、人間に最初に主食(トウモロコシ)を与えてくれた神でもある。基本的に恵みをもたらしてく

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知っておくと役立つ古代メキシコの神々10選(その1)

知っておくと役立つ古代メキシコの神々10選(その1)


神話を学ぶのは役に立つ!

メキシコに来てから、大学の授業などで歴史の勉強をすることが生きる喜びになっている。中でも古代メキシコ(スペイン征服以前)の世界観・宗教観について学ぶのは抜群に面白い。神話も独創的で面白いし、何よりも神々の造形が魅力的だ。古代の人々は本当にアートのセンスにあふれていて絵文書や彫刻を眺めているだけで一日が過ごせてしまう。

また古代メキシコの神々について学ぶのはとても役に

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ペルー 女性たちの尊厳を踏みにじった強制不妊手術について

ペルー 女性たちの尊厳を踏みにじった強制不妊手術について


3月8日は国連が定めた「国際女性デー」だった。ここメキシコシティーでは大規模なデモ行進が行われ、18万人が参加したと言われている。メキシコでは年間3000人もの女性が殺されていて「もう我慢の限界だ」という女性たちの怒りが国中に渦巻いている。

メキシコ国立自治大学の構内を歩いていても、殺された大学生への追悼のメッセージや、抗議のシンボルである紫のカラーの花や布がいたるところに掲げられ、その熱気を

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世界中にある「支倉常長」像 ~大航海時代を生きたグローバル日本人~

世界中にある「支倉常長」像 ~大航海時代を生きたグローバル日本人~


去年メキシコのアカプルコ市を襲った時速270キロのハリケーンを無傷で耐え抜いたものがある。支倉常長(はせくら・つねなが)の銅像だ。

この銅像は日墨友好の象徴として1973年に仙台市からアカプルコに送られたものだ。銅像がある「日本広場」にも被害はないようで、周辺の破壊された建物と比べると奇跡的だという印象を受ける。

意外と知られていない支倉常長の偉大な功績

支倉については日本史の教科書で昔習

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初めてマチェテ(山刀)を使った ~アカプルコ植物園でのボランティア~

初めてマチェテ(山刀)を使った ~アカプルコ植物園でのボランティア~

去年12月、アカプルコでハリケーンの災害復旧のボランティアをしたいと思い、赤十字やキリスト教系の団体など5カ所にメールを送った。だがメキシコにはボランティアという文化がないらしく、なかなか返事が来ない。唯一返事をくれたのがアカプルコの植物園だったため、ここで一週間働くことにした。

植物園の中はとにかく大変な状況だった。大半の木が根こそぎ倒されてしまい、植物園の中の道を塞いでいる。鉢植えなどの植物

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ハリケーンで破壊された街に行った ~メキシコ・アカプルコの現状~

ハリケーンで破壊された街に行った ~メキシコ・アカプルコの現状~

昨年12月、ハリケーンで壊滅的な被害を受けたアカプルコという街に災害復旧ボランティアに行ってきた。
アカプルコはメキシコの太平洋側に面したリゾート観光都市で、何度もハリウッド映画の舞台にもなっている。江戸時代に伊達政宗が日本人使節をメキシコに送った際にはこのアカプルコの港に到着し、今でもアカプルコと仙台市は姉妹都市となっている。実は日本とも繋がりの深い街なのだ。

2023年10月26日、アカプル

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メキシコ史にはまった5ヶ月

メキシコ史にはまった5ヶ月

メキシコに来て5ヶ月が経ちました。
去年の10月から仕事を1年間休職し、外務省の交換留学プログラムでメキシコ国立自治大学というところで学んでいます。

普段ははてなブログで記事を書いているのですが(と言ってもほとんど更新できていないのですが…)、noteがどれくらい使いやすいのかを知りたくてこちらでも書いてみることにしました。

メキシコでは当初はジャーナリズムを勉強しようと思っていたのですが、自

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