見出し画像

小説:虹色の括弧(404文字)

「上手ひねり飛車送り」を豪快に決めて、あたりめを炙る。
 第96代の調査によると、官費の大半は、瑕疵の隠蔽にあてられている。虹色の括弧はまだ閉じられていない。生木を剥がすかのようでそれでいて悲しくはない心情は、降り積もる牡丹雪に埋没する。
 土俵際の魔術師は最強魔法ニフラムを詠唱し、むしろダルメシアンの群れを呼び寄せてしまう。緩い犠牲と稀なピーチメルバを水槽に入れる。反抗的な冠に短刀を突きつけて、権利の頂きを進む。虹色の括弧はまだ閉じられていない。フラッシュモブとしてのアショーカ王の誘い。散開したアーティストはやがて珪石の輝きに近似する。弱い湖にダイブする蜃気楼。古典芸能に手を貸して、新たな古めかしさを享受する。黒過ぎることからくる白い柱を11人の係員が取り調べる。ごまかしが効かなくなる。
 全て乳房の中での出来事だった。おぼつかない変拍子に囲まれて。

 そこまで書きつけた後、彼はイヤフォンで耳を塞いだ。

いつもどうもありがとうございます。