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ごめんあそばせ、ギャングエイジ。

大学の友人が今年から、
新宿のど真ん中にある小学校で働きはじめた。

しかも、
いきなり3年生の担任の先生をしている。

小学校3年生の頃の記憶など皆無に等しい。

年齢にして9歳ごろ。
誰と仲が良かったのか、
何に興味を持っていたのか、
運動会の演目はなんだったか、
好きな子なんていたのだろうか、
どういうわけかほとんど思い出せない。

僕にとっては特別な思い出が無い、
空白の一年だったのかもしれない。

友人から聞くところによると、
新任の小学校教員の多くは、
3年生か4年生を受け持つらしい。

学校には少しずつ慣れてきたが、
まだ先生や親が絶対的なパワーを持つ
中学年から受け持つのが一般的だと言う。

とは言え、
摩訶不思議な子供達との
心の通わせ合いはやはり容易では無く、
毎日が非常に過酷であると語っていた。

しかし、瞬間瞬間に気づきがあり
何より子供達の成長にこの上ない
喜びを覚えるという。

10歳前後の子供たちが迎える
発達段階を「ギャングエイジ」と呼ぶらしい。

特徴はいわゆる「仲良しグループ」を形成し、
群れ遊びなどをはじめる行為に現れる。

女の子は先に大人になって
「男子静かにして!」みたいな
ことを言いはじめる。

反対に男の子はまだまだ子供のままだ。

この「ギャングエイジ」に突入すると、
先生や親から自立し「自分たちでできるもん!」とさまざまな挑戦をはじめる。

その自立の段階において、
より深く長ーい友情を築こうと
グループを形成するらしい。

つまり、この頃から段々と
「仲間はずれ」や「いじめ」
という行為も生まれてしまうわけだ。

集団の結束をより強固に
するにはどうすればいいか。

それには、
仲間だけの掟や合言葉をつくる
ことが一番である。

だから、
ギャングエイジ真っ盛りの男の子は
町中にやたらめったら秘密基地を作って
そこに入るための暗号やら掟をつくる。

ひとつ思い出したことがある。

数少ない小学校3年生の記憶である。

3年生の夏休み明け頃から、
校庭ではなぜか「アメリカン警察ごっこ」という謎めいた遊びが流行っていた。

これはいわゆる「ドロジュン(ドロケイと言ったりもする)」で、泥棒とアメリカの警察に分かれて鬼ごっこをする。

遊びの輪に加わった子は、
すでに輪の中にいるアメリカン警察たちに
アメリカ人っぽい名前を付けられる。

サム、リチャード、マイケル、マイク。

僕はかなり遅れて任命された。
名前はたしかボブだった。

アメリカン警察ごっこはまず、
警察か泥棒かをじゃんけんで決める。

勝てば警察として、与えられたアメリカンな名前を同僚たちと呼び合い、泥棒逮捕の為に全力を尽くす。

しかし、ひとたび負けて泥棒になれば名前も肩書きもかなぐり捨てて、昨日の味方から一心不乱に逃げ続け無くてはならない。

ポリスの集団はとある掟を共有している。
それは、アメリカの警察っぽく振る舞い話すことであった。

じゃんけんに勝った者は思い思いに、
アメリカンだなーと思うキザな刑事(デカ)を演じて犯人を追跡していた。

僕は何となくテレビで見たメンインブラックのトミーリージョーンズとジャックバウワーをブレンドしたような硬派なキャラを演じていた。

結局、このごっこ遊びは長くは続かなかった。
名前を付けられない子が出てきたり、
永遠に泥棒をやらされる子が出てきたりして
自然に消滅した気がする。

だから、小学校3年生の思い出は少しだけ火薬の匂いがする。

本当は、劇団は大人の群れ遊びの集団だって話をしたかった。
でも、長くなったので今日はここまでとする。

兎にも角にも、
今も昔も群れ遊び。

ちょいと長めの成長期、
僕らはいつでも反抗期。

ごめんあそばせ、ギャングエイジ 。

ご覧に入れるは、
ケスクセクモア。

ケスクセクモアという
塩梅なのでございます。

中川裕喜

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安住の地 第4回本公演
音楽劇『Qu’est-ce que c’est que moi?(ケスクセクモア)』

構成・演出:岡本昌也
音楽:バカがミタカッタ世界。

【公演日時】
2019年9月
13日(金)19:30
14日(土)14:00 / 19:30
15日(日)13:00 / 18:30
16日(月・祝)11:00 / 15:30

【会場】
THEATRE E9 KYOTO
住所:京都府京都市南区東九条南河原町9‐1

【チケット料金】
一般 3,000円 / U-25(25歳以下) 2,500円  ※当日料金+500円
高校生以下1,000円(前売・当日料金一律)
※受付にて学生証か年齢のわかるものをご提示ください。

https://ticket.corich.jp/apply/99747/
ご予約はこちらから。

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