菊之助の会見を観た。八ヶ月、家族の苦渋を語って、あまりなかった。断腸の思いとはこのことか。岳父吉右衛門は義理の父というだけではなく、岳父であり、藝の師匠であるとよくわかった。丑之助への伝承を託された重い責任と、それを託さなければならなかった吉右衛門の哀しみを大粒の涙が語っていた。
歌舞伎座第二部、初日が遅れたためにようやく今日、12日に観ることができた。時代物で大顔合わせではないと上演できない「盛綱陣屋」が健闘している。幸四郎、錦之助、歌六、又五郎から、丑之助、亀三郎まで。時節柄、客席が薄いが、見逃すのは、残念。現在の水準を軽々と超えた舞台。