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今思い返しても冷や汗ものの大失敗

以前のコラムで過去の失敗談について話をしましたが、拠点長になってから1年ほど経過した時にも現場で大きな失敗をしています。

もう20年以上前になりますが、当時は訪問介護と訪問入浴の営業所を兼務しており、体力はあったものの訪問介護の巡回夜勤後に、訪問入浴のスタッフとしても出動するようなケースもあり、今思えばかなりハードな仕事の仕方をしておりました。

別に休めなかったから起こした事故というわけではないのですが、そんなある日にやらかしてしまいました。

それはある日のこと、団地の3階にお住いのお客様に訪問入浴のサービスで伺った時のことでした。

ご存知ない方もいらっしゃるかと思いますので説明をしますと、訪問入浴というサービスは、寝たきりのお客様のお部屋の近くに「簡易浴槽」を組み立ててそこでお風呂に入っていただくサービスです。

設置した簡易浴槽の上に、ハンモックのようにネットをたわめることの可能な担架を設置して、ネットを張り詰めた状態の時にお客様をその上に移乗させ、少しずつネットを緩めることで徐々に徐々にお湯につかっていくことが出来るようになっています。

頭の部分は、美容院の洗髪台の流しのようになっており、身体が浸かるお湯と洗髪した際に流すお湯が一緒にならないように分かれています。

そして、お湯を扱うということは、その浴槽にお湯を満たすための給水ホースと、使用したお湯を流す排水ホースが付随しています。

一軒家の場合などは、お家からお水をいただいて、車に積んである給湯器からホースをつないで給湯しますが、団地のような集合住宅など高層階での入浴の際には、車載の給湯器が届かないため、お家の湯舟にお湯を貯めておいていただき、そこから簡易式のポンプを使用してホースを引き給湯します。

また、使用したお湯は一軒家の場合などは外のマンホールなどに流すこともありますが、マンションの場合などだと、これもお風呂場に排水させていただきます。

訪問したのは古い団地で、おそらくは後付けで作ったであろうお風呂場が、何故か台所の一画に設置されていました。

台所の中に設置されていますから、排水の対策として少し足場が高く設置されています。

そこからお湯を引いて、また使用したお湯を流させていただくわけですが、本来であればお客様にお風呂に入っていただく間も、ちょくちょくお風呂場に様子を見に行って、給湯や排水に問題がないのか確認をしないといけないのですが、慣れてきたこともあったのとお客様やご家族との会話に夢中になっていたこともあり、その確認が疎かになっていました。

お客様がお風呂に入り終わり、使用した浴槽の片づけに入り始めた際に、台所に行かれた介護人さんから「台所の床が濡れている」と知らされました。

慌てて台所に行ってみると、お風呂場の排水溝に入れていたはずの排水ホースの先端が、台所に落ちてしまっていました。おそらくは排水溝にぴったりハマっていなかったことで、排水時の勢いでお風呂場から飛び出してしまったのだと思われます。

その時には既に浴槽一杯分の排水は既に流れ切っておりました。そして、台所の床がそれほど濡れていないということは残りのお湯はどこに行ってしまったのか。

ご家族に断りを入れて、直ぐに団地の下の階の部屋に突撃しました。

下の部屋には若い男性がお一人でいらっしゃいました。

「これは一体何なんですか」とポタポタとお湯が滴る部屋の中で呆然とされていました。

不幸中の幸いだったのが、この階下の住人さん、失礼ながらあまり片づけをされていなかったというか、水漏れにあった部屋の床には一面、マンガ週刊誌が3冊分くらいの厚みで床の表面が見えないくらいびっしりと敷かれていました。

これが、ほとんどすべてのお湯を吸い込んでくれました。

その日は残りの仕事は他のチームに任せて、階下のお湯を吸い込んだ雑誌の大片づけを。

社内のリフォーム部門にもすぐに連絡をして、汚してしまった壁紙の修繕や電気系統などの漏電チェックの手配をしました。

3階での入浴でしたから、あの山積みされた雑誌がなければ被害は更に下の階まで拡大していたはずです。

決められた確認事項をしなかったがために発生させてしまった事故です。

決められたことは実行する。

決めたことを実行することで、はじめて規律が守られる」というのを経験から学んだ出来事でした。

失敗することを恐れる必要はないと思っていますが、その失敗にどう向き合ったかが重要であり、同じ過ちを繰り返さないことが大切です。

皆が学んでくれているからなのか、以来、「湯舟一杯分」という私がしでかした以上の水漏れ事故の報告を聞いたことはありません。

今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。

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