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ショートショートのようなもの

25
2000文字程度のお話しです。 それぞれに出されたお題を入れて書いたものです。 後から文字数を増やしたお話しあり。
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2022年10月の記事一覧

呪文

呪文

私は独り暮らしの七十代の女性だ
別に独りが寂しいとも思わない。 が、友人は違うらしく、毎晩電話が来る。話す内容は朝から夜までにあったことを延々話されても
飽きる! これを止める方法を
毎日ググっていた。
夢に出そうだね。こりゃ。

私は面白い記事を見つけていた。
好きな画像に呪文をかけると
話し相手になる! 
「しゃべる画像」
まんまだけどね。今なら無料!是非お試しください!あの子に教えてあげよう

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俺とあいつ

俺とあいつ

「2000字以内で、
始まりは
振り替えるとそこには、
終わりが
この冬の残暑は酷かった」

 振り返るとそこには一匹の犬が俺を見ていた。迷子いや迷い犬か?そんな目で見るなよ。俺は無理だからな。俺は犬猫、そう所謂ペットを飼ったことがない。
親が興味無いと、必然的に子供も疎くなる。まあ大袈裟に言えば触った記憶さえないのだ。
 見なかった事にしよう。
俺はシラッと歩き出した。
よかった! 付いて来る気

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お題クロスロードの鳥2000字以内「掴む1」「掴む俺side」

お題クロスロードの鳥2000字以内「掴む1」「掴む俺side」

 お互いの心と体が交差し、その中心にいるクロスロードの鳥を掴まえることが出来るのか?もう見ない振りして通り過ぎたくない。
 あなたとは立ち止まり、見つめあいたい。そしてできることなら寄り添い同じ道を歩きたい。
なのに、決して迷うような道ではないのに。何故……私たちは交われない? 一度掴み損ねた事があなたを臆病にしている。
だから? それが何? 私は、
私であって他の誰でもないのよ。
それでもふたり

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ただ今!バカンス為てるぞ!

 今、私は南の島に来ている。
何処?何処にいるの? やかましい友がインスタで騒いでいる。
 教えない! 煩いんだもん。
私は次々と海、砂浜、ホテル、街並みの写真をアップする。
ハワイだ、グアム、モルジブだと言いたい放題だ。笑える。

 ライトアップされた夜のプールとカクテルなんか写真を載せれば、いい男と一緒なんでしよ。
なんて野暮なことを……聞くか?
そこはねえ、子供じゃ無いんだから。想像為てよ!
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お題、天の川、2000字以内。 「天の川」

お題、天の川、2000字以内。 「天の川」

懐かしいなぁ……ねぇあなた?
夜の新宿なんて三十年以上来てなかったな。
だって、結婚して子育てが一段落したら介護でしょ。お義父さんを見送ってこれから夫婦でと思っていた矢先、あなたは呆気なく逝ってしまったのよ。こんなに可愛い奥さんを置いて! なんてね。可愛いと思ってくれるのはあなただけでしょうけど。それがとても嬉しいの。大好きな人が一人そう思ってくれれば、文句はないもの。
ううん充分よ。
 ここ靖国

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俺の季節

俺の季節

お題 冒頭振り返るとそこには
終がこの冬の残暑は酷かった。
 振り返るとそこには、小綺麗な女が立っていた。
年の頃は三十代前半か?
「暫くじゃない。出て行ってから何年になるの?」
「ああ~暫く……」
誰だっけ、薄らした記憶を無理矢理引き出そうとしている俺の顔を、面白そうに見ているその女。
「もう、十五年は経つな」
「思い出した? 私のこと」
適当な名前をあげても良いが、それさえ億劫なほど疲れている

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親友か?兄弟か?それとも……

親友か?兄弟か?それとも……

お題待ち合わせの階段 2000字以内。
 お前はどうして俺を置いて行った?
「直也!下りてきなさい!危ないんだから」
「判ってる!もう降りるから」
母親は、今だに心配いてるんだよ。お前を追って飛ぶんじゃないかってさ。流石にそりゃしないでしょう。
お前が逝って暫くは、無意識に登っていたからな。
もの干し場を乗り越えて、屋根に寝そべる俺を見るたび心臓止まるかと思ったとさ。
お袋、本当ごめんな。
いやぁ

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最後の夜は摩訶不思議

最後の夜は摩訶不思議

お題……今日ピアスを買った。で始まり、最後は雪じゃなくてポップコーンが降り積もった。
2000字以内。

 今日ピアスを買った。
前から欲しかったものだ。
右に三つ左に二つ。
このピアスには不思議な力があるらしい。アハハ、まあね裏情報だから。
本当かどうかはやってみなきゃ
判らない。
成功してるとは書いてはあるけど。ネット情報だから~。
それに誰でもが買える訳じゃない。ってところもみそでしょう。売

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俺からの贈り物

俺からの贈り物

 私は、恋人の景にいつだって苛ついている。
優しいんだよ。そう絶対的に優しいんだよ。判っているの。
そんのなこと百も承知なんだけど。顔見てると、どうしようもなく苛々する。

 私たちは、共に二十五才。
景はサラリーマン。
私はダンサー。
出逢いは高校三年だった。

 きっかけは、朝食を抜いて授業中、貧血で倒れた私を保健室まで運んでくれた。保健委員だから
と言いつつ、帰りも心配だからと自宅まで送って

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変わらない想い

変わらない想い

お題……あの時と同じ風

「なぁ、明日出かけよう」
「はぁ?どこに?」
 お前はそうだねと言う言葉を知らないのか?
はぁ~気持が萎えるんだよ。

「いや、別にどこに行こうとは決めていないけど」
「ふ~ん、何にも考えていないんだ」
いやいや、決めていたらそれはそれ文句言うだろう?
「どこか行きたいところあるのか?」
「別に……」
「じゃぁ止めるか……」
「何でそうなるのかなぁ、一緒に考えようとか言え

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約束 

約束 

お題……空が落ちてくる。

黒髪が、優しい風に吹かれている。
君はそれがちょっと鬱陶しいんだね? きっと、君は眉をひそめているに違いない。 
そして黒縁の眼鏡を押し上げるんだよ。
少しだけ重そうに見えるのは、
君が華奢なせいなんだって思っているよ。
フレーム変えないのは、あれだろう? 俺が好きだって言ったからだよな?
でもな、どんな君でも好きだから安心しろ。
 ところで何を真剣読んでいる? 
そっ

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嘘か真実か

嘘か真実か

お題……鏡

 疲れたよ! 腹立つ会社だっ。
馬鹿にするな辞めてやる!
と言いたい所だが、この四十を前にしたよれよれ男が次見つけるのは至難の技だ。
 畜生! 午後はさぼる! 映画でも観るかな……うん? そう言えばさっき、リラなんとかのチラシ貰ったな。俺は上着のポケットを弄る。あった。これだっこれ。
雑に突っ込んだチラシ取り出して
デカい文字だけ拾った。
 お心も、お身体もリフレッシュタイムを欲っし

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