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シイラさん #4 青二才シェフの料理帖

お手伝いしているコーヒースタンドは
どこか一風変わっている

店長やスタッフが2階にすみついとんよ
そんでいついっても
あこれはいどーぞと
あれやらこれやらいろんなものくれたりする

このまえはなぜだかどこかにいってきた〜と
みかんの主菓子をくれましたとさ

ちなみにお皿は陶芸教室に行ったときのなんだって

このまえもこのスタッフさん七草粥わけてくれたし
店長さんは寄り道して近所の老舗のどら焼きをくれたな〜

野菜の直売所も兼ねてたころは
往路より帰路、腕が重さによろこんでいた

最近もらったもののなかで面白かったのがある

近所の小学生にアンパンマン級に大人気のスタッフさん
このまえ伊豆に行ってきたからとくれたのは

真空パックに包まれた得体のしれない、魚?
さすが沿岸部らしく海の幸のよう、

きみの名前やいかに?

魚介には詳しくないので
すでにむき身になっているのでは
なにがなんやらちんぷんかんぷん

でもよくみると
袋にひっついたシール
おなまえ、あったあった

シイラ

…?

だれ?

スズキ目のおさかなさんで、見た目は銀色をしてるんだとか
青や緑のグラデーション、金色の斑点がトレードマーク

こうきくとなんか儚め〜とおもうけど
どでかいのは2メートルにもなっちゃう!らしい
そりゃあ切り身になるよね…ワイルドすぎる…

いただきものは嬉しさのあまり、いつも以上に気合が入るもん

淡白な味だからムニエルがいいよってことで
んならそうしてみよう!

時のひもじめの冷蔵庫とご相談して
えのきとパプリカを拝借

ちょっといいオリーブオイルに
ガーリックを弱く浸して火をかけてできた香りに
まだ半信半疑で色の薄い赤身をそっとおく

ゆっくり火を通しながら
そういえば、と
コンビニの白ワインをノリで回しかけて
ローリエなんかいれちゃって
すぐに蓋していってらっしゃーい

しばしそのまま音をたのしんだら
蒸気でなかが見えない蓋をえい!と
玉手箱やいかに…!

わー!できとる!
ふっっっくら!想像以上!

2番目にちかい商店街でゲットした
おっきくてちょい深なお皿に
付け合せをまずはしいて

シイラさんをおでむかえ
それらしいソテーになったじゃないの
我ながらやるやないか

和食ラバーのひさびさ洋風(?)レシピだ〜

なんだかおいしそうにつくれだけでまんぞく
だったんやけど見ためどおり、
それ以上の美味しさにはたまげた

なん、シイラ、やるやん、?、?

もいっぺん調べてみるとなかなかにおもしろいやつ、

海からあがったときにはめまぐるしく色が変化するんだって
そこから「虹の魚」ともよばれてるらしい、

しかもここらでは雑魚として扱われがちだけど
おそとにでるとハワイではマヒマヒという高級魚
コスタリカやアメリカなんかで人気者らしい

人間にとって環境はなによりも影響するもので
おかれた場所で全くちがってみえたり、かがやき方が変わったりする

そやけど魚もなのね〜と
シイラさんをいただきながら

環境をえらんだり、座り心地をよくしてみるのは
不断にしていこうなと意気込み改むもぐもぐ日和でした

ももシェフのinstagram

https://www.instagram.com/momotogohan

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