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『フィンガーネイルズ』 実は4択
余韻の残る作品。とても良い作品だったし、「ジェシー・バックリー目当て」という動機にも十二分に応えてくれたなと思う。
どうやら当初はキャリー・マリガンがキャスティングされていたが、最終的にジェシー・バックリーになったという。前者であっても素敵な配役に思えるが、やはりこの作品でのジェシーはとても良かったし、歌唱の素晴らしさも流石だった。
『ジュディ 虹の彼方に』で彼女を知って、そのあとで初主演作の
『65/シックスティ・ファイブ』 65+15点のSFスリラー
予告編での「恐竜」「6500万年前」の2つの要素でまず惹かれて、アダム・ドライバー主演ということで観ることにした。そしてそれは正解だった。
アダムの衣装や装備を見た印象で「タイムスリップ」だと思っていたので、アバンは面白い導入になったと思う。あの砂浜では現代のような雰囲気で撮られているが、沖の方に見える崖のような隆起が非常にユニークで「ここは何処なんだ」と思わせる。そして主人公の仕事が「2年間の
『A PLACE IN THE SUN at 渚園 Summer of 1988』 あの頃を思い出して
GWの前に、よく行っている映画館の上映スケジュールを見ていて驚いた。今作のタイトルがあったからだ。検索すると、なんと渚園での当時の映像を再編集して上映するという。
さらに検索すると、Rolling Stone Japanの記事が見つかり、当時の野外ライブも撮影していた今作監督の板屋宏幸が語る貴重なエピソードが。聞き手は田家秀樹ということで「陽のあたる場所」のことを思い出す。実家には何度も読んだ単
『ラストナイト・イン・ソーホー』 エドガー・ライトの新境地
実際のところ個人的にも苦手な描写があり、そこで避けてしまう人たちもいるかもしれない。しかしそれが惜しいと言える作品でもあると思う。
ジャンルをまたぐのがエドガー・ライト作品の特徴の一つで、ホラー要素の強い今作だが、ドラマやミステリー、美しい映像、選び抜かれた音楽、そして主演2人の魅力など、なかなか無い密度、強度のあるものになった。とは言え‥ではあるのだが笑。
ともあれ、冒頭の多幸感の中にも不穏さ
『DUNE/デューン 砂の惑星』 これは始まりに過ぎない
今作は公開直後にまず観て、そこから2週間後に再度鑑賞。その間に興行収入の見込みがついて続編の製作が発表された。それを踏まえて観るとまた感じ方も変わってくるものだ。初見時にはタイトルに「Part One」と付けられているのに気づいて「おお」となったし、どこまでが描かれるのかも含めて楽しむことになった。
今作を語る前にまず触れておきたいリンチ版は映画館では観ていなくてTV放送のものを最初に観て、好き
『孤狼の血 LEVEL2』 犬から狼的なものへ
今作は原作にはないオリジナルのエピソードを用意したということで、ラストの日岡の処遇を考えると、次作もありそうである。つまり映画としての三部作にするための今作、という予測もできる。
そういうオリジナルの枠組みを活かしたような仕上がりで、上林の暴れっぷりはあたかも“怪獣”のようである。ヤクザ抗争だったり怪獣だったりと、かつて日本映画で隆盛を極めたジャンルを、白石和彌監督はここで思う存分やりたかったのだ
『愛が世界を救います(ただし屁が出ます)』 声は出さずに屁をかます
宮藤官九郎が本を書いた舞台は「ねずみの三銃士」のシリーズしか生で観劇していないが、映像だけなら「ウーマンリブ」「ドブの輝き『涙事件』」は観てきている。“大パルコ人” は初めてで、のん(能年玲奈)がキャスティングされたと聞いた際は「観たいけどこの状況で東京や大阪に行くのもな」と諦めていた。それがライブ配信されるということで迷わず購入。8/18にライブで観て、アーカイブ期限内に再度観ることになった。
『プロミシング・ヤング・ウーマン』
誰が被害者になり、誰がどのように悔やみ悲しんで、怒りに囚われたか。
今作の主人公の行動の発端となる「事件」が示されたが、それはUSの人々に実際に起きた事件をいくつか思い出させることになっただろう。代表的なものがスチューベンビル強姦事件、それとブロック・ターナーによる事件であり、調べれば理解できるはずだ。
この実際の事件に共通するのは、US社会の“レイプ”に対する捉え方であり、それは「有望な若い男性