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目指せ!新規就農35|消費者にどんな情報を発信すればいいのか?

小規模個人農家にとって、ただ作物を作るだけでは、生き残っていくことは難しいと考えています。

効果的なマーケティングを仕組み、作物の価値を上げて、高価格の商品を消費者に届けなければなりません。

そのためには、消費者に向けての情報発信が重要な戦略になります。
では、どんな情報を発信すれば良いのか?

そこで、とっても参考になったのが、小池精米店三代目店主の小池理雄さんの「なぜ、その米は売れるのか?」です。

生産者が「うちのお米は美味しい」ということをいくら発信しても、消費者にはピンときません。もっと具体的に米の「売り」(周辺情報)を発信しなくてはなりません。
消費者が「欲しい」と思う要素は千差万別です。そのため、最低でも次のように細分化し、購買意欲をそそるようなフック(きっかけ)をたくさん用意することで、ようやく消費者に選択肢を提示できた、という段階に進むのです。

小池理雄著「なぜ、その米は売れるのか?」P50

小池さんは、消費者に響く12の論点を挙げています。

1 生産者の顔
2 農薬の有無
3 栽培の工夫
4 産地情報
5 環境への配慮
6 パッケージ
7 小分け
8 玄米や分づき米
9 どのような味なのか
10 品種の物語
11 どのような料理に合うのか
12 感情移入

小池理雄著「なぜ、その米は売れるのか?」P51

そう、この12の情報を発信すれば、消費者に響くということです。

私の場合は、お米ではなく、ハスカップに置き換えて考えてみる必要があります。

いくつか挙げてみましょう。

1 生産者の顔

私は、厚真町のとあるハスカップ農家さんの事業を継承する予定です。
つまり、同じ畑であるのに、生産者の顔が変わることになります。
新たな生産者の顔として、お得意さんには認識し直していただかなければなりません。
そして、新たな信頼関係をつくり直していかなければなりません。

そのためには、どうすればいいですかねぇ?
YouTube、Instagramを使ったコンテンツを発信していくことになるでしょうか。

2 農薬の有無

私の師匠となる山口農園の山口さんの畑は、大きく分けて3種類あります。
①適正な農薬や肥料を使ったいわゆる慣行栽培の畑。
②有機JASの規格に適合した栽培をしている畑。
③無農薬無肥料の畑。

そしてそれぞれの畑で、いくつもの品種のハスカップを栽培されています。
ただ、大きくて、味も一番良いのは、実は①の畑で栽培されたハスカップなんですね。
でも、お客様の一定のニーズとして③のハスカップも人気があります。

私がこれまで通い続けてきて、いいなぁと感じたのが、①と③のいいとこどりをしたような、②有機JASの認証を受けた栽培方法なんですね。

事業経営を継承しようとしている畑は、①だけです。これを主力にしながら、新たに畑を広げたときには有機JASの栽培にもチャレンジしてみようと考えています。

9 どのような味か

ハスカップというのは、私にとってはとても魅力的な果物です。
でも、この魅力を知ったのは、北海道に移住してきてからなんですね。
それまでは、全く知らなかった。

私のような人の方が断然多いでしょうね。
「ハスカップ?何それ?」
そういった人々に、ハスカップの美味しさや健康価値についての情報発信をすることで、多くの人にファンになってもらえそうです。
前向きに捉えれば、ハスカップは伸び代しかないのです!

10 品種の物語

ハスカップはもともとは、北海道のあちこちに自生していた木の実でした。
同じ品種のものは全くありません。

いくつものハスカップを自分の畑に移植してきて、その中で、より美味しいものだけを残して、あとは接木をしながら、いくつかの品種に絞って少しずつ増やしていきました。

中でも山口農園さんが開発し、品種登録したアツマミライとユウシゲという2つの品種は、厚真町にしかありません。

こうした山口農園さんが苦労の末、できたこの2品種には、誕生までの物語があり、それを発信することで、この2品種の価値が上がるはずです。


ということで、今回の記事は、農業×マーケティングを意識して、どんな情報を消費者に届けたらいいのかについて、小池理雄さんの著書「なぜ、その米は売れるのか?」をもとに考えていきました。

新規就農を目指す同志のみなさんにとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

では、また明日。

「目指せ!新規就農」シリーズは、おかげさまで順調に回を重ね、今回で35記事目となりました。
これまでに、
1.農家の方に会いに行こう
2.公的な就農支援にはどんなもなあるか?
3.まとめ|ハードルを知り、そして向き合う

4.農業はすきなことなのか?
5.ハスカップ農園での作業体験
6.ハスカップって何?

7.アクセルとブレーキを同時に踏み始める
8.技術でてっぺんを目指す
9.「好きなことならやるべきだ!」

10.まるでルンバ!草刈りロボ
11.第三者継承という新規就農への道
12.ハスカップ農家さんから経営を受け継ぐ

13.厚真町の就農支援は手厚い!
14.農業研修施設を見てきた
15.色づき始めたハスカップ
16.農家一家に一台!?ラジコン動噴

17.厚真町で実践したいわたしの農業
18.
同じ木でも場所によって味が違う!
19.健康に良い、魅惑の果実ハスカップ
20.ハスカップ狩りに行こう!
21.畑でレストランin山口農園

22.カレンデュラ農家になりたくて…移住
23.アーティストな農家の生き方
24.なぜ、研修するのか?何を、研修するのか?
25.ハスカップ農家として何をしたいのか?

26.
腹を決める
27.目指すべき農業を見つける
28.農協→卸売市場という流れで売る
29.産地直売方式で売る

30.マーケティングと営業の違い
31.どうやって買ってもらえばいいのか?

32.農協ってなに?
33.農協とどう付き合っていくべきか?

34.自分で作った作物が一番美味しい
35.その美味しさにどう共感してもらえばいいか

36.ブロックチェーン技術でトレーサビリティを効率化
37.NFTを使って、自分の商品の流通の流れを見える化する

38.農畜産物の適正価格を実現するための課題とは?
39.結局行き着く先は、直販か?

40.こんなにいい条件で就農できるんですか!?(歓喜)
41.農家はどんな情報発信をしていけばいいのか?
42.その作物に物語があるならば、応援したくなっちゃう
43.農作物はすばらしい料理人に出会って、より高い価値を引き出される
44.
写真の撮り方で農作物の価値を上げる
45.なぜ農業をしたいのか?原点を問い直す
46.プロ農家の視点で学ぶ
47.プロ農家のもとで学ぶ

48.農業×アウトドアは相性がいい!
49.手持ちのカードを増やそう!
50.成功と失敗
51.人のそばで農業をすることのメリット
52.NFTって結局いったい何なのさ?
53.農業でNFTをどう活用するの?

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