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ホアキン・ペドロ・デ・アンドラーデ『The Priest and the Girl』ブラジル、悪魔の遣わせた聖人或いはメンヘラ製造機
1966年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。ホアキン・ペドロ・デ・アンドラーデ長編一作目。カルロス・ドラモンド・デ・アンドラーデによる同名詩に基づく。ディアマンティーナ近郊の山岳地帯にある朽ち果てたダイヤモンド鉱山の鉱夫村に、危篤状態にある老齢のアントニオ神父の最期を看取るために若い神父がやって来た。宗教に熱心な老女たち以外の村人は活気がなく、村全体も死に体という中で、若い神父はマリアナという少女に出会う。10歳のときに裕福な商人オノラトに預けられて育てられたという彼女は、今
Paulo César Saraceni『Porto das Caixas』ブラジル、夫を絶対殺すウーマンと化した妻の復讐
傑作。Paulo César Saraceni(パウロ・セーザル・サラチェーニ)長編一作目。脚本家ルシオ・カルドーソとの共作三部作の第一篇で、『郵便配達は二度ベルを鳴らす』の映画化作品。といっても前半部分の夫を殺すところまでを描いている。主人公イルマは常に凡愚で口煩い夫を殺害することを考え、そのためには手段を厭わない。特に序盤でブチギレてからは絶対殺すウーマンと化して、その沸き立つような殺意を隠そうともせず、使えそうな男たちをスカウトしては放流するを繰り返す。夫に渡された金で
エミリー・アテフ『Someday We'll Tell Each Other Everything』ドイツ、おじさんに恋する少女の物語
2023年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。ダニエラ・クリエンによる同名小説の映画化作品。1990年夏、東ドイツの農村で暮らすマリアは写真家志望の恋人ヨハネスの家に居候していた。母親の勤めていた工場が東西統合によって閉鎖されてしまい、仕事にあぶれた母親は別れた夫の実家に居候していたからだ。そんな彼女は学校をサボっては昼間からドストエフスキーを読んで、ヨハネスの実家のブレンデル農場を手伝って過ごしている。ある日、近隣に暮らす独り身の農夫ヘンナーとばったり出くわし、その魅力に呑み
Luis Figueroa / Eulogio Nishiyama / César Villanueva『Kukuli』ペルー、リャマ飼い少女の旅と祭
大傑作。初めて製作されたケチュア語映画。監督たちは1950年代から60年代にかけて活動したクスコ集団のメンバーである(彼らは後にホルヘ・サンヒネスらボリビアのウカマウ集団が活動する基礎を作った先駆者でもある)。彼らの活動の主な目的は、特定地域の問題を周知すること、非商業的な作品を作ることであり、本作品の完成によってどちらも達成された。その背景には、この当時、ペルー国民の約40%がケチュア語を話していたにも関わらず、政府は先住民の存在を認めようとしなかったという事実があるらしい