叶吉人

夢のような小説を書き始めました。 今後、ちょっとだけ違った内容を4つに分け、シリーズ物…

叶吉人

夢のような小説を書き始めました。 今後、ちょっとだけ違った内容を4つに分け、シリーズ物として書こうと決意しました。 両方とも実現できたらすばらしいと思います。

記事一覧

【創作小説】永遠の終末(64):完

 ⇒永遠の終末(1)に戻る  ⇒前編(63)に戻る (64)       跋 章 3月下旬。 その年は、例年になく温かい春だった。 「翔龍、いつまで寝ているの? 早…

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1年前
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【創作小説】永遠の終末(63)

 ⇒永遠の終末(1)に戻る  ⇒前編(62)に戻る (63) 翔龍は、決意した。 吉本理奈と別れることを。 真知子を泣かせることも、悲しませることもできない。なぜな…

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【創作小説】永遠の終末(62)

 ⇒永遠の終末(1)に戻る  ⇒前編(61)に戻る (62) 2日後、翔龍は心に強く引っかかるものがあった。交通事故に遭って入院していた時にみた夢だ。単なる夢と…

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【創作小説】永遠の終末(61)

 ⇒永遠の終末(1)に戻る  ⇒前編(60)に戻る (61) 翔龍と鹿子田が対峙している間に、夜空に浮かぶ月の明かりに姿を晒されないように、音を立てずに、田んぼの畦…

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【創作小説】永遠の終末(60)

 ⇒永遠の終末(1)に戻る  ⇒前編(59)に戻る (60) その夜、吉本理奈の携帯電話から翔龍の携帯電話にメール連絡が入った。けれどもそれは鹿子田からだった。 「…

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【創作小説】永遠の終末(59)

 ⇒永遠の終末(1)に戻る  ⇒前編(58)に戻る (59) 署に帰ると、翔龍は誰にも気づかれないように、最上階の会議室に板垣を呼び出した。 真っ先に記憶が戻ったこ…

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【創作小説】永遠の終末(58)

 ⇒永遠の終末(1)に戻る  ⇒前編(57)に戻る (58) それから3日が経った。 理奈に接した男への嫉妬の情念と失恋の苦悩は半減した。けれども、理奈に対してとっ…

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【創作小説】永遠の終末(57)

 ⇒永遠の終末(1)に戻る  ⇒前編(56)に戻る (57) 何処かで、聴いた音楽が、遠くの方で流れている。 ――何という曲名だったっけ。 曲は、止まることなく流れ…

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【創作小説】永遠の終末(56)

 ⇒永遠の終末(1)に戻る  ⇒前編(55)に戻る (56) 疲れ切って、マンションに帰った夜、理奈からメールが届いた。 「今夜、午後7時に『スワン』でお待ちします…

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【創作小説】永遠の終末(55)

 ⇒永遠の終末(1)に戻る  ⇒前編(54)に戻る (55) 日曜日の朝だったが、翔龍たちは、休み返上で八千代町に向かうことにした。 車に乗り込むとすぐに、「防犯ビ…

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【創作小説】永遠の終末(54)

 ⇒永遠の終末(1)に戻る  ⇒前編(53)に戻る (54) 小峯看護師の遺体が県北にあるダム湖の上流の岸辺で発見された。 夜のドライブを楽しんでいたカップルが偶然…

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【創作小説】永遠の終末(53)

 ⇒永遠の終末(1)に戻る  ⇒前編(52)に戻る (53) 翔龍と久美のコンビによる独自捜査によって、事件があった時間帯に医院に居た不審人物は、岩佐だけではない可…

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【創作小説】永遠の終末(52)

 ⇒永遠の終末(1)に戻る  ⇒前編(51)に戻る (52) 雨の中を電車通りまで走って出た。 「今度は、どこに行くか尋ねないのか?」と翔龍が言うと、「私、どこに行…

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【創作小説】永遠の終末(51)

 ⇒永遠の終末(1)に戻る  ⇒前編(50)に戻る (51)  久美は、空を見上げた。西の方から真っ黒な雨雲が近づいていた。 目的の家は、電車通りから2つ入った区画…

