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散文の仲間

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ジブラルタル峻が綴る、理性や科学の外側のテクスト。
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#散文

木漏れ日をキャラメルマキアートに溶かしてから

木漏れ日をキャラメルマキアートに溶かしてから

木漏れ日をキャラメルマキアートに溶かしてから、ダッキングでかわします。それはユーラシア大陸の幻聴によく似た少年合唱団のララバイでした。更に言えば、ホットドッグの犠打であり、麦わら帽子の犠牲フライでした。

針に糸を通すように、新宿歌舞伎町を練り歩きます。まるでカナブンの求愛行為だな、それは黒い伝書鳩からのメッセージでしたが、冷めたピザはそっちのけで、地下鉄を目指しました。

どこへ続くのか不明のエ

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ピンクマカロンと濾過

ピンクマカロンと濾過

息の荒いピンクマカロンを撫で回していたところまでは覚えているのですが……
彼は眠い目を擦りつつ喋り続けます。

もうずっと前に長靴を克服していたのでデリダの声を聴くことができます。

テッポウウオに選挙権を与えても、麻婆春雨を炒めようとはしません。それは旨味のあしたを決めるのがオセロの角に置かれた球体関節人形の吐息であることを巡るゴシップでした。

アップリケスタイルと呼ばれる決意は森のくまさんに

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創作:存在しない本の感想文

創作:存在しない本の感想文

 エトケン・ガリダール(1901-1979)と言えば『全体化と極限性』のほうが有名かも知れません。彼の文学的な言葉づかいは本書でも際立っていました。ガリダール哲学は積極的に異化あるいは矛盾律を採用します。それが嫌な人はきっとこの人の著作を読まないのでしょう。「カンガルーの群れがいつも跳ねているわけではないのと同じです」(本文954ページ参照)。

 開き直るわけではないですが、理解できない箇所のほ

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散文:自動販売機2024/01/26

散文:自動販売機2024/01/26

 自動販売機がある。
 僕はコインを投入し、アサガオというボタンを押した。風邪薬のようなカプセルがスっと落ちてきた。拾い上げて水無しで服用する。ゴクリ。言葉と想念が頭の中を濁流のように駆け巡る。

 おおお。こういうやつか。その流れに身を任せる覚悟をした。

 目を固く閉じた。流れはまだ止まらない。

 言葉の流れが止まった。終わったのだろうか。よし。次はヒマワリのボタンを押すことにしよう。

創作:足りない紫

創作:足りない紫

 胸から取り出した地図を軽く剪定して庭に配置します。
 円盤状の雑音とひな飾りを同象限で眠らせて、分子間力の作用に委ねます。逆さまになった果実はやがて飲み干されると予測でき、ハンマーは少しだけ揺れます。

 岩盤浴に行き、束の間のエーテル体験の後に、ぶっきらぼうなレアチーズケーキをおかわりするのでした。よく焙煎された黒を対置して。

 ビロード戦隊のピンクはブルーに恋焦がれ、最終回の2話前で大博打

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創作:フルーツパフェ・ジャンケン・ラプソディー

創作:フルーツパフェ・ジャンケン・ラプソディー

 フルーツパフェを観ました。どのフルーツが、あるいはどのスイーツが好みだろう?
「どれも好き」
 それは素顔の上で響き渡るファンファーレの答えでした。

 イソフラボンの絶対値と生類憐みの令の近似値を算出して、ジャンケンにおける第四の手を繰り出します。
 その手は、グーにもチョキにもそしてパーにも勝つことはありません。なぜなら戦いは発生しなかったのですから。

 第四の手の到来は、真のファンファー

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創作:カゲロウの成虫に口はありません

創作:カゲロウの成虫に口はありません

 カゲロウの成虫に口はありません。そうですね。捕食しないのですね。だから口は要らない。そうやってコヒーレントな波形を老舗デパートの包装紙に包みつつ歌います。
 メロディーは例外なく100パーセント可食部である。そう言っていたあの人はどこか遠くの国へ行ってしまいました。そのことと、人類の起こりをハンガーラックにかけてレオロジーを測定してばかりの日々です。

 常に既に、散らすこととしての記述を通して

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創作:彼の書き物

創作:彼の書き物

 彼は一旦視線を窓外に移した。3秒間静止した後、更に筆を進めていた。

小説:ダンプカーはマシュマロと同一、を含む言葉の塊(433文字)

小説:ダンプカーはマシュマロと同一、を含む言葉の塊(433文字)

 輪投げをして、ベーカリーの香りを手に入れる。それをクリアファイルに収め、ジュラルミンケースに格納する。

 ダンプカーはマシュマロと同一だから、常に既にきりたんぽの内角の和に収束する。指数関数的に昼寝をする。
 ハキリアリの生態と究極ハリキリスタジアムの出荷数を足し合わせ、60進法で微分する。
 その時、祈祷する内容はグルタミン酸ナトリウムのオブジェだった。遠近法とコートジボワールの風をクイック

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小説:ミートソースの待ち伏せ、を含む言葉の塊(321文字)

小説:ミートソースの待ち伏せ、を含む言葉の塊(321文字)

 グルテンフリーの脛当てを餃子の香りに潜らせる。ミートソースの待ち伏せに博覧強記を送り込む。ビート板の歯形にヴォイニッチ手稿を見出す。
 それらは全てカスタードクリーム症候群の営為だった。
 まだ成立しない言説の尻尾を掴み、運転再開後にバックギャモンを施す。
 まだ完成しない完成体の肋骨を優しく撫でて、深緑と淫するのだ。
 情熱的なオーロラの切り外しに、リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシを

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散文2024/01/23

散文2024/01/23

 カムチャツカ半島を丁寧に剥がし、プレパラートに載せる。
 万能ねぎが語り出すロバスト性は次第にブロッコリー現象を伴うさつまいもに移行する。ナポリタンはんこに付着したジンテーゼは6億光年の彼方からのビート板だった。それを知らぬ者はいない。
 うまさ際立つうま塩コーヒーの背後でラッキーチュロスは貧窮問答歌を高らかに歌う。
 言うまでもないことだが、四角柱の大群は、ユーラシア大陸横断に成功し、その後で

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小説:虹色の括弧(404文字)

小説:虹色の括弧(404文字)

「上手ひねり飛車送り」を豪快に決めて、あたりめを炙る。
 第96代の調査によると、官費の大半は、瑕疵の隠蔽にあてられている。虹色の括弧はまだ閉じられていない。生木を剥がすかのようでそれでいて悲しくはない心情は、降り積もる牡丹雪に埋没する。
 土俵際の魔術師は最強魔法ニフラムを詠唱し、むしろダルメシアンの群れを呼び寄せてしまう。緩い犠牲と稀なピーチメルバを水槽に入れる。反抗的な冠に短刀を突きつけて、

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小説:半呼吸体とは(421文字)

小説:半呼吸体とは(421文字)

 常識を片目で見る。あるいはできる限り遠くに置く。あいつはそういうことをやっているのだろう。

 スクランブル交差点を渡り切った呼吸体は、イヤフォンのボリュームを上げた。
 正解は誰かのルールにおいての正解であり、絶対的ではないのよ、と三叉路を通り過ぎたペンペン草が喋る。
 ルートの記号を7個集めて、オオトカゲに願う。するとどうだろう。旧邸の鍵が見つかり、みりんで味付けされた縦横無尽体が振る舞われ

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