げん(高細玄一)「もぎ取られた言葉」コールサック社より刊行中!

第1詩集「声をあげずに泣く人よ」2022年6月第2「もぎ取られた言葉」コールサック社よ…

げん(高細玄一)「もぎ取られた言葉」コールサック社より刊行中!

第1詩集「声をあげずに泣く人よ」2022年6月第2「もぎ取られた言葉」コールサック社より刊行 http://www.coal-sack.com/syoseki.html 横浜詩人会、横浜詩人会議、日本現代詩人会所属  茅ヶ崎市在住  「詩集の店」店主

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第2詩集「もぎ取られた言葉」が刊行になりました!

コールサック社様より、第二詩集「もぎ取られた言葉」が10月27日発売になりました。第1詩集「声を上げずに泣く人よ」ともども、よろしくお願いいたします。装画は前作に続きmichiakiさんです。 世界を解釈する際には、その地域で引き起こされている悲劇的な犠牲者の行為そのものを、「既成の言葉」を超えていく「新たな言葉」として認識していく必要がある。高細玄一氏の詩篇は現代詩の限定された言葉の美の世界を食い破っていき、不条理な世界の地域社会で犠牲者となって、この世界から抹殺されてい

    • 詩)僕の鳩は地球の上で

      地球の上を飛ぶ 小さな山鳩 僕は小さな欲望で生きている 悲しいくらいの 貴方を もし小さな檻に閉じ込められたら 欲望なんて 形はない さっきまで賑やかに話していた子が 一人になった途端 別人のように黙るように 僕の鳩は 風に流されて 行きたいところへも行けず 自分の運命を 自分ではどうすることも出来ず 逆らいながら 真っ直ぐに生きたいと願い 飛べない羽根を憎みながら 普通の顔をして飛ぼうとして 教科書にも参考書にも どんなに読んでも書いていない答え それを知りつつ 

      • 再生

        服部剛のポエトリーサロン 第87回に登場させていただきました。

        ① サザンオールスターズを語る ② 詩の力 〜 平和を願う ③ 詩が人々に読まれまれるために 〜一箱店主をして思ったこと ④ ジョン・レノンが語る「愛」とは ※ 朗読は高細玄一さんの「追悼しない理由」です。

        • 詩 ノックの音 

          不意にドアがノックされる。 ああ君か。どうしたの、こんな時間に。 なにかあったのかと心配になり聞いてみる。 彼は黙っている。 一昨年職場を退職した私は、それ以来彼とはほとんどあっていない。今日は何か悩みでもあってきたのだろうか。そんなに親しい仲ではなかったが、少し人の前に立つのが苦手そうで、会議で何か意見をまとめるときは、わたしのほうを向いて同意を求めてきた。私が目で同意の合図をすると、落ち着いたように意見を発表し会議の中で冷静に意見をまとめるタイプの、どちらかというと自

        マガジン

        • 妄想
          245本
        • 異質をたたえる
          145本
        • 詩 大切なものたち 記憶の中で
          166本
        • 詩 社会へ 個人へ
          209本
        • stand fm
          6本
        • note詩を読んで~僕が出会ったきらめく詩作品
          36本

        記事

          詩)アイラブユー

          尾崎豊を聴きながら 窓叩く風に頬寄せて 街に埋もれそうな 今日の出来事 なにもないよ 実際なにもなかった いや 何かを求める気持ちは もう とっくに失せていて もう自分の中の虚構に 付き合えなくなった 俺はもう狂えない 初めて出会った時 ときめきは 埋もれそうな花のように 確かにあった 12時近い最終列車 ひとりひとりが孤独に うつむく ひとりまたひとり 去っていく もうこの先はない もうこの先はないと つぶやく 目の前の景色はどこまでも続くのに モナカアイスを食べ

          詩)夢の中の夢

          なにもない ほんとうは なにもない ディパックに 顎をのせ 鞭の音を聴く 階段の下は 突き立てた Yと平ら チカチカ電灯 非常停止ボタン あゝ もうなにも 変わらない 変わらない意味 意味のない意味 なぜ 生きている なぜ 殺される なぜ 自分だけ なぜ 飢えずに なぜ 武器を持たずに なぜ 生きている 問いかけの意味 問われることの意味 問わないことの無意味 自由の中にある不自由 不自由の中にある自由 小さな自由に満足し 満足とは主観 殺される恐怖は その

          詩)本読みの悲しみ

          中野の書店併設の ブックカフェには お席の利用は60分までとある 女性がふたりで喋っている ひとりが仕事のことを話し 「わたしが気に入らなかったんじゃない?」 「ええ!」と話はどんどん広がって  壁際の席には 老いた男がひとり 本を広げている 帽子を被り じっと影のように もうただのブックエンドのようだ 俺の人生はなんだった? つまらない権威を守るために 嫌なことを我慢してやってきたのに どうして俺は どうして俺は 幸福にならないんだ 誰にも振り返られず こんなところで

          詩)永遠

          出口のない入り口に入る あるコーヒーショップで ぼくの左側に白髪の老夫婦が座った 男が切り出した 今年は神輿が出るらしいよ 女性はそうといい 興味なさそうにアイスコーヒーの氷をくるくる回している 男は話しかける 女は目の前のサンドイッチを食べる ただそれだけの光景だった きっと 永遠に こんな風で 入り口しかない わかったし わからない わかったような それも違う そんなふうにない出口を求めているのかいないのか 入り口があるのだから出口があると信じて そんなふうに よく

