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詩 大切なものたち 記憶の中で

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形象化と現実は、少しズレていて、本当の出来事より印象に残ったりします。
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2021年4月の記事一覧

詩)横浜の老詩人〜コロナ禍での久々の邂逅

詩)横浜の老詩人〜コロナ禍での久々の邂逅

横浜は いつも若さを求める街だ
中華街はドラゴンの悲鳴と雑踏
三国志は 胃袋の資本主義にねじ伏せられ
神さえも 商売繁盛が身上だ

さて この街で
老詩人たちの会合があった コロナで久々の邂逅だ

元気だったかい ああ  おまえこそ

老詩人は しゃんと背中を伸ばしていた
豪華な小判型の大皿には
一羽の鳳凰鳥が羽ばたいていた
ひとつとして 同じ料理はなかった

老詩人はうまそうに
一杯ビールを飲ん

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詩)缶コーヒー

詩)缶コーヒー

缶コーヒーは微糖がいい
冬の寒い日
自動販売機からゴロンと出てくる
暖かいコーヒー
新米の頃 車で回って歩いて
ごつい手の大先輩から
ほら、と 渡されて 
すいません 
ありがとうございます。
缶コーヒー。

暖かいコーヒーを握りしめた

寒い日には 微糖がいい
甘さで体も温まる

あの頃は
流れる音も
町の景色も
まだ
とにかく やり直せば生きていける
そんな風に思えた
誰でも 生きていくくらい

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詩)箱根の雨の夜に〜

詩)箱根の雨の夜に〜

箱根の温泉の脱衣場で
風呂から上がる身支度をしているときに
まだオシメをつけた子どもを抱いた男性が入って来た
いがぐり頭の金太郎のような顔

1歳くらいですか。
1歳6ヶ月です。
お父さん子ですね!
ピッタリひっついて離れない子どもを嫌がらせないようにそのお父さんは少しずつ脱がせていく
最後だけどうしても大変そうなので

一瞬 こちらで預かり

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詩)みじかい詩〜4月に贈るエール

詩)みじかい詩〜4月に贈るエール

あ。

えっ
あ。

あっ

あ〜

よろしくです。

どうも。

ああ〜
あ。
あああ
ああああ〜

あ、
ですね。

なんとも

あ。

そうですよね。

あ。

ああ
これからも
あっで。

なんだか
いきたい
んです。
とにかく。

よろしく

あっ!

意外と
長くなって
しまいました。

もっとみじかい
予定で。

なんせ
みじかい
みじかい
たった
いちどの
人生

あっと
いう間の

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詩)ヒゲ剃り〜馬鹿な息子を許してくれ、親父

詩)ヒゲ剃り〜馬鹿な息子を許してくれ、親父

風呂場でヒゲを剃ると
気持ちよさそうに目を閉じ
鼻の下を丸めていた親父

風呂って
いいよなあ
最近 つくづく思う 一人でいられる時間
もう少しゆっくり入りたかったよな 親父
今にして 思う

なんの映画だかは忘れたけれど 昔の映画で
ゾリゾリと男同志ででヒゲを剃り合うシーンがあった。お互いじっくりと ゆっくり ゆっくり剃るんだ。 

人生って、なんてせっかちなんだろう
急いで大きくなろうとして 

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