詩)箱根の雨の夜に〜
箱根の温泉の脱衣場で
風呂から上がる身支度をしているときに
まだオシメをつけた子どもを抱いた男性が入って来た
いがぐり頭の金太郎のような顔
1歳くらいですか。
1歳6ヶ月です。
お父さん子ですね!
ピッタリひっついて離れない子どもを嫌がらせないようにそのお父さんは少しずつ脱がせていく
最後だけどうしても大変そうなので
一瞬 こちらで預かりましょうか?
その子は僕の手の中に来た
火のついたように空を彷徨う手でお父さんを求めて泣く子を抱きながら
このしあわせな時間を噛み締めた
その子は無事お父さんに渡っても
お風呂でまだ泣いていたが
父性が繋がったことなどもちろん記憶にないだろう
ああ 人間はこうやって繋いでいたのか
箱根の雨の夜
2022年に詩集を発行いたしました。サポートいただいた方には贈呈します