          詩)妄想客室Ⅳ

          文庫本を閉じて 振り返る 闇の中心で  黒のスニーカーで思い出す あの日 僕の革靴を見て 黒のスニーカーでもスーツと相性いいですよ そう言われ とりあえず よくわからないので 一緒に選んでもらった 部屋の窓に息を吹きかけ  愛と書いて見る 真夜中の月が小さく外に浮かんでいて 営みが窓の外にあるのを感じる 黒のスニーカーは あれからずっと愛用していた 営業で吐き潰し もう一度あの店に行った なにかを期待しているわけではないと言えば嘘になる あの時スニーカーを選んでくれた彼女

          詩)パクス イスラエル

          カーン・ユニスの遺跡の間で人生は続いている ガザへの継続的な攻撃により教育が中断された後でも カーン・ユニス東部のアバサン・センターで子どもたちに日常を取り戻してもらうために 若者のボランティアによる教室の開設が行われている こんな狂った飢餓と破壊が地上を覆う中でも 支配欲と金銭欲が笑いつつ死を強制的に押しつけて来る日常の中でも 精神的な迷子にならずに続いている 私の肩は決して小さくなりませんでした 私は抑圧者たちに立ち向かいました 私は孤児で 服を着ておらず 裸足。

          詩)スクランブル交差点

          田植えの風景を新幹線の車窓から見る 昨日は渋谷のスクランブル交差点にいた 異星人のように開催中のパレードを逆流するのだ 切り取られた絵のように次から次へと入れ替わっていく中を 車窓からは山並みが見える 山の木はなぜ綺麗に稜線を描くのだろう ちゃんと線になっている 近くで見るとバラバラなのに  スクランブル交差点は雨が降り出す ぽつぽつ 頭のてっぺんにそのひとつぶが ぽつり当たると 何かの合図か 赤は青に 右は左に わたし明るいものには嘘があると思うの 花ってそうじゃない 

          詩)妄想客室Ⅲ

          明るいラテンの音楽が流れるバーで 王族の一人という男は 手のひらをしっかりと握って 真っ直ぐにわたしを見て 言った 「駱駝40頭をあげるから嫁に来ないか?」 ぎゅっと握り締められた手のひらは 脂っこく  わたしはこのまま  とんでもない世界に行ってみようかと 半ば思っていた あのまま客室に戻って あのまま 彼の横で 駱駝の瘤に挟まれる夢を 見ていたら わたしはあの時48歳 もう何も起きないと思っていたから それからなぜか 不思議ことが連続して起きた 駱駝の王子とはお別れし

          詩)妄想客室Ⅱ

          会いたい どうしようもなく 会いたい どうしようもなく そうなんだ なんて ものわかりがいいんだ 毒付いて 寝れなくなり 二度目のシャワーをあび 枕に顔を埋める 赤い髪の小柄な君 マスクをして そっくりな娘が斜め前の車内の出口付近にいる ワイヤレスからはクレージーケンバンド 5分だけでいい お前の愛したヨコスカのうみに抱かれて 泣けばいいだろ 赤い髪のあの娘はいい子だった 飲み屋で熱燗を頼んだら ニコッと笑って 少し多めに入れてくれた 最初びっくりして いいの?と聞いて

          詩)妄想客室1

          好きだという気持ちを隠せなくなった時 ノートパソコンに向かいながら 心はキーボードにはなかった 蔦屋に併設されたコーヒーショップは 独りがいい 目の前の二人 あの頃 僕らもそうだった 辛いものだ 思い出を辿るのは ここで あの手の上に 重ねていた 仕事が終わらないので 結局 ホテルの部屋まで持ち帰った 約束した18時半には行けそうもないので 天候がよくないから今日は辞めようとメールしたら 案外簡単に そうだね そうしようと言って来た 本当は会いたかったのに カツカツと仕事

          詩)後悔

          好きは 言葉なのだ 好きは もっと違う 毎日 気になって 本当は 毎日 どうしようもなく それは何かないと 言葉には ならないのだけれど でも もう 僕なんかと 思うのだ その瞬間 言葉の中では 好きも なにも  もう ただの意味のない 暗号だ 好きなんて もう言えない 好きでも 言えない それは 不思議なくらい 怖いくらい 発したら 自分の人生を全部 そこに賭けないと と思ってしまう  そんなことは出来ない わかっている 悶々と いい歳こいて 詩を書いて そこに な

          詩)ゴーストライターの悲哀

          ゴーストライターの悲哀は 真理と似ていて違うもののような  正しいことを書いても  正しさの価値観に従って書くのではなく  立派な人のようで正しさのために書いているのではない 貴方が誕生した時 貴方は泣き 世界は喜んだ そんなことを書けば 誰かの作品になる 桜はもう見たくない 毎年見ているから 生命力をみたいという気持ちが薄れる いいものは何度も読みたくなるのに 友がみんな偉く見えてしまう劣等感  何かの力が浮かぶ 仕事が途切れた  失業者になった 今日は最初の失業認定