ギャルという単語はギャル以外が使う
ぼくは普段、ギャルという単語を口に出すことはまずないんですが、それでも市井では使われるギャルという単語を不思議に思っています。ヘッダ画像をお借りしています。
言語としてのギャル
まずギャルという単語はぼくが生き始める以前からあったっぽいことが不思議だ。
若い女の人を意味するだろうギャルという単語だが……若い女の人自身が自らをして「あてしギャルなんで~」という景色には違和感がある。
言うなれば、ギャル層とされる人々をギャルであると定義づけたい連中が、彼女たちのことをギャル呼ばわりするんじゃないだろうか?
言語フィット機能
言語とは、とりわけ後から生まれた単語ほど「廃れ」が早い。
流行がそれだけ水物だってことなのかも知れないし、ぼくらの知覚が及ばないもっと昔からあったものは生き物にフィットするために、言語が完成した後に一気にガンガン削られて減っていったのだろう。
むしろまさにそれらを経た今こそ、その「言語フィット」なる調整機能として動いているPDCAの循環の中にあり、言語とは一生完成しないものであるといえる。完成とかそういう概念を言語とか文化に対して感じることこそがナンセンスか。
文化とは勝手に育つものであり、個人や特定団体が制御してやろうとすればそれはプロパガンダでしかない。文化とは主体があるわけじゃなく、自然に自発的に形成されて、あたかも自我があるように視えるだけだ。
ギャルという単語の意味も可変だったのではないだろうか。ぼくは実物を見たことがないんだけど、ギャルという単語が始まった当初は中尊寺ゆつこの絵に描かれるようなボディコンシャスな衣服を着た人を指したんじゃないかと思う。それを着てれば年齢差は鑑みない。時に10代前半~30代すら着てればギャルだったんじゃないだろうか?ここまで書いておいて、現代のギャル定義がしたかろうとあまり年は関係ない気がしてきた。
そして時が過ぎ、ギャルって単語はコギャルとか派生するようになった。あとガングロとかつけたりされるようにも。このあたりだとギャルとは制服を着ていて、髪に色がついて(後年黒になったり)いて、ルーズソックスを履いて(後年紺色になったり)いればギャルだと見做されたんじゃないかと思う。
ここでは制服を着てるとギャルなような気がする。逆に言えば制服を着なくなった世代つまり19歳以降はギャルとされなかったんじゃないだろうか。
私服でギャルさを出すとなるとどうなるかと考えると、話の領域がファッションに飛びそうな気がするので差し控えたいが、さらにその後ギャル的な単語の意味は別に制服を着てようが着てまいが成立するようになり、今に至ってる気がする。
つまり髪に色をつけてたり遊びのありまくる衣服を着てい、女であることに対して隠し立てしない感じといえばいいんだろうか。身にまとうものに金がかかるとかのうしまいになって、ゴージャスとかまた別の呼び方がされる気がする。セレブ風とか
分類、分断、ターゲティングとしてのギャル
このようにギャルという言葉は「ギャルとギャル以外の女の人」を切り分けて分類して示すためにあったんじゃないだろうか。
分類する理由はラベリングしたいから。ラベリングとはカテゴライズであり、カテゴリがわかってれば場当たり的に対応しなくて済む。ラベリングしなければならない理由とは、それだけギャルが異端に映ったんでしょう。後年にギャルとされる層を支配したい奴かなんかが。
場当たり的な対応をしなくていいってことは前例・パターンで攻略できてしまうことを意味します。消費者からすればこれは企業がもたらす驚異といえる。何かを売りたい奴らが仕向けるマーケティングに従ってしまい、まんまと行動変容させられてしまい、浪費させられやすいってことだから。
「理解する」ということばの意味は「わかる」。わかるを漢字にすると「分かる」。分という時には分断する意味がありますね。つまり問題を切り分ける。企業にとっての問題とはなにか?「ものが売れないこと」、「ものを売るための手段、方法論が見いだせないこと」です。左記のこれをクリアするために「理解=分ける」をしたい。
ギャルを理解する必要があるのは市場としてでかいからでしょう。ギャルに売れれば物が売れるみたいに捉えている例もあるんじゃないだろうか。インフルエンス的な効果をギャルに求めている。だからギャルを制したい。ギャルに物が売れれば、ギャルが物の良さを吹聴してくれるから売ったことイコール広告効果も見込める。そんな一石二鳥がギャルの中にあるんだと見込むんだから企業はギャルを理解しようとする。
これはZ世代という単語においても同じです。
上の世代が勝手に「遅く生まれただけの世代」を下位と扱い、御したいからカテゴライズするのが大好きなのは以下の事例から説明できます。
今ここの文でも散々言ったことなので同じですね。Z世代はこれから市場の大部分を占めることになるから、今のうちから攻略方法を知っておけばうちの会社は安泰だ、後世に礎を残してやることができる、と。見事にZ世代という単語はZ世代以外から発されてしまうのだった。ギャルと同じシステム・ワークスだ。
だからギャルという単語を耳にするとぼくは違和感が拭えなかったし、その理由はギャル以外の人々が「ギャル層たらしめん人々」のことをギャルとしてラベリングしたいがためだけで使っているからだ。厄介だ。
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