S.S.『アウトテイク』
「Take1」
a.m.1:30.
時折車が追い抜いていく以外、人気のなくなった通り。歩道を歩く自分の足音が闇に吸い込まれるように消えていく。
背後からスピードを出した車が迫り、追い越しざまにライトが歩道にうずくまっていた黒猫を照らした。瞳が青と黄色に光り、猫はオレの目の前を横切って車道に飛び出し、そのまま渡り切って闇の中に消えた。
あの黒猫も孤独な身か……というより前を横切られた……。不吉な予感。よくないことが起きる前兆。ふとそんな思いが頭をよぎる。
迷信だ。後戻りはしない