見出し画像

缶コーヒーは微糖がいい
冬の寒い日
自動販売機からゴロンと出てくる
暖かいコーヒー
新米の頃 車で回って歩いて
ごつい手の大先輩から
ほら、と 渡されて 
すいません 
ありがとうございます。
缶コーヒー。

暖かいコーヒーを握りしめた

寒い日には 微糖がいい
甘さで体も温まる


あの頃は
流れる音も
町の景色も
まだ
とにかく やり直せば生きていける
そんな風に思えた
誰でも 生きていくくらいはできると
缶コーヒーで一服しながら
次のことを考え
家に帰ってまた明日を考える

40歳を過ぎて転職
一からやり直しの新米には
缶コーヒー 1本分の
暖かさが 沁みた

あの頃 一緒に仕事をしていたあいつ
あいつは今どうしてるだろう
どこかで
元気で
やってるだろうか
もう3年も
会っていないけれど
時々ふっと
思い出す
晩飯代わりの
激辛カップラーメン
温泉卵をいれて
よく食べた
それから
缶コーヒー
太るよなあって言いながら
よく2人で飲んだ


いろいろあったが
何とかここまで 生きてきた

生きていくってことをかみしめた 

あの寒い夜の
自動販売機の缶コーヒー





2022年に詩集を発行いたしました。サポートいただいた方には贈呈します