+1

ラドゥ・ムンテアン『Întregalde』遭難したボランンティアから見る利他主義の限界

クリスマスに向けて田舎に点在する家々を廻ってお菓子などの物資を届けるボランティアの物語。インリカ、マリア、ダンの三人は物資の配送中に老人を見つけ、彼の言う山道に入って泥にタイヤを取られてしまう。しかも、抜け出そうと色々やっているうちに、老人は彼の目指していた製材所に勝手に行ってしまい、三人は別れて現状打破を目指すことになる。興味深いのはボランティアという三人の立場と考え方である。最初に物資を届けた相手は豚に手を噛まれた老女だが、可哀想にとだけ言って物資が必要かどうかや開けて並

スキ
5
+1

ラドゥ・ジュデ『Scarred Hearts』ルーマニア、世界を覆い尽くす濁流について

大傑作。ラドゥ・ジュデ長編四作目。若くして亡くなったルーマニアの作家マックス・ブレヘル(Max Blecher)の諸作に緩く基づく本作品は、1937年夏に黒海沿岸のサナトリウムを訪れた若き詩人エマニュエルについての物語である。シーンの転換点にはブレヘルの諸作から引用が中間字幕として登場しており、エマニュエルが小説の中の人物のように描写されている。戦前欧州、サナトリウム、青春、戦争、恋愛、死といえばトーマス・マン『魔の山』を思い出すが、出版年的にブレヘルがマンの影響を受けている

スキ
8
再生

MSA 2人目ルーマニア医学部の合格者の空港出迎え ー ブイログ 5 -Bucharest airport city tour with our 2nd newest medical student!

これが2022プログラムの新しい記事です!Study Medicine Abroad in Europe 詳細については、次のWebサイトをご覧ください : www.medstudentabroad.com 00:14 welcome 01:40 airport otopeni in Bucharest 02:40 Arrival 04:55 Car-talk about university and Bucharest tour 日本の方は、ルーマニアのことをよくご存知ではないかと思います、また医学部留学に関しても知られていないと思いますが、実は隣のハンガリーに比べても、医学部に留学している学生に数は大変多くて、何倍、多分5倍くらいの学生が世界から集まって留学しているとおもいます。 MSAのこの予備コースは、海外医学部の英語コースを目指す人のためのいわば予備校です、MSAの講師は全員医者です。医学部留学の経験者もいます。どのような試験対策をすればよいか的確なアドバイスができます。カリキュラムと履修期間も無理なく学べるようになっています。もしこの動画をご覧のあなたが医者になりたいなら間違いなくば門は開いていますし、道も用意されているということをお感じいただければと思っています。MSAの予備コースにぜひ参加いただき、医者への一歩を踏み出していただければと思います! www.medstudentabroad.com Facebook.com/medstudentabroad twitter: @medstudentabrd email: medstudentabroad@outlook.com #ブイログ #海外留学 #ヨーロッパ #医学

スキ
1
+6

[2021.09]映画評 『スイング・ステート』 『コレクティブ 国家の嘘』

衆院選を控え、ちょうどいいタイミングで公開される 選挙と政治とメディアの関係に鋭く斬り込んだ傑作2本! ※こちらの記事は、9/22からは、有料定期購読会員の方が読める記事になります。定期購読はこちらから。 文●圷 滋夫(映画・音楽ライター)  ほとんど広報活動に見える自民党総裁選を大手メディアが無批判に垂れ流し(また電通が裏にいるのか!?)、野党にとってデメリットが大きくなる一方のこの狂騒が終われば、その後は衆院選だ。コロナ禍〜五輪/パラ五輪開催の流れの中、負う必要など

スキ
6

Ion Popescu-Gopo『A Bomb Was Stolen』爆弾片手に街へ繰り出す

ルーマニアの近代アニメ学校の創設者イオン・ポペスク=ゴーポによるセリフのないサスペンス映画。元々はデザイナー兼漫画家としてキャリアをスタートした人物であり、後に"Gopo's Little Man"と呼ばれる有名なキャラクターの生みの親となった。そんな彼の初実写長編作品である本作品は、その年のカンヌ映画祭のコンペに選出された。本作品は会話がまったくないコミカルなサスペンス映画だが、主人公がトボケ顔でギャグをやり過ごすタイプの作品ではないのがまず面白い。彼は常に巻き込まれた側の

スキ
5
+1

ラドゥ・ジュデ『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ』コロナ、歴史、男女、教育

大傑作。祝金熊!これで過去10年間でルーマニアが貰った3つ目の金熊となる。前回2018年にアディナ・ピンティリエが貰った際に、それを擁護した関係なのか、今回は冒頭に登場する部屋の壁に『タッチ・ミー・ノット』のポスターが飾られていたのが印象的だった。以前『I Do Not Care If We Go Down in History as Barbarians』(長いので以下では『I Do Not...』)を観て"ジュデのキャリア総括的"と書いた気がするんだが、本作品はそれをアッ

スキ
10

Dan Pița & Mircea Veroiu『The Stone Wedding』白色の"死"と黒色の"希望"

ルーマニア映画史に燦然と輝く大傑作。Ion Agarbiceanu による二つの短編を基にした二篇のオムニバス映画。小説の映画化はチャウシェスク時代における一種の自衛策だったらしい。第一部"フェフェラガ"は、採石場で働く老母と家に一人残った病弱な末娘の寡黙な物語である。老母は同じく寡黙で疲れ果てた白馬と共に採石場で石を集めて工場まで運ぶ作業をしており、病弱な娘のために必死に日銭を稼いでいる。それ以外の活動、主に生活上の喜びや人間関係、そして人生に至るまで、老母は諦めたかのよう

スキ
8
+1

クリスティ・プイウ『Malmkrog』六つの場面、五人の貴族、三つの会話

大傑作。自身の作品が開祖的存在となったルーマニア・ニューウェーブも、発生から20年近くの時が経過しておおよそ終焉を迎え、その中心を担っていたプイウも新たなステージに移っていった。そもそも"ルーマニア・ニューウェーブ"という言葉自体が定義不明瞭なので、出身監督の作品全てが該当するという考えもあれば、より狭い"共産時代末期から崩壊後のプレカリアートの物語"とするなど様々だが、発生から20年も経てば"ニューウェーブ"でもなくなり、後発の監督たちですら作品数を重ねて中堅監督になったの

スキ
13

クリスティ・プイウ『Aurora』共産主義時代の家父長的世界への郷愁

2006年以降の時代は、ルーマニア映画にとって重要な時期となった。一つは国立映画センターに関し、その政策が見直されたことだろう。2006年12月に脚本を却下されたプイウは、翌年1月に記者会見を行い、センターが映画化の可能性の低いような怪しい企画に資金援助していることを指摘した。15名の批評家がプイウを支持し、委員会に向けて援助決定作品の選考基準を問う公開書簡を提出した。2008年になって、コルネリュ・ポルンボユとプイウそれぞれが、『Police, Adjective』と本作品

スキ
2

クリスティ・プイウ『ラザレスク氏の最期』ルーマニア医療の黙示録

2005年になって、プイウは再び長編映画を発表する。それが一般的にルーマニア・ニューウェーブ初期の記念碑的作品とされ、革命的作品としてルーマニア映画史をプイウ以前以後に分けられるとさえ言われた本作品である。前作『Cigarettes and Coffee』で短編金熊賞を受賞したプイウは、本作品の過激な内容に対して国立映画センターから出資を断られるも、文化大臣 Răzvan Theodorescu が金熊賞の重要性に興味を示したことで許可が下りて製作がスタートした。しかし、ルー

スキ
5