げん(高細玄一)

第1詩集「声をあげずに泣く人よ」2022年6月コールサック社より刊行 http://www.coal-sack.com/syoseki.html 横浜詩人会、横浜詩人会議、日本現代詩人会所属  茅ヶ崎市在住  下北沢「詩集の店」店主

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第1詩集「声をあげずに泣く人よ」2022年6月コールサック社より刊行 http://www.coal-sack.com/syoseki.html 横浜詩人会、横浜詩人会議、日本現代詩人会所属  茅ヶ崎市在住  下北沢「詩集の店」店主

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      声をあげずに泣く人よ (高細玄一詩集)

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      声をあげずに泣く人よ (高細玄一詩集)

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    「声をあげずに泣く人よ」発売になりました。

    私の第1詩集「声をあげずに泣く人よ」がコールサック社から発売になりました。 coal-sack.com/syosekis/index… ぜひ、ご一読いただきますようお願い申し上げます。 「本当に悲しい時には、声をあげて泣くこともできずに、ただ心の中で泣いている人が、本当に泣いている人なのではないか」鈴木比佐雄

      • 詩)日曜日 朝7時52分

        日曜日 朝7時52分発の車内 日曜日にゆっくり寝られることは しあわせなのかもしれない いや 日曜日でもこうして ここにいることの方が  しあわせなのかもしれない 寝る 微かな抵抗 スマホは麻酔 こうやって運ばれ モヤモヤしたまま 目を瞑っても 冴えている どうしても この不自然に いつまでも 生き続けるしかなく 進め 進め 日曜日 そういえば  さっき置いてきてしまった 抜け殻と一緒に もうひとり

        • 詩)鰻重特上

          父が死んだ時 母は居なかった 22歳からずっと一緒に暮らしてきたのに 最期は離れ離れだった (死ぬところを見られたくなかったからよ) 母は意外なほどサバサバしていた まだ父が元気な頃 父と母を鰻を食べに連れていった行った 鰻重特上 もう食べられなくなるかもしれないと思い いちばんいいものを食べてもらおうと「特上」を頼んだ その場で鰻をさばき 蒸して焼く 鰻を焼く香りが店中に充満し 頭の中は柔らかくて厚みがあるタレの沁みた鰻とご飯で満たされる 匂いだけで鰻を食わせる落語の

          • 詩)僕らの不器用な歌

            名前さえ告げようとしない 傭兵の前でも 古いアコの音色でもって 歌は賑やかに始まった 僕らの不器用な歌はまだ続いている 曇り空には微笑みを  湿った風には乾いた涙を 傭兵たちにも 一本のバラを 僕らの不器用な歌はまだ続いている 愛する人の表情を思い出すのは とても大切なことだ  君はとても綺麗だ  僕らの不器用な歌はまだ続いている 君には君だけの美しさがあると どう思われようと 笑われようと 普段は無口なんだけど 僕らは不器用な歌を歌い続ける 曲がりくねった水路や お

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          • 詩 社会へ 個人へ
            げん(高細玄一)
          • 詩 大切なものたち 記憶の中で
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          • 妄想
            げん(高細玄一)
          • 異質をたたえる
            げん(高細玄一)
          • note詩を読んで~僕が出会ったきらめく詩作品
            げん(高細玄一)
          • 詩 1 どこかにある風景
            げん(高細玄一)

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            詩)女房と銭洗弁天

            テキトー男である わたし 詩を書いてますとなかなか周囲に言えない いわゆる「詩人」というイメージとは程遠い 言葉の魔術師とかではもちろんない 繊細な神経は持っていない うるさいことは聞き流す よく「ハイハイ」と返事をし 「ハイ」は一回でいいと女房に言われる 女房はなかなか面白い 昼にラーメンを食べていると急に笑い出す どうしたの? 小葱の輪っかに箸が入って動かなくなった ほら とみせてくる  ほんとだ  小葱の細い輪っかにすっぽり箸が入っている 女房が鎌倉の銭洗弁天に行こ

            詩)絶滅と選別

            どうして こんなにも眠いのだろう  少し寝たいと思っているのに どうして立って歩かねばならないのだろう 昨日の夢をはっきりと思い出す 《小学生の僕は  薄い長方形のプラスチック製の容器に蟻を入れ 蟻が巣を作るのを観察している 蟻の巣が作られて 毛細血管のように巣が伸びていく 違う種類の蟻をそこに入れる これまで黙々と働いていた蟻の日常は消えて  そこは戦場になる 蟻と蟻はお互い殺し合い 全滅する》 立ちながら僕は何かの列に並んでいる 相変わらず眠いのだが 順序よく並ぶこと

