8月に触れた本たち。
今月は後半から読書熱が高くなり、おもに戦争に関する読書に夢中になっていました。
ちょっと熱気ムンムンの感想になっています。
今後は時間が許す限り出来るだけたくさんの小説やドキュメンタリーを読んでゆきたいな、と思っています。
より多くの本と相対したいので、しばらく途絶えていた図書館利用を再開しました。
第二次世界大戦で爆撃機に乗っていた少年兵のお話。
野蛮で嫌われていた同僚のブラッカムが、ドイツのユンカースを笑いながら撃ち落とす。
その時から奇妙な出来事が起こり始める。。。。
非常にリアルに当時の爆撃機の詳細を交えつつ、少年の軽い語りで進んでゆくのですが、この話、戦記ではなくミステリーなんですよ。。。
本著の前後に添えた宮崎駿の24ページものオールカラーマンガが綴るウェストール愛が、グッときます。。。すごくいい演出です。
児童文学なんですが、戦時期の「真実」をそのまま描こうとしている姿勢がとても好きです。
マンガの資料用に海外経由で購入。
てっきり図鑑みたいに厚いのかと思っていたら、やたらと薄っぺらくて裏切られた気持ちになりました🤣冊子みたいな厚さで3000円なんて高すぎる❗️
もう少し詳細な軍服の本はないだろうか❓
戦争と性病に関して知りたかったのでAmazonにて購入。
梅毒の治療法や、検査を知りたかったのでめくると。。。
この資料、すごくしっかりと歴史的な詳細を脚色なく「そのまま」説明されていて、映像資料も豊富でした。買ってよかったです。
ともすれば色々と問題に上がりそうな案件ではあるのですが、この本のように脚色や後世の価値観に偏ることなく、当時の事実をそのまま伝えてくれる方がよほど歴史に対して誠実だと思います。
Amazonマーケットプレイスで1000円で購入。
フランスの第一次世界大戦と梅毒について知りたかったのですが。。。
説明が要点を捉えておらず、文学的な表現で回りくどく、結局何が言いたいんだ、と突っ込みたい気持ちのまま、深く読もうという気持ちになれなかったのが残念。
くまざわ書店にて購入。
夢中になって一夕で読了。
遠藤周作の読者を引き込ませる筆力の凄さにただただ打ち震えた一冊。
第二次世界大戦末期、アメリカ兵の捕虜に生きたまま生体解剖を施した大学病院の医師たちの葛藤を描いた傑作。
この実験に加わった、助手の勝呂と、戸田という二人の若き医師。
お互い相反する想いを抱くのですが、良心に苛まれる勝呂に対し、責められる恐怖はあっても生体解剖に罪の意識を感じない戸田との対比が興味深かったです。
この戸田医師の描き方がとてもうまくて、ものすごく現代人にも通じるところがありました。
サイコパスみたいな戸田の生い立ちや、彼の羞恥心を読んで、「あ。。。なんとなくわかる。。。」と感じてしまう人はたくさんいるはず。
人間の誰もが持っている暗部を抉り出した傑作です。
ニュースで、戦時中、軍でヒロポンが使用されていた。。。というのをみて、
ヒロポン=安吾を思い出して青空文庫にて読みました。
戦友のような太宰治の死に際しての追悼文。
フランス文学に精通しているせいもあるのか、それとも酔っ払ったまま書いていたのか、累々と連なる言葉のカオスの最果ては、ただただ虚無。
もがいてもがいて狂人のような印象があるのに、どこか真っ白でがらんどうなイメージが安吾にはあります。
太宰治は人間的な幼さを感じてしまい、あんまり読むことはないのですが、この方のただただ純粋に太宰と対峙した追悼文を読むと、太宰治という人は礼儀正しくて繊細で病弱で周囲の評価を気にした、一緒にいてとても楽しい人だったんだろうな、と思います。
ブックオフにて購入。
文学界でも「いい人」と有名だった有島武郎。
「お前たちがこの文章を読むときは、父はいないかも」みたいな文面があったのですが、その5年後に情死というなんともいえない最後を迎える著者。