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【創作小説】永遠の終末(50)

 ⇒永遠の終末(1)に戻る  ⇒前編(49)に戻る (50) 先日、新たに担当した2つのコンビニ強盗に関する報告書の作成に着手している時、隣の席に座っていた久美から…

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【創作小説】永遠の終末(49)

⇒永遠の終末(1)に戻る  ⇒前編(48)に戻る (49) 一条産婦人科殺人事件に関する捜査報告書の作成を終えて一息つく暇もなく、立て続けに起きた2 件のコンビニ…

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【創作小説】永遠の終末(64):完

【創作小説】永遠の終末(64):完

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(64)

      跋 章

3月下旬。

その年は、例年になく温かい春だった。

「翔龍、いつまで寝ているの? 早く起きなさい」

 絹代が、翔龍の肩を布団越しに揺すった。

「ううん、もう朝?」

「そうよ」

「……オレが、……刑事になった夢を見てたのに」

「あら、すごいじゃない!」

 話の内容には興味を持てるが、今はそれどころ

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【創作小説】永遠の終末(63)

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(63)

翔龍は、決意した。

吉本理奈と別れることを。

真知子を泣かせることも、悲しませることもできない。なぜなら、自分は、真知子と結婚すると決まっているのだから――。

翔龍は、理奈に「明日の正午に、スワンで会いましょう」とメールをした。

2人で最後の食事をして、気持ちよく別れる。

――それで、いい。

理奈は遅れずにやって来た。

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【創作小説】永遠の終末(62)

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(62)

2日後、翔龍は心に強く引っかかるものがあった。交通事故に遭って入院していた時にみた夢だ。単なる夢とは思えなくて、それを確かめたくて東京に行った。

 薄れた夢の記憶を辿って、御茶ノ水の駅に降り立った。

医歯系の大学を横切り、江戸時代に隆盛を誇った学問所の前を通り過ぎて、比較的大きな交差点を渡ったところに、それはあるはずだ。

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【創作小説】永遠の終末(61)

【創作小説】永遠の終末(61)

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(61)

翔龍と鹿子田が対峙している間に、夜空に浮かぶ月の明かりに姿を晒されないように、音を立てずに、田んぼの畦畔の法面を滑らないように、細心の注意を払って、板垣を中心とした警察部隊が学校の周辺に潜んでいた。

翔龍が撃った銃声音を合図に、一斉に運動場になだれ込み、鹿子田を逮捕した。肩を撃ち抜かれた鹿子田は、パトカーとともに待機していた救急

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【創作小説】永遠の終末(60)

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(60)

その夜、吉本理奈の携帯電話から翔龍の携帯電話にメール連絡が入った。けれどもそれは鹿子田からだった。

「この女を誘拐した。命を助けたかったら、誰にも言わずに、1人で、今は廃校になった肥田郡の外村小学校に、すぐに来い」だった。

 ――しまった。

 どうして、犯人が鹿子田かも知れないと思った時に、吉本理奈に近づいて来た男は危険だと

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【創作小説】永遠の終末(59)

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(59)

署に帰ると、翔龍は誰にも気づかれないように、最上階の会議室に板垣を呼び出した。

真っ先に記憶が戻ったことの報告をしたら、板垣は、「こんな形で呼び出すとは、よほどのことなんだろうな」と言った。

ブラインドが降りた窓際のテーブルに対峙する形で座った。翔龍と久美が並び、対面に板垣が座った。3人とも真剣過ぎるほどの表情で、これから展開

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【創作小説】永遠の終末(58)

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(58)

それから3日が経った。

理奈に接した男への嫉妬の情念と失恋の苦悩は半減した。けれども、理奈に対してとった男の行動を忘れることはなかった。1時間を空けずに、いつも鮮明に思い出された。

そうしているうちに、似た行動をとっていた男をかつて何処かで見た記憶が蘇った。

頭髪の先だけが茶髪で、前髪を垂らして、サングラスをかけていたという

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【創作小説】永遠の終末(57)

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(57)

