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【新刊発売】『ホテル屋サカキの命令違反』|ホテル屋の奇想天外な日常を描く(SF・ホラー・ファンタジー)掌編集!

ホテリアBOOKSより電子書籍『ホテル屋サカキの命令違反』が刊行されます。(2022年12月12日発売)
著/旅籠談 装画/宇都宮なお
禁忌に片足を突っ込み。異形に追い詰められ。気まぐれな運命に翻弄されながら。奇跡を目の当たりにする。全24編のショートストーリー集。
新刊の発売にあたり、収録作品のあらすじを一挙公開します!

『ホテル屋サカキの命令違反』 著/旅籠談 装画/宇都宮なお

https://www.amazon.co.jp/dp/B0BNQ4VWMV


ハイバネーション

室内の状態を一時保存する機能があると聞き、ホテル屋はその部屋に宿泊してみることにした。
バーで知り合った女性を部屋に連れ込んだホテル屋は、急な呼び出しを受け、室内に女性を残したまま仕事へと向かう。
仕事を終えてホテルに戻ると、前夜のバーで、別の女性が声をかけてきた。

対策訓練

そのホテルでは、客への予告もなく、唐突に対策訓練が行われていた。
客として潜入するホテル屋には、チップという名目で偽装トークンをばらまくという任務が与えられている。
任務を終えてチェックアウトしょうとするホテル屋は、スタッフの様子がおかしいことに気づく。

フレデリカ・サウザンド・キルスイッチ

廃墟と化した邸宅で、ホテル屋は最後の仕掛けを探していた。
主人とフレデリカの思い出が詰まったその場所には、すべてを終わりにする1000のキルスイッチが眠っている。
相手に思いを馳せる、依頼者の願いはただ一つ。

国⽴深海図書館

水深三千メートルに作られた海底図書館。
管理を任された男性司書が、何年ものあいだ、一人で生活をしている。
ハッチを開けて館内へと足を踏み入れると、生活臭を感じさせない甘い香りが漂ってきた。

ムーンライト・シューシャイン

その国に一人しかいないという靴磨き職人。
鶏が放し飼いにされているホテルの中庭で、その老人は弦楽器を奏でていた
「私のクリームは、月光を浴びて輝きを増す」
老人の前で跪いたホテル屋は、靴を履いた足を自ら前へと差し出した。

ピッチパイク

灰色五十倍生物の出現により、カジノタウンは混乱に包まれていた。
街から避難するホテル屋だが、移動手段のない彼には、ヒッチハイクしか手段が残されていない。
口の悪い退役軍人と出会い、車に乗って逃げるが、危機はすぐそこに迫っていた。

花駕籠街道

街道沿いの旅館に宿泊することになった。旅館の前には停留所、その隣には小さな祠がある。
バスの発車時刻が書かれた紙の下に、もう一枚、変色した古い紙が貼ってあるのを発見する。
古い紙に書かれていた時刻になると、街道の先から小枝を折るような音が聞こえてきた。

⼄種税⾦泥棒

⼄種税⾦泥棒

賭博行為の証拠を押さえるため、ホテルのデリカテッセンに盗聴器をしかけた。
聞こえてくるのは女性社員と男性マネージャーの声。二人はコントのようなやりとりを繰り返している。
「税金泥棒!」女性社員が叫び声を上げた。

⾃爆神カミヤ

自爆神カミヤの殺戮によって、セグメントシティは滅亡の危機に瀕していた。
科学技術の粋を結集させた疑似魔法剣も、魂を乳化させた半溶戦士のコア融合も、自我継承の断絶を狙った文末少女の口寄せも、すべてが無駄に終わる
「4、3、2、1」
自爆へのカウントダウンが始まる。

極点

珍しい壁画を見るためキママ島へと向かったホテル屋は、新島を調査する海洋研究者と島民の超感覚を追うライターに出会う。
島に近づくにつれ超感覚のようなものが芽生えていくが、どうやらそれは新島の出現と関連があるようだった。

奇病オウム返し

取引先の男性が、配偶者を伴って会いに来た。
女性はヘッドホンで耳を塞がれ、聴覚を遮断されている。
どうやら、聞いた言葉をオウム返しする病に罹っているらしい。
現代医学では解明されていない風土病に対し、ホテル屋が導き出した解決法とは……。

