湊川晴斗

童話作家を目指して、賞に応募する生活です。

湊川晴斗

童話作家を目指して、賞に応募する生活です。

マガジン

  • 童話&ショートショート作品集

    公募に投稿した作品以外の童話やショート・ショートを集めました。公募の童話は小学生以下を対象として書いていますが、ここの作品はどちらかといえば大人の方向けに、ちょっとブラックなものも書こうと思っています。

  • 童話習作

    自作童話ですが、習作です。上手くなるためには書くしかなく、投稿生活を乗り切るための土台となる作品を集めました。未熟なものもありますが、ご一読いただければ嬉しいです。

  • 投稿生活こぼれ話

    童話作家を目指す日々で起こったこと、思ったことを書いていこうと思います。

  • 読んだ本・レビュー

    読み終わった本のレビューを書きます。本のタイトルの前に、絵本や小説などジャンルをつけますので、気になったものを読んでいただければと思います。新たな本との出合いにつながれば嬉しいです。

  • 詩は自分の気持ちに一番近い表現です。ちょっと暗い感じのものが多めになると思いますが、どこか引っかかるものを覚えて下されば嬉しいです。

記事一覧

童話『クスノキの鐘』後編 

 雨に打たれ、風に葉を揺らしても、クスノキの幹はどっしりとして動かず、枝ではたくさんの鳥達がひっそりと身を寄せ合っていました。静まり返った鳥達の頭の上で雷が鳴っ…

湊川晴斗
2日前
6

童話『クスノキの鐘』前編

「そろそろ巣立ちかね?」  梅雨もそろそろ終わりに近づき、空は何日かぶりに晴れ渡っています。丘の上のクスノキは、カラスのお母さんに声をかけました。数年前からカラ…

湊川晴斗
6日前
7

昨日上げたS.Sは訂正したいので下書きに戻しました。スキつけて下さった方、読んで下さった方、申し訳ありません。

湊川晴斗
6日前
3

童話『星の子の冒険』 後編

簡単な前編のあらすじ 空から野原に降りてきた星の子。夜露のようにきらきら輝く星の子は、花や虫達と友達になりますが、その様子をカラスがじっと見ていました。  カラ…

湊川晴斗
11日前
7

童話『星の子の冒険』 前編

 春の終わり頃のことです。東の空から昇ってきた月の明かりが野原に降り注ぎ、草花の葉っぱが宝石のように輝きました。まるで野原が星空になったようです。もちろん本物の…

湊川晴斗
2週間前
7

S.S.『アウトテイク』

「Take1」 a.m.1:30. 時折車が追い抜いていく以外、人気のなくなった通り。歩道を歩く自分の足音が闇に吸い込まれるように消えていく。 背後からスピードを出した車が迫り…

湊川晴斗
2週間前
8

たまさか

たまさか 1、たまたま 2、めったにないこと あるnoterのコメント欄で、これはどうなんだと思うものを見かけました。詳しくは書きませんが、乏しい読解力のくせに思い込…

湊川晴斗
2週間前
5

記憶の蓋

昔が甦る 現実との違和感 記憶は五感とつながり こうじゃなかったと 異を唱える 人も、物も、同じところに留まらないのかもしれない。 良くも悪くも時とともに変わってゆ…

湊川晴斗
1か月前
10

花曇り

今日も散歩に行ったら桜が満開でした。 桜はここでおしまい。今年の花見は充実してました……これで? という声が聞こえてくるような。 いかがでしたか? また散歩にお…

湊川晴斗
1か月前
11

R.I.P.

27クラブをご存知でしょうか? 27歳で命を落としたミュージシャンやアーティスト達のことです。ご興味のある方は調べてみて下さい。著名な人物が多いです。 この記事…

湊川晴斗
1か月前
8

花散歩

ずっと部屋に籠っているとくさくさしますので、少し散歩してきました。 天気がいいのでトレーナー一枚でしたが、それでも汗ばむぐらいの陽気。この間まで寒いって言ってた…

湊川晴斗
1か月前
8

S.S『下車前途無効』

 ふと思い立って旅に出た。目的地を決めず、路線図で最初に目についた駅までの切符を買い、電車に乗った。  馴染みのある景色、住み慣れた街を後に、初めての、再び来る…

湊川晴斗
1か月前
7

自分に問いかけてみる

第40回『日産 童話と絵本のグランプリ』が発表になりました。今回もかすりもしてなかったですね。 いつも思うのです。 「やるだけ無駄なんちゃうの」 自分のことは自分…

湊川晴斗
2か月前
11

現代なら不適切な表現。昔の文芸でよく目にします。昭和の頃、僕より上の世代はBMWをベームベ~と言ってましたが、これも今では不適切? 言葉自体に罪はなく、どういう意図で使ったか、心の方が問題じゃないですか? 言葉狩りをして不適切表現がなくなれば、差別もなくなるんですか?