何処かで、聴いた音楽が、遠くの方で流れている。

――何という曲名だったっけ。

曲は、止まることなく流れ続けていた。

――頭が、痛い。

カーテンの隙間から朝の陽光が差し込んでいた。

翔龍は、ソファの上で目が覚めた。

曲は、次第に大きな音になって、翔龍の耳に響いた。

――携帯電話の呼出音だ。

テーブルの上に腕を伸ばして

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【創作小説】永遠の終末(56)

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(56)

疲れ切って、マンションに帰った夜、理奈からメールが届いた。

「今夜、午後7時に『スワン』でお待ちします。 理奈」だった。

どうして、今日の夜なんだと訝しがった。

「今、事件が山場を迎えています。次の休みではいけませんか?」と返信すると、「急ぎなので申し訳ありません。10分で結構です。  理奈」と返って来た。

 忙しい時に限

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【創作小説】永遠の終末(55)

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(55)

日曜日の朝だったが、翔龍たちは、休み返上で八千代町に向かうことにした。

車に乗り込むとすぐに、「防犯ビデオに秘密があるという言葉は、ヒットだった」と久美を称えた。

「何言ってるんですか。全部、松永刑事の受け売りですよ」

シートベルトをしながら、謙遜する久美だった。

国道54号線から可部バイパスを通り、上根峠を上り切ると、そ

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【創作小説】永遠の終末(54)

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(54)

小峯看護師の遺体が県北にあるダム湖の上流の岸辺で発見された。

夜のドライブを楽しんでいたカップルが偶然に見つけたらしい。

現場には、板垣と翔龍、黒田と池田の4名が集まった。

殺害された遺体は、憎々しく目を見開いた状態で遺棄されていた。

久美がこの場に居なくてよかったと翔龍は安堵した。もし居たら悲鳴を挙げて失神してしまったか

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【創作小説】永遠の終末(53)

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(53)

翔龍と久美のコンビによる独自捜査によって、事件があった時間帯に医院に居た不審人物は、岩佐だけではない可能性が出て来た。

そのことを板垣には伝えたが、岩佐純一を起訴に持っていけるかどうかに振り回されていて、まるで聞く耳持たずの状態だった。

今までに実施した医院周辺の聞き込み捜査でも、非常階段から建物に入り込んだ不審人物の情報は何

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【創作小説】永遠の終末(52)

【創作小説】永遠の終末(52)

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(52)

雨の中を電車通りまで走って出た。

「今度は、どこに行くか尋ねないのか?」と翔龍が言うと、「私、どこに行って、何をしていいか分からないので……」と頼りない言葉が返って来た。

「島村刑事は賢いのか、そうでもないのか分からなくなった」

「私も同じことを考えていました。つい先ほどまで、……少なくとも松永刑事よりましだと確信していたん

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【創作小説】永遠の終末(51)

【創作小説】永遠の終末(51)

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(51)

 久美は、空を見上げた。西の方から真っ黒な雨雲が近づいていた。

目的の家は、電車通りから2つ入った区画にある一戸建て住宅だった。大通りを外れるとこのような高級住宅が立ち並んでいることを翔龍は初めて知った。

立派な門ぺいに囲まれ、見上げるほど大きな洋風の2階建ての家だった。

 ――母さんに、こんな家を建ててあげたかった。

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【創作小説】永遠の終末(50)

【創作小説】永遠の終末(50)

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(50)

先日、新たに担当した2つのコンビニ強盗に関する報告書の作成に着手している時、隣の席に座っていた久美から声を掛けられた。

「ちょっとお昼前に休憩しませんか?」

翔龍は、パソコンに向かってキーボードを叩きながら、「前回の休憩からまだ1時間も経ってないよ」と少々呆れた顔で答えた。

「聞いて欲しいことがあるんですって」

久美の方か

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【創作小説】永遠の終末(49)

【創作小説】永遠の終末(49)

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(49)

一条産婦人科殺人事件に関する捜査報告書の作成を終えて一息つく暇もなく、立て続けに起きた2
件のコンビニ強盗事件が担当として回って来た。

防犯カメラからの映像をマスコミが取り上げてニュースにしたら、すぐに犯人に関する情報が数多く寄せられた。

捜査に追われ、悶々とした日々を送っているうちに、日曜日がやって来た。

翔龍は、約

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