三代⽬マーブルポリッシャー

深夜のホテル。黙々と作業を続ける男は、ロビーの床の大理石を磨いていた。
三代目を自称する彼は、大理石研磨に必要な、ある適性について語る。
大理石研磨とは回転するレコード盤に針を落とすような仕事だ、と彼はいうが……。

キックバック

帰国した観光客が空港検疫で止められる。最新鋭のセンサーが異変を感知しているようだが、その理由がわからない。
多発する謎の現象を解明するため、パッケージツアーの共通コースとなっている大陸横断鉄道へと乗り込む。
揚げパンを売る怪しい車内販売の男が口にするシーニーマンとは……。

天狗小隊

私服待遇独立即応小隊。別名、天狗小隊。
常人離れした能力を持つ彼らは、湖畔のホテルで要人警護の任務に就いている。
隊員の一人、ガシャドクロがホテル屋と雑談を交わしていると、隊長が湖に引きずりこまれたとの一報が入った。

舌平目神社例大祭

舌平目神社例大祭の当日。奉納された神酒の中身が水と入れ替えられるという事件が発生する。
犯人のチンピラは、中身の神酒をフリマアプリを利用して売り払ったと語る。
なんとかしてほしいと頼まれたホテル屋は、忘れ去られた土着神「シタビラメ様」のもとを訪ねる。

残務整理_難易度A

戦火に包まれた街で、最後までホテルに残り、他者の脱出の手助けをする男がいる。
その最後の一人を脱出させるため、ホテル屋は崩壊していく街へと単身乗り込んだ。
救出に成功し、手配した船に乗り込もうとするホテル屋だが、男はタラップの途中で足を止める。彼が語る残務とは……。

熱気球マフィア

上司に連れられやってきた異国の地で、ホテル屋は海外出張の本当の理由を知らされる。
熱気球マフィアと呼ばれる組織を壊滅させるため、協力をしてほしいのだという。
光学迷彩を施したステルス熱気球を駆る神出鬼没の空の支配者。マフィアのボスは、蒸し風呂で出会ったホテル屋を仲間に引き入れようとするのだが……。

裸眼

死者が生者を裸眼で見ると、見られたほうの生者は命を失う。
生者の世界と死者の世界の境界が曖昧になり、二つの世界のルールもそれに伴い変化していく。
綾乃という「生者」の恋人を持つ「死者」の桃香は、自分を殺した犯人の名を告げられ驚愕する。

双⾝ワームホール

ワームホール発見に世間の関心が集まるなか、女性宇宙飛行士は博物館の記念講演の壇上に立つ。
過去のミッションで知的生命体が放った有害粒子の直撃を受けた彼女は、事故の発生以降、17年間沈黙を貫いている。
ワームホールの出現で決意を固めた彼女が語る、人類に対する裏切りとは。

夢枕

赤道直下の海上都市、マイルストーン。
初代市長の追悼式典に参加するホテル屋には、人間国宝のボディガードという役目がある。
都市に到着した二人が目にしたのは、竪穴貫通孔にカボチャを投げ入れる魔女の仮装をした少女の姿だった。

五右衛⾨⾵呂

事故に遭ったホテル屋は、助けを求めて林道を進み、やがて古い寺へと行き着く。
住職の厚意によって食事と風呂が提供されるが、吹きさらしに置かれた風呂釜は、寺の鐘を逆さにした五右衛門風呂だった。
一心不乱に薪をくべる住職。ホテル屋は、なにかがおかしいと感じはじめる。

メイド略奪

晩餐会で出会ったメイドに一目惚れ。
自分のもとで働かないかと、ホテル屋はヘッドハンティングを持ちかける。
1週間のお試し期間のなかで、メイドはホテル屋を翻弄し、そのなかで、自らがなにを望んでいるかをほのめかす。
メイドが望んだものとは……。

スモーク・ラビリンス

借金取りに追われるホテル屋は、フロントスタッフの勧めで絵本の世界へと入り込んだ。
なんでもチャラにする魔法があると聞いて、煙が立ち込める水路の迷宮を進む。
最終到達点で待っていたのは、葉巻を咥えた半魚人だった。 

主⼈公(電子書籍書き下ろし)

脳を量子脳に変えた途端に、知らない記憶が流れ込むようになった。
知らない記憶はアーカイブへと送り、気にせず普通に生活しようとするのだが、無責任な後輩の一言によって’、病気ではないかと気になりはじめる。
医者はいう。「あなたが主人公です」