            詩)今日はもうおしまい

            残業して遅くなって 詩を書こうとメモを広げた けれど 頭がまるで回らない 今日はもう おしまい 女房が 母ちゃんが といい すい臓がんかもと言う さっき電話があってね まだわからないけどね と 言われ そうか もう手術は無理だね そう答え もうなにを考えても なにも浮かばない 親父と一緒の病か それで 今日は もう おしまいです

            詩)「深夜のため息」のために

            ため息は積み重なるが あることさえ気づかれない なにから始めればいいのかさえわからない 失いかけた言の葉を探しにいかなければ ないがしろにされ続けてきたものを 余白にしか書いて来なかったものを 引き裂かれたものをもう一度 修復しなければ 一瞬が去ってしまうその前に これほど息ぐるしいのに つめ込まれた石が咽の先まで覆い尽くし 一息一息がもう声も出せないくらいなのに それでも語ることが出来ない語り合うことが出来ないのは 何故だろう もっと単純に生きたいのに否定されてしまうの

            noteのフォローを整理しました。すでにnoteを退去されている方、全く動いていない方、この間全く接触なしの方などです。 意外な方がnoteから去っていることもわかりました。

            詩)表装師 山崎さん

              〈靴底の鋲が 殺風景な道を何も言わず歩く〉   表装師の山崎さんが「何かを書きたい」と言う 横浜マイスターに選ばれた山崎さん お客さんに語ることではなく 自分自身に語りかけるつもりで 言葉を書きたいんです 「日常の在り方はいつも同じなのですが   こんな殺風景な景色でも  残しておく価値はあるものでしょうか」   (一本の鉛筆で書くこと 表装で壁に向き合うこと)   障子を張り替える 襖を張る 掛け軸や屏風  紙と木でできた調度品を治すのが表装の仕事だ 装飾と補強 知識

            詩)招福猫児のお告げ

            豪徳寺の招福猫児を授かる 3号のいちばん小さい猫 そんなことが楽しく 女房と二人で境内を歩く 世田谷ボロ市で焼物の小物を探す やっぱりいいと思うものは高いねと言いながら 九谷焼の小皿を見つけ出す 赤い地の絵付が鮮やかだ 値段も手ごろ 片っ端から店を周る あれどこいった? 女房が急に消える   少しでも気になるとふっと動く  左側通行に規制されて  人混みはなかなか動かない   こんなところで大人の迷子は嫌だな 三年ぶりだ こんなふうに歩くのは 帰りながら 10年くらいし

            詩)罪人の言い訳

            裏を知らない人間は裏を語れない 正しいことしか語らぬものは 正しさがなにを追いつめるかわかっていない 罪とはいつも自分の前にあり 過ちは人の前にいつもある まっとうに生きようとして まっとうさの重さを持ちきれず それでも去ることもできず 正しさは狭く なにも許さない 自分の渦を感じながら 渦はどうしようもない大きさに 過ちだらけの僕なんだが 正しさはもう少し引っ込めて やや斜めに生きてみたいと思う あんまりいいことではないので 他の人にはすすめません こっそりと そうしま

            詩)閉ざされた白い窓の外の景色

            詩)俺の夜

            夜 オレンジの光が流れる こんな時に 自分が殺されることを考える または 自分が誰かを殺すことを考える 光線は右に左にひかる ゴドゴドと何かがなる 片隅は真っ暗闇 後ろに人の気配がする ガサゴソと這うように動く 遠くから誰かの笑い声が幻のように聞こえる 切なくも悲しくもない自分を知る けだもののようにギラついた気持ちで前を見る 右足の下の石ころがカタリとなる その瞬間 右から光が見え 自分を正しいと信じるのは 批判と感性を眠らせる 夜 オレンジの光が流れる こんな時に 自分

            詩)言いかけの言葉のように

            沈むイメージ 空は穴があいている 穴はだんだん広くなる 終わりがない いまはこうして 浮き上がって いるけれど 平面図の支配 アナログな世界で競うこと それで何かが生まれ 評価される でも 道路の脇から生えている 草たちの息吹に 惹かれるのだ 方向感覚を失い 河口付近に迷い込んだ鯨は 行き場をなくした 僕たち ここにいるしかないけれど ここはどこなのか はっきりとわからない 連なる こと は ない  ただひとつ または ただ ある  沈む こと だけ が わかる 言い

            詩)「敵」攻撃能力

            隣人が「敵」になった 昨日までにこやかに あいさつを交わしていたのに  「敵」がいま 隣にいる 「敵」はいま なにを考えているのか 壁に聴診器を当てて「敵」の動向を探る 「敵」の武器はなにか  夜中まで起きているのか そもそも「敵」はなにが目的なのか  こちらの備えはあるが どこまで備えれば万全か 「敵」はどこまでも強く見える 隣人はどんなタイプの人間か 少し情報収集するのだ 自分の敵攻撃能力を高めるしかないのだ しかし どこまで高めれば 「敵」を上回れるのだろう 眠れな