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R.I.P.

27クラブをご存知でしょうか? 27歳で命を落としたミュージシャンやアーティスト達のことです。ご興味のある方は調べてみて下さい。著名な人物が多いです。
この記事で取り上げるのはミュージシャン、ピート・ハム。バッドフィンガーのリーダーですが、どれぐらいの方がご存知でしょうね。
1975年4月、彼は自ら命を絶ち、27歳で世を去りました。

悲劇のグループといわれるバッドフィンガー。その理由を知りたくて読んだのが上の洋書(僕のは紙の本)。僕の英語力では正しく読んだと思えないし、ものすごく時間もかかりましたけど。

1975年、マネージャーの裏切りにより多額の金銭が失われていたことが発覚します。経済的に困窮し、人間不信に陥った彼に追い打ちをかけるようにレコード会社のワーナーとの訴訟問題のあおりで、ほぼ完成していたアルバム『Head First』の発売が中止になってしまいました。上記の本によると、ピートはこのアルバム制作に並々ならぬ情熱を注いだようです。ジョーイの脱退もありましたし、音楽にぶつけるしかなかったのかもしれません。それだけに彼の心中は察するに余りあります。

アップル時代も佳曲が多いですが、僕はワーナー移籍後の作品が好きです。アップルはゴタゴタしてましたからね。心機一転の意気込みが感じられます。しかし移籍後出していた二枚のアルバムも店頭から回収されることになってしまいました。

愛する人がいて、子供も誕生間近。それでも彼をこの世につなぎ留めることはできなかった。それほど深い闇に落ちてしまったんでしょう。批判することはたやすいけど、それはしたくない。ただショービジネスの世界で生きるには、いい人すぎたのかなと思います。

僕は人を愛したり、信頼したりしちゃいけない人間なんだろう。これがより良い選択なんだ。

ピートの遺書・一部抜粋

悲しすぎる言葉です。

ハリー・ニルソンが1971年に全米一位を取り、後にマライア・キャリーもカバーした ♪ Without You はピートとバンドメンバーのトム・エバンズの共作曲。2008年のアメリカのドラマ Breaking Bad のエンディング曲
♪ Baby Blue はピートの作品。ともにバッドフィンガーのオリジナル曲です。

『Head First』が陽の目を見たのは彼の死後四半世紀を経た2000年。経緯とは裏腹に彼の曲 ♪ Lay me down や♪ Keep Believing の曲調は明るいです。
彼が残した他の作品からも、悲劇に終わった人生を窺い知ることはできません。ソングライターとして、ギタリストとして、素晴らしい作品、演奏を残していますが、彼と同時代のアーティストを聴くと、成功って何だろう? 何が運、不運を分けてしまうのだろう? と思ってしまいます。

生きていればいろいろあります。納得のいかないことが多く、上手くいくことの方が少ない。そんな時、よく彼に思いを馳せます。
そして Keep believing.
今できることに向き合うしかないのだと思い直すのです。

僕はもう海外に行くことはないと思いますが、もし行くとすれば彼の出身地、イギリスのウェールズ、スウォンジーを訪ねてみたいです。

今は彼の魂が安らかであることを願うばかりです。




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