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北乃利人
2021年9月24日 21:48
この時期おれは、ちょっとしたセンチメンタルなジャーニーを密かに楽しんだりしている。それというのも、お手軽な方法があるのだ。センチメンタルジャーニーといっても、なにも雨の中を駆け出すような恋に破れたわけではない。そう、ジャーニーといっても、つかの間のセンチメンタルタイムのことをそう呼んでいるのだ。いや、タイムって何のことだ。それは、ふとした瞬間の胸を締めつける甘酸っぱい一瞬のことだ。
2019年8月22日 22:22
オカルトが流行っていた。その火付け役といえるのは、なんといっても『エクソシスト』だろう。悪魔に取り憑かれた少女が、首をぐるりと一回転して振り返るシーンや蜘蛛のよう這いずり回るシーンに、声も出ぬほど恐怖した。そして、その画に負けず劣らず記憶に残るのが「マイク・オールドフィールド」の音楽。老若男女問わず、誰もが一度は耳にしたことがあるのではないか。この音楽が、更にこの映画の完成度を高めてい
2019年2月15日 22:02
生産性なんてな無いと思ってた。あの頃は…北の街の二月には、晴れ渡る青空よりも、少し寒さが和らいだ雪時々曇り、そんな朝がいい。湿った雪がしんしんと降り続く音無き音。湿度が窓を曇らせて、この部屋は打ち捨てられた様に静かだ。彼女と足を絡めながら、狭いベッドで天井を見上げて過ごす。時折、その髪の匂いを嗅ぐ。少しだけタバコの香りがする。彼女はタバコを吸わない。それだけ、この部屋で長い時間
2018年11月30日 12:30
「またこの時季が来たのか…」今頃になると、まだあの時のことを思い出し、少しだけ胸の深いところがチリチリと爆ぜる。激しく燃え上がった末に、白い灰になった様に感じてはいるのだけれど。まあ、まだわずかだが燻っているのだろう。それでいい。こんな時は逆に、一つひとつの思い出を丁寧になぞって行くはどうだろう。「あぁ、あの時も、クリスマスソングが流れていたな。。」そう、街が徐々にクリスマスムー
2018年11月15日 09:51
今日、ひょんな事から浜田省吾を聴いた。何十年ぶりのその曲… 浜田省吾を聴いていたのはごくごく短い期間だが、いっ時けっこう聴いた。これまたひょんな事がきっかけで、話をするようになったアイツが好きだったのだ。それは高3のことだ。アイツとは、ほとんど話をしたこともなかった。どちらかと言うと苦手なカテゴリーに分類していたアイツ。秋の深まりを感じる夕日が差し込む教室で、おれの親友の一人と
2018年10月25日 11:17
この街には雪が降る。そしてこの街の秋の終わりと冬の始まりは、初雪が告げる。毎年11月も近づきこの時期になると、地元TV局の番組では、頻繁に初雪の話題がニュースとなる。普段の会話でも、やれ峠に雪が降っただの、雪虫を見ただのと話題にあがることが多い。北の街で暮らしていると、雪は生まれた時から身近な存在だ。そんな人々にとっても、この初雪だけは、毎年どこか新鮮な驚きと嬉しさがあるものだ。年甲斐
2018年10月24日 15:55
今朝、おれにちょっとした幸運が降りてくれた。ほんの小さな小さな幸運だけど。それはバスルームでのこと。久々の出会い。風呂場で、って誰とだよ!となるかもしれないが、それは人ではなくて「感覚」の話。こいつは、いつだって突然現れるのが常。でも今回はホント久しぶり。何年ぶりだろう…「おいおい、お前のことなんか忘れていたよ」ってなぐあい。それと、必ずといっていいほどバスルームでシャワーを浴び