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小説:半呼吸体とは(421文字)

 常識を片目で見る。あるいはできる限り遠くに置く。あいつはそういうことをやっているのだろう。

 スクランブル交差点を渡り切った呼吸体は、イヤフォンのボリュームを上げた。
 正解は誰かのルールにおいての正解であり、絶対的ではないのよ、と三叉路を通り過ぎたペンペン草が喋る。
 ルートの記号を7個集めて、オオトカゲに願う。するとどうだろう。旧邸の鍵が見つかり、みりんで味付けされた縦横無尽体が振る舞われる。
 オートマティカルな映画を観た後に、ホットドッグパワーボムをまともに喰らう。
 ミシンで縫い合わせたぬくもりを大切そうに抱きしめる幼き呼吸体はその歩幅なりの歩幅で歩む。
 既に立証済みのルサンチマン=快楽のビーチサンダル説を蒸し返すことは、ノーザンライトスープレックスが火を吹くことを意味する。
 うずたかく積み上げられたロールプレイングゲームとしての半生命体のフィールドが広がる。
 また街が半呼吸体に手を貸す。

 そうしたためて、彼は水を一口飲んだ。

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