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口撃する人は相手の度量に甘えているだけ

業務の引継ぎに際して、またそこから生じるいざこざについてはこれまでも何度か似たような状況を見てまいりました。

問題はどのような経緯がそこにあって引き継ぐことになったのかということ。

スムースな引継ぎになるかどうかというのは、引き継ぐ側と引き受ける側の人間関係が、もともとどういう関係性であったかというのも影響しますよね。

お互いへの印象が良いか悪いかという感情的な要素です。

例えば、引き継ぐ側が栄転となり、それほど知らない後任者に業務を引き受けてもらうなんていう場合は、比較的スムースに業務の受け渡しができるのではないでしょうか。

反対に、引き継ぐ側に何らかの問題があると判断されて本人からすると志半ばにその部署を離れることになり、その上、引き受ける後任はと言えば、引き継ぐ側からしたら「なんでコイツが」と到底認められない人選だった場合。

この「認められない人選」というのも様々なパターンがあるかと思いますが、ひとつは第三者から見ても明らかに能力が劣るという人選ミスの場合と、普段から双方もしくは一方的に関係性を拗らせており個人的にどうしても認めることができない相手であったという場合。

今回は、この後者のパターンで、上司が交代したことを部下たちも大喜びな状況で、誰が見ても適切な配置替えなのですが、当の本人だけがそれを認めることが出来ずに、あろうことか引き受けた後任者への恨みを更に募らせているという最悪のケースについて触れてみます。

もともと引き受けた側には、前任者に対しての個人的な感情はそれほどなかったとしても、いかんせん事あるごとに結構きつめの当たりで接してくれば、否が応でも双方のピリピリ感は増していきます。

傍目には前任者と後任者の引継ぎでしかありませんが、前任者の目からはおそらくは仕事を奪われた側と奪う側の関係性ですから、なかなか平穏な関係とは言えませんよね。

見ていて辛いのは何かと言いますと、後任者は大人の対応をして、前任者からの度重なるきつめの当たりを何とか凌ごうとされているということ。

それを良いことに、建設的な意見を出し合うような会議の場にあっても、なぜだかいつの間にか前任者が後任者を責めているような構図になってしまいがちです。

引き継いだ部門のことは、もともと自分の方が詳しいわけですから、確かに気になる点については沢山指摘するポイントが分かるわけです。

ですから、「あれはどうなっている」「これはどうなっている」と重箱の隅をつつくようにチェックしていくわけですが、そもそも同僚であって上司と部下の関係でもないわけですよね。

そして、求められた答えをちょっと言いよどんだりすると「こんなことも把握していないのか」とそもそもは大した引継ぎをしていない自分のことや、同じように問題を抱えている自分の現在の担当部門のことは棚に上げて、さも鬼の首をとったかのようにここぞとばかりに攻め立てます。

醜い争いというか、見るに堪えない一方的な痛々しい口撃は、後任者がぐっと黙って耐え忍んでいることもあり、どんどんエスカレートしていきます。

そして思ったわけです。

人のことを攻撃・口撃する人はなぜ、自分も同じ目に合うと思わないのでしょうか。

相手も自分も同じ立場で、それぞれが受け持つ部門があり、それぞれの部門において問題が生じていますから、お互い指摘し合えるような要素は持っており、言いかえればお互いがお互いを攻撃できるだけの武器を持っているのです。

にもかかわらず、人に圧を加えたり、きつめの態度で相手に出たりする人は、なぜ自分だけが一方的に攻撃を相手に加えて、その相手から反撃されるとは思わないのでしょうか。

「オレはミサイル持ってるから凄いんだぞ」と同じくミサイルを持っている周辺諸国に対して威嚇してポンポンとぶっ放す北朝鮮とやっていることは一緒です。

こちらだって、いつだってやり返そうと思ったらできるのですよね。

組織というのは目的集団です。

自分の方が知識があるのであれば、それはマウントするための道具に使うのではなく、お互いの状況をより良くするために活用していけばいいものです。

そのためには、とるべき態度や姿勢があり、言葉のかけ方があるはずです。

どこかのお寺の前の掲示板に標語が掲げてありました。

「正しい意見でも思いやりがなければ言われた人は傷つく」

傷ついた相手は、果たして黙っていつまでもそのままでいてくれるのでしょうか。

同じようにこれまで傷つけられてきた部下たちは次々と去っていきましたし、かろうじて残っていた部下たちも新たな上司を歓迎しているという事実に、目を背けずに向き合うことはできないものなのでしょうか。

調子に乗って一方的に攻撃や口撃を相手に加えている側は、いつだって反撃できる余地のある相手の寛容さによって守られているし甘えさせてもらっているということをどこかで知っておく必要があるし学ぶ必要があると思っています。

今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。

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