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オードリー・タンさんの話 その3

デジタル・トランスフォーメーション(DX)をどのように促進していくか、というテーマの対談を視聴しましたので、今回のそのメモ書きとなります。

同時通訳で同じ音量で多重放送であったため、非常に聞き取りづらかったですが、分かる範囲でまとめてみました。

対談者はご存知、台湾デジタル大臣のオードリー・タンさんと2021年9月に発足したデジタル庁の事務方のトップであるデジタル監の石倉洋子さん。

どちらもグローバルな視点をお持ちの人物です。

あらためてとなりますが、DXとは「ITの浸透が、人々の生活や事業経営などあらゆる面で、より良い方向に変化させる」という仮説です。

石倉さんからの最初の質問は、台湾の取り組みは「お題目を唱えるのは得意だが実行下手な日本」の手本となり得るか、というものでした。

まずオードリーさんが言われていたのが、自分は「IT大臣」とよく間違えられるがそうではなく「デジタル大臣」である、という言葉の定義から。

ITは、IoT(インターネット・オブ・シングズ)に通じ、つまりは機械と機械をつなぐこと。

それに対してデジタルは、IoB(インターネット・オブ・ビーイングス)つまりは人と人とをつなぐもの

すなわち、自分の役割は人々の参画を促すこと、また一方的な参加ではなく多方的に巻き込んでいくことだと話していました。

包括的な形で参加の量と速度を上げていく、老若男女を巻き込んでいくこと。

そして、いかに若い人を巻き込んでいくか、この取り組みを加速化するには、基本教育から始める必要もあると。

教育制度などを抜本的に変革させていくためには、

・ 若い人を閣僚にし、
・ カウンセラーや協議員などの役割を与え、
・ 意思決定をする場に立たせること。

また、頭の固い古いリーダーたちにどう認めさせるかという課題については、

・ 若い人と高齢者(この人たちは古いリーダーたちの賛同者)とのつながりを築き、
・ 高齢者でも情報にアクセスしやすく支援していくこと、
・ ネットと高齢者をつなげることが若者との交流の促進ともなる、
・ またこの過程で交流を生じさせる

残念ながらこの辺りの要素は日本は非常に弱いですよね。

また、「人々の参画を促進するための具体策」としては、

・ 法整備 - 誰もが参加しやすい仕組み化、エンゲージメント化
・ 「参加しませんか」のポップアップ - 社会参画してアイデアを実行してもらえる機会をどれだけ用意できるか

という回答も。

続いて「デジタル変革とは何か」という問いについては、「平和を創り出す」という回答が。

境界をなくすこと、つまり関係性を理解し、世代や地域を越えた将来の問題の解決につなげていくことが一番のデジタルを用いることでの変革である

という説明でした。

また、日本でも起こりうるであろう「取り組みを批判する人への向き合い方」としては、「リバースメンターシップ」が必要という表現をされていました。

要は、批判する人たちに意思決定のプロセスに参加してもらうということですね。

批判する人は、つまるところ「気にする人」でもあるという考え方です。

「あなたがデジタル大臣ならどうするか?」と訊いていき、その人のアイデアを導入したらそれ以上の批判はしなくなり、もしくは建設的な批判をするようになるという流れです。

そのためには、

① 間違えていたらすぐにあやまること
② 時間を空けないこと、早い反復と実行、対応力が必要(先延ばしはしない)

と話されていました。

オードリー・タンさんとしての長期目標では、台湾の成長のため民主化されたデジタルツールを活用し、隅々まで普及性の高い社会にしていきたいと話されていました。

そのコミュニティと関わることで相互に生じる充足感、「幸せの共有・シェア」という表現をされていました。

・ オープンデータの前にオープンAPI(※)を推進
(※APIはアプリケーション・プログラミング・インターフェースの略称であり、OSやソフトウェアが提供している機能を外部のアプリケーションから利用できるようにするインターフェースのこと。)

・ 情報共有の前に、情報の収集状況の共有を図る。行政でも企業でも個人でも、機関と市民協働の精査によるスピードアップ - 情報の信頼性も高まる

デジタルは手段であり、必要なのは「どういう世界を創っていきたいか」、そのためにつながること。

デジタル教育が可能な世の中になり、学ぶ場はどこにでもあり、時間軸もなく、キャンパスやクラスメイトといった物理的な概念もないため、あとは学びたい共通項があるかどうかだけ。

今は世界中のコーチから学ぶこと、タイムゾーンをズラすことで異文化との対応が可能となっていることからも、短期目標(個人としてのゴール)としては、新たな言語の習得、特に日本語というリップサービスも。

これは以前の講演会でも訊かれていた「個人の習慣」については、やはり寝る前に資料を読み込むことで、寝てる間にアイデアや解決策が思い浮かび、起きてすぐにアイデアを書き留めることができると話されていました。

こういった人物に是非、日本のデジタル庁の手本となるべく連携を図っていただきたいですし、何なら国を越えて兼任していただきたいところです。

今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。


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