湊川晴斗
2か月前
12

散歩の途中で見つけた白梅。写真は今イチですが、きれいですね。桜も小さな固い蕾をつけてました。立春といっても暦の上だけのこと。まだまだ寒いですが、日も長くなってきてますし、少しずつ春に近づいてるんだなぁと感じました。風が冷たくて耳が落ちそうでしたけど。

湊川晴斗
3か月前
11

新美南吉『鳥右ヱ門諸国をめぐる』レビュー

このところ青空文庫で新美南吉作品をコツコツと読み、一作ずつメモを取っていくという地味~な作業を続けております。 この『鳥右ヱ門諸国をめぐる』は南吉作品の中ではか…

湊川晴斗
3か月前
11
童話『クスノキの鐘』後編 

童話『クスノキの鐘』後編 

 雨に打たれ、風に葉を揺らしても、クスノキの幹はどっしりとして動かず、枝ではたくさんの鳥達がひっそりと身を寄せ合っていました。静まり返った鳥達の頭の上で雷が鳴っています。
「クスノキのおじいさん、強いね。こんなにすごい嵐なのに、ビクともしないや」とカラスの子が母親に言いました。
「そうね」と母ガラスは子ガラスを羽で包み込みました。
 丘の上に白い光が瞬き、少し置いて雷がとどろきました。今までで一番

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童話『クスノキの鐘』前編

童話『クスノキの鐘』前編

「そろそろ巣立ちかね?」
 梅雨もそろそろ終わりに近づき、空は何日かぶりに晴れ渡っています。丘の上のクスノキは、カラスのお母さんに声をかけました。数年前からカラスの夫婦はクスノキの枝を借りて巣を作り、子育てをしているのです。春に少し葉を落とすものの一年中緑の葉を茂らせる上に、丘の上のクスノキは幹も太く、四方に長い枝を伸ばしているので敵から見つかりにくく、巣を作るには最高の場所でした。
「そうですね

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昨日上げたS.Sは訂正したいので下書きに戻しました。スキつけて下さった方、読んで下さった方、申し訳ありません。

童話『星の子の冒険』 後編

童話『星の子の冒険』 後編

簡単な前編のあらすじ
空から野原に降りてきた星の子。夜露のようにきらきら輝く星の子は、花や虫達と友達になりますが、その様子をカラスがじっと見ていました。

 カラスは光るものが大好きです。巣の中にガラスや金属でできた光るものをいっぱい集めています。星の子はそのどれよりもピカピカしていて、欲しくてたまらないのです。
 カラスが急降下しようとした時、笛の音が流れてきました。カラスは慌ててブレーキをかけ

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童話『星の子の冒険』 前編

童話『星の子の冒険』 前編

 春の終わり頃のことです。東の空から昇ってきた月の明かりが野原に降り注ぎ、草花の葉っぱが宝石のように輝きました。まるで野原が星空になったようです。もちろん本物の宝石ではなく夜露が光っているのですが、草花は大喜び。
「ほら、大きな指輪みたい」とタンポポがギザギザの葉についた夜露を嬉しそうに見ています。
「私はティアラを載せたみたい」とカラスノエンドウが小さなピンク色の花についた夜露を落とさないように

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S.S.『アウトテイク』

S.S.『アウトテイク』

「Take1」
a.m.1:30.
時折車が追い抜いていく以外、人気のなくなった通り。歩道を歩く自分の足音が闇に吸い込まれるように消えていく。
背後からスピードを出した車が迫り、追い越しざまにライトが歩道にうずくまっていた黒猫を照らした。瞳が青と黄色に光り、猫はオレの目の前を横切って車道に飛び出し、そのまま渡り切って闇の中に消えた。
あの黒猫も孤独な身か……というより前を横切られた……。不吉な予感

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たまさか

たまさか

たまさか
1、たまたま 2、めったにないこと

あるnoterのコメント欄で、これはどうなんだと思うものを見かけました。詳しくは書きませんが、乏しい読解力のくせに思い込みが激しく、他のコメントに攻撃的。ネットあるあるです。でもそれだけだったら、気分は悪いですが記事にはしません。

