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旅エッセイ。どこでなにを考える?

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旅中に頭に思い浮かんだことを並べています。
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だからお前は成長できないんだってば

だからお前は成長できないんだってば

英国時間午前4時半、私はロンドンの街中で途方に暮れていた。

空港行きのバスが停まるはずの道路は工事で封鎖されていて、一向にバスが来る様子を見せることない。玄関を出た時は空はまだ薄暗かったのに、次第に夜は明けて朝日が街を照らしだしている。

飛行機の時間は午前8:00。空港に着いていなければいけない時間は次第に迫ってくるのと裏腹に、バスがやってくる気配は全くない。どうにもこのままではヤバイ気がする

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ピントがズレたのは、私達が大人になったから

ピントがズレたのは、私達が大人になったから

朝6時、ロンドン。ルームメイトがバタバタと身支度をする音で意識が目覚める。

頭も体もまだ眠っているため、すぐに眠りに戻ろうとするけど、戻った先は物凄く浅いところで、それが自分の意識の中なのか、はたまた夢なのかは判断がつかない。

そんな”浅いどこか”で、最近よく出くわす二人がいる。遠い昔に仲が良かった人たち。

仲が良かったと言ってもそのうちの一人は、私が昔お付き合いをしていた人だからまた関係性

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慣習に願いを、初詣。

慣習に願いを、初詣。

手を合わせて始まる沈黙。頭の中に浮かんだのは南無阿弥陀仏だったから、「あれ?違う」と思いかき消した。

家のすぐそばの神社に行ってから、車に乗って近所のもう少し大きな神社に移動する。2つの神社を回るこの初詣ルートは我が家の伝統だ。

願ったのは健康と世界平和。
毎年願うことは一緒です、効果の程は不明ですが。

おみくじは引かなかった。残り364日もある、今年がどうなるかなんて一枚の紙に判断

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クリスマスマーケットは夢の中。

クリスマスマーケットは夢の中。

雪は子供が喜ぶものだと思っていた。

「あぁ雪が降ってきた。」とけだるそうに窓の外を眺めるのが大人。

降り積もっていく雪を背景にして温かいコーヒーを片手に、赤チェックのブランケットを膝にかけ、読みかけの雑誌をめくるのが大人の冬の過ごし方だと思っていたんです。薪ストーブの近くには犬がいたりして。

そんな想像とも妄想とも言えるような私の未来はまだ遠いようで、現在の私は足元のドクターマーチンのチェリ

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さよならアイルランド。飛行機に乗るまでの話。

さよならアイルランド。飛行機に乗るまでの話。

普段オフィスに行くために乗るバスと同じバスに乗った。

向かう先はいつもと違う。あと車内の混み具合。何で大荷物の今日に限って、こんなに人が乗り込んで来るのだろう。他のバスがいるせいで、停留所に止まりきれずウロウロしている私のバスは魚の集団みたいな人の塊をあっちこっちに動かした。そんな人の波を横目にため息をつく。

荷物は取り敢えず詰めたけど、絶対カウンターで引っかかる。Ryanairの厳しさと追加

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きっと秋の夜長が癒してくれる

きっと秋の夜長が癒してくれる

私事で申し訳ないのだが、最近心がささくれている。

勿論ささくれた私の心のせいでケガをした人には大変申し訳ないと思ってはいるのだが、今は他の人に気を留める余裕もないくらい自分の心のケアで手が一杯だ。

特に自分がイラつく理由も見当たらないし、怒ってしまった事柄も冷静になれば大したことではないのも理解できるのだが、その瞬間はそこまで頭が回らない。

実は生理中である、と言えばそれが理由でそれまでのこ

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人生は会わなきゃいけない人に会わなきゃいけないタイミングで会うように出来ているという話

人生は会わなきゃいけない人に会わなきゃいけないタイミングで会うように出来ているという話

人の訃報を聞いた。
アルゼンチン人の同僚のお父さんが、母国からアイルランドまでわざわざ会いに来て一緒に旅行をし始めて2日経ったときの出来事だったそうだ。

同僚のその後の話によると、心臓発作が起きた彼女の父親は、そんなことがいつ起きてもおかしくない状態だったと医者からは伝えられたらしい。

最後にお互いの顔を見れた、と思うとこの悲しい事実を人伝いで聞くよりマシだとその同僚は言った。



こんな

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幸せの黄色。

幸せの黄色。

ふわりと風が吹く。

「今日はこれ要らなかったな。」

なんて思いながら、普段身に着けている赤いストールをカバンにしまった。

ダブリンの中心を流れるリフィー川沿いをゆっくりと歩く、いつもの帰り道。

長い長い冬が終わり、同じように首を長くして待っていた春の気配がやっと感じられるようになった。

なかなか終わらない冬にうんざりしながら、この国でコートを脱ぐことなんて一生無いんじゃないかって諦めかけ

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アイリッシュアクセントとバグパイプ

アイリッシュアクセントとバグパイプ

「アイリッシュアクセントはどう?」

彼が私に投げかけた2つ目の質問はこれだった。

イギリスのマンチェスターとリバプールの間の田舎町に住むイギリス人の彼。

そんな彼と私が出会ったのは、いまから6年前のことだった。

彼が私の大学に交換留学生として日本にやってきた、2012年以来の知り合いだ。

アイルランドとイングランドは、私が思っているよりもずっと近い距離にあるらしい。

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赤いパッケージ。故郷とビスケット

赤いパッケージ。故郷とビスケット

日本を離れて海外にいると、ふとした瞬間に日本のことを思い出すときがある。

それは突然に、そう、スーパーからの帰り道。ビスケットをかじりながら歩いているときにやってきた。

たった50セントの何の変哲もないビスケットが、どうして故郷を思い出すことになるのだろうか?

最初は私にもわからなかった。しかし誰が何と言おうと、そのビスケットは私にとって日本を想起させるトリガーとなったのだった。

アイルラ

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新品

新品

新しくなったという事実だけで、満足してはいないか?

iPhoneを新調した。(iPhone7だけど。)

シンガポールで直した画面は、正常に動かなかった。

16GBの容量は、私には小さすぎた。

バッテリーは1日中充電が必要になったし、

そもそもSIMフリーじゃないと、海外によく行く私には不便だ。

というわけで、ちょっと無理をしてiPhoneを新しいものに交換した。

一昨日注

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雑踏を駆け抜けた東京。朝焼けに染まった名古屋。

雑踏を駆け抜けた東京。朝焼けに染まった名古屋。

あっという間に過ぎ去った10月。

それと同様に東京で行った取材もあっという間でした。

こうやって1年はあっという間に過ぎていって。

浮かんだ感情を思い返す暇もないまま、毎日は急速に進んでいく。

東京発の夜行バスを降りたら、朝焼けの名古屋が待っていて。

新しい何かが始まる気がしたこのモヤモヤを、文章にするのは難しいなァと思ったのでnoteを始めました。

胸がきゅーっとなる瞬間とか。

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