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詩)ゴーストライターの悲哀

ゴーストライターの悲哀は
真理と似ていて違うもののような 
正しいことを書いても 
正しさの価値観に従って書くのではなく 
立派な人のようで正しさのために書いているのではない

貴方が誕生した時 貴方は泣き 世界は喜んだ

そんなことを書けば 誰かの作品になる
桜はもう見たくない 毎年見ているから
生命力をみたいという気持ちが薄れる
いいものは何度も読みたくなるのに
友がみんな偉く見えてしまう劣等感 
何かの力が浮かぶ

仕事が途切れた 
失業者になった
今日は最初の失業認定日だ
受付箱に記入済の失業認定申告書と雇用保険受給資格者証を入れる
書くことは普通だった
それはあまりにも普通で 
今こうやってハローワークでいる自分

お名前の確認と生年月日の確認してください

書くことに戻りたい
それだけが自分だと
なんでもいいから書きたい
書きたい 書きたい 
名前とか生年月日なんだ いま俺は
書きたい
当たり前のことを書いて生きたい
書くことが自分だと
やっ気がついた

人生は短いのだ
書かなければ 
ならない
ゴーストライターに戻りたい

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