作者の努力という言葉が引っかかったのです。笑うしかありません。どんなジャンルの作品も簡単にはできません。でもあくまで努

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記憶の蓋

記憶の蓋

昔が甦る
現実との違和感
記憶は五感とつながり
こうじゃなかったと
異を唱える

人も、物も、同じところに留まらないのかもしれない。
良くも悪くも時とともに変わってゆくのだろう。
これもその一つなのかも。

なんか味が薄くなったと思ったのです。
久しぶりでしたが昔馴染みのおやつ。関西人のDNAに吉本新喜劇が刷り込まれているように記憶に定着した味。その記憶が、薄っと訴えてきました。
元々味覚が鈍く、

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花曇り

花曇り

今日も散歩に行ったら桜が満開でした。

桜はここでおしまい。今年の花見は充実してました……これで? という声が聞こえてくるような。

いかがでしたか?
また散歩にお付き合い下さいませ。

R.I.P.

R.I.P.

27クラブをご存知でしょうか? 27歳で命を落としたミュージシャンやアーティスト達のことです。ご興味のある方は調べてみて下さい。著名な人物が多いです。
この記事で取り上げるのはミュージシャン、ピート・ハム。バッドフィンガーのリーダーですが、どれぐらいの方がご存知でしょうね。
1975年4月、彼は自ら命を絶ち、27歳で世を去りました。

悲劇のグループといわれるバッドフィンガー。その理由を知りたくて

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花散歩

花散歩

ずっと部屋に籠っているとくさくさしますので、少し散歩してきました。
天気がいいのでトレーナー一枚でしたが、それでも汗ばむぐらいの陽気。この間まで寒いって言ってたのに春ですね~。でももう少しすれば、暑い。まだ4月やのに、なんて言うようになるんでしょうね。

また散歩にお付き合い下さいませ~

S.S『下車前途無効』

S.S『下車前途無効』

 ふと思い立って旅に出た。目的地を決めず、路線図で最初に目についた駅までの切符を買い、電車に乗った。
 馴染みのある景色、住み慣れた街を後に、初めての、再び来るかどうか分からない街を一人電車に揺られていく。同行者がいてはなかなかできない、こういう気ままな旅がいい。
 車窓を流れる風景を見ながら、ふと惹かれたら降りる。切符には下車前途無効と書いてあるので料金が多少惜しくはあるが、ぼくは行き当たりばっ

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自分に問いかけてみる

自分に問いかけてみる

第40回『日産 童話と絵本のグランプリ』が発表になりました。今回もかすりもしてなかったですね。
いつも思うのです。
「やるだけ無駄なんちゃうの」
自分のことは自分が一番分かりますので、無理なんだろうなぁと思うのですが、一方で
「そう言えるほど頑張ったんけぇな」
と問いかけている自分がいます。
まだできると思えたら、それは伸びしろと思っていいんじゃないかと。
やめるのはいつでもできますんで。

今日

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現代なら不適切な表現。昔の文芸でよく目にします。昭和の頃、僕より上の世代はBMWをベームベ~と言ってましたが、これも今では不適切? 言葉自体に罪はなく、どういう意図で使ったか、心の方が問題じゃないですか? 言葉狩りをして不適切表現がなくなれば、差別もなくなるんですか?

散歩の途中で見つけた白梅。写真は今イチですが、きれいですね。桜も小さな固い蕾をつけてました。立春といっても暦の上だけのこと。まだまだ寒いですが、日も長くなってきてますし、少しずつ春に近づいてるんだなぁと感じました。風が冷たくて耳が落ちそうでしたけど。

新美南吉『鳥右ヱ門諸国をめぐる』レビュー

新美南吉『鳥右ヱ門諸国をめぐる』レビュー

このところ青空文庫で新美南吉作品をコツコツと読み、一作ずつメモを取っていくという地味~な作業を続けております。
この『鳥右ヱ門諸国をめぐる』は南吉作品の中ではかなり異色ではないかと思い、レビューを書いてみる気になりました。ネタバレには注意しますが、読んでみようと思われる方はご注意下さい。

あらすじ
鳥山鳥右ヱ門はしもべの平次を快く思っていなかった。好きな犬追物をする鳥右ヱ門を見る平次の目が鋭く、

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