マガジンのカバー画像

note詩を読んで~僕が出会ったきらめく詩作品

36
noteには膨大な数の詩作品があります。その中で僕が出会ったきらめく作品を紹介させていただきます。大変僭越ですが、少し応援するつもりで。もっとたくさんの人の読まれるといいなあとい… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

[詩] おとうさん

おとうさんがきらいだった おとこだったらよかったなと いつもわたしにつぶやいた あにとわたしがはんたいだったら よかったのに と わたしもおもった おとこのくせに と いわれなかった おおきいんだから と いわれなかった わたしはおんなのすえっこで わたしは ちちのきにいりで それでも そんしているようだった おとうさんがきらいだった おおきくなったらなにになる そうりだいじんが わたしのこたえ だけど いえでえらいのは だんなさんだと おしえられた ほんきでそうだとおもっ

メンタルヘルスの重要性、そして「NO」と言う勇気

アスリートにだって、人権はある。 そして悪しき慣習や改善の余地のある環境は、変えていくべきだ。 「女子テニスの大坂なおみ選手が四大大会第2戦、全仏オープン(パリ)のシングルス1回戦勝利後に記者会見を拒否したことを受け、四大大会の主催者は30日、今後も違反が続けば全仏で失格、他の四大大会で出場停止処分の可能性を通告する異例の共同声明を発表した。同日の罰金として1万5000ドル(約165万円)を科した。」 大坂なおみ選手は「記者会見は選手のメンタルヘルスに全く考慮していない

面影の中にある暖かいぬくもり

私を縛っていた言葉は いつかの、あの日の、あなたの言葉 その言葉に縛られたままで 恐怖は永遠に対人に向けられていた ある時、その言葉から抜け出したくなって 思い切り叫んでみた 誰かをあなたにしたくなって あなたの面影を重ねながら叫んでいた もう私を縛らないで もう私はあなたから監視される恐怖から 抜け出したい 抜け出したいのよ 叫んでいた 心が壊れるほど 叫んでいた 1人になる怖さと 監視される怖さと でも、あなたでなくていい あなた以外の人は暖かかった あなた

正しいと隠された不誠実

君の言葉は空を斬る 何処に向かって悔しさを残すのか すくない声は消されて行き 不誠実が大声を挙げる 正しいとされた罪なのに 罪は間違いだと姿を隠す 赤い舌が笑うのを見てるのは 正しいと力を持った者達の汚舌 その舌を斬り落とせ 小さき声の主達よ 蟻は全ての罪を背負い 群れとなり闇に隠れる 狭間に現れる想いだけは 真実でもなく嘘でもない グレーな世界を優しいと見る真実よ 正しいと隠された不誠実を見破れるものよ

未成年の叫び

小学、中学と一緒だった、 アケミと言う女子がいた。 アケミは、根暗でよくいじめられていた。 休み時間になれば、アケミ菌とやらが、 発生して、それをなすりつけ合う。 バリヤ等をもちいり、面白おかしく、 遊んでいるのだ。 私はそれを、ただ眺めて、 何が楽しいのかがわからなかった。 アケミは、そんなのお構いなし。 バカじゃないの。 とぼそっと言うだけ。 だが、次第にクラス替えや、 中学に入ってもいじめは変わらなかった。 余計にいじめは広がり、 アケミが廊下を歩くと、

(詩) 一本の大木

その大木は原っぱに一本 樹っていた わたしはその大木のそばに 立っていた 春、生々と葉が芽吹く 夏、青々と葉がひらく 秋、蕭々と葉が色づく 冬、寒々と葉が落ちる その時々、一瞬、一瞬が わたしの眼に映じ そして 消えてしまう 大木はわたしの前に聳える しかし 大木はわたしの前に消える その大木は わたしの内の深い処に 根をはっている

何故か

死とか 血とか 言いますか 簡単に 内臓飛び出したり 吐いたり 恨んだり ちょん切れたり しますか 造作もなく ありふれて そんなにも 死にたいですか 自分のことを 見てほしいですか 自分のことを 傷つけたいですか もしや それで 救われるとでも 思っていますか 血の吹きでる 生き物を 殺した事は ありますか その まだ温かい 内臓を つかんでみてよ 赤ちゃんが いっぱい死にました 赤ちゃんを 助けたい お母さんも 死にました 誰かが 何かのために 皆のために 死にました