文学者ってなぜにこう、破滅的なんでしょうか。。。。
なぜ、人の業を全部背負い込むように、暗い方向にゆこうとするのか。。。
この作者は人格者だし、生きていたらきっといい仕事や知己に出会えたろうに。。。残念に思ったり。
図書館で借りました。
ナチスのT4作戦に加担した医者たちの葛藤を描いています。
日本人の精神病者も登場。
前編タイトル通りの霧に覆われているような世界でした。
患者を安楽死させないために、過激な治療法を試したりするのですが読んでいて辛い部分もありました。
青空文庫にて読みました。
短編の名手と呼ばれた芥川が15歳の梅毒に侵された娼婦を描いた稀有な作品です。
大学生の時にビデオを借りて見たことがあるのを思い出しました。
奇跡が起こって純粋な少女は病気が治るんですが。。。実際は潜伏期間だと捉える説もあったりで幸が薄そうな読後感です。
⬇️また観たくなっちゃった。。。
図書館から借りました。
面白かったです❗️
ナチスのS Sである若く俊才なアーノルドと、彼の幼馴染であり、修道士のマティアスが、裏切りと復讐に燃えつつも当時のヨーロッパに起こったファッショの嵐の中で交わってゆくという歴史大作。
まだ作者が30代のときに書かれた作品のようなのですが、ゲシュタポのほかにSDという機関があったり、当時のややこしいカトリック、ヴァチカンとナチスとの攻防をよくここまで綿密に追っているなあ。。。と非常に勉強になりました。
作者、本当に日本人ですよね❓汗
アーノルドがかっこよすぎて。。。ものすごくタイプの男性です。
どんどん出てくる元女性兵士たちの証言をとめどなくコラージュしているかのように演出しておりその情報量の多さに絶句。。。
兵士たちに祈りを捧げる大きなおばあちゃんの場面は。。。ぐぐっときます。
あとがきにもありますが、明記されている証言と歴史的な事実は乖離しているところもあると思います。(特に捕虜の扱いに対しては酷いものだったと。)
けれど、当時男もののパンツを履いて戦った女性たちの証言もまた残されるべき本当の真実だと思います。
真実というものはけしてひとつじゃないのですね。
原作も読みたくなりました。
Kindle Unlimitedにて一巻のみ読んだのですが。。。。
苦しい。。。逃げ場がない。。。。
人間魚雷「回天」に搭乗する志願兵の物語。(同調圧力での「志願」ですが)
ほっこりするシーンもなく、ガチで戦時中の苦しい生活や荒みきった人たちばかりで、純粋な主人公だからこそページがめくれました。
マンガの見せ方や演出がとてもうまく、最も読者が注目するような場面の作り方を天才的に会得している著者だと思います。
おまけ漫画の「描クえもん」でやっと笑えました。
勝田文さんと山田風太郎のタッグは大成功したと思います。
コミックナタリーで予告された時から注目していたのですが、よくここまで若き風太郎氏の飄々さと真面目くささ、青臭さやシビアな部分を見事に描きだしたなあ。。。
彼のニヒリズムは、戦中戦後の泥と芋と死臭と汗と空腹と憤怒によっていっそう深潭化されたのかとも思う。
本当にうまい、としか言いようがなかった漫画作品。
欲を言えばのちの奥さんとなるお嬢さんとのエピソードを、もっと見たかった(笑)原作にないと思いますが。。。
勝田文さんの足長おじさんを和風に漫画化したのも好きでした。
戦争を知らない若い世代の方が、原作や取材で当時を追ってゆく時流に入りつつあるということに心強さを感じます。
これは裏を返せば、当時を知りたいという需要があるということかもしれません。
わたしも頑張ろうといい刺激を受けました。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました❣️
来月はこの読書録はもう少し頻繁になるかと思います☺️