詩という行為の先に見えるのだとしたら

先日、私が数年前にクラウドファンディングで絵本を2冊出した、ということを知った知人からこう尋ねられた。 「どうして絵本を描こうと思ったのですか」 甦ったのは8年前の記憶。 当時、就活生だった私はコピーライターとして京都の広告会社に勤めるか、東京の大手人材会社に行くかで悩んでいた。 ある冬の日の朝、京都の広告会社へのインターン出勤前、四条烏丸のカフェベローチェでリクルートスーツの私はホットココアを飲みながら窓の外を見ていた。 考えていたのは 「どうして私は"人間"に生

宇宙のおはなし

どんな形か いつやってきて いつ終わりが来るのか 見えないものが来たる時には 偉大さを称えてくれた 「貴方はいつも努力しています 私の何倍も頑張っています こうして人々の目が届かない時でさえ 光を放ち続けているのですから」 闇を与え 熱を与え 多くを殺してしまいと嘆いた時には 救われたものも多いと教えてくれた 「私は貴方がいなければ 人々からは見えません 人から存在を認めてもらえないこと それは死と同等なのですから」 それなのにそんな君が 本当は私を憎んでいると 不安

Ave Verum Corpus

朝に浮かぶあの真っ白なお月様を見たことがありますか 黄色に輝く月より、あの不思議な球体が好きです お昼に吹くあの冷たい風をご存知ですか その肌に触れる匂いはどこから来たのでしょう 夕暮れにあの空を染めたのは誰ですか 父が言っていました、一瞬なんだって 真夜中に動くあの雲はどこに行くのですか ばれないようにこっそりと動いて 好きだけど、ずっとそばに置いておくことができるものは少ない 嫌いだけど、すぐに離れてくれるものは少ない でもね きっとそうでなければ みんな好きで

帰宅

開けたてのピアスホールが疼くような鍵穴に、ゆっくりと忍び寄るのは銀色に輝く憂鬱な鍵。 ガチャりと悲鳴を聞いた後に、冷えきったドアノブに手をかければ、奴隷のような空気が流れ込んでいく。それは大海の波のようにグネグネしている、ほんの僅かな修羅場。混沌に溢れた暗闇に、スポットライトの灯火が「おかえり」とささやく様な気配を生み出す。くたびれた靴を脱げば、死にかけた靴下を処分し、ぼんやりとした部屋で影は横になる。意味も知らない言葉の羅列。三面記事でさえ、真実は分からないと折りたたまれて

狼煙を上げよ

時の砂の間で迷子になる、紅の太陽。その狭間に囚われた、古の言の葉。 「私達は夜ふかしをします」 と、夜行性の誤字が主張するので 「そうね」 と葵は答えた。 重なり合う影が頷いて、ビロッと伸びていく。取り残された感満載の光の子らは、不平不満のオンパレード。嘘がつけないアスファルトは、黒さを一層増していく。 「私達はまだ子供なんです」 と、面の無い地球(ホシ)が主張するので 「そうね」 と葵は答えた。 見下ろすバカンス。カーテンをすり抜ける馴れ馴れしい眼差し。

『塔』2020年10月号(4)

㉑ぢやあなんで生まれてきたかで終はるゆゑ雨の日は思考停止させとく 穂積みづほ 考えたいわけではないのに、思考が勝手に頭の中をぐるぐる走る。雨の日はとりわけネガティブなものになりやすい。思考停止させておくのも簡単ではない。早く晴れて、そんなことどうでもいいと思いたい。 ㉒なぜになぜにそつちに行くのか反抗期の息子みたいに胡瓜南瓜 森永絹子 何の話だろうと思って読んでいくと、結句の胡瓜南瓜にたどり着き思わずにやりとする。蔓性の植物は本当に思わぬ方向に伸びる。作者はおそらく反抗期の

語る右手

心弾ける改革を、君は自殺と名付け、おまけに軽く体温をおとした、 何度も警告を無視して走り続けるけど、いつまでも体力がもつ訳でもなく、今度は急に鳴き始める始末(肝心な事をバカにしているというのか) 知らぬ間に流れていく言の葉を釣り上げて、思いもよらない想像に吊り上げてなんとする。 きっと惑星の定義に外れた星が嫉妬をしているだけなんだろ。 そう そうなんだ 果てしなくブルーに近い自由 満足した満月に満面の笑みを与え、満点を取った満天の星 つまり言いたい事なんて最初