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図書館

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図書館全般についての記事をまとめています。
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#司書

「20分で3品」司書

「20分で3品」司書

よく料理で、「揚げ○○の××あんかけ」みたいな手のかかるレシピに挑戦したり、「フォアグラのトリュフソース添え」みたいな高級食材を使いたがる人がいます。

でも家庭で求められるのはそんなことではなく、「冷蔵庫にある賞味期限が迫っている食材を組み合わせて20分で3品作れ、しかもちゃんとおいしい」ことだったりしますね。おなかをすかせた家族を待たせないことのほうがたいせつです。

図書館でも同じようなこと

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図書館のお仕事紹介(14)利用案内・利用者教育

図書館のお仕事紹介(14)利用案内・利用者教育

利用案内と利用者教育は、広い意味ではレファレンスサービスの一種かと思いますが、単独で紹介されることがあまりないので、項目を立ててみました。

図書館員の使命として「利用者の時間を節約する」ということがあります。
「この本が見つかりません」「探し方がわからない」といった問い合わせについては、こちらが探して本を持ってきたほうが早いので、そうすることも多いです。

ただあえて「利用者が次から自分で見つけ

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翼のあるものは飛びたがる

翼のあるものは飛びたがる

よく求人広告で「誰にでもできる簡単なお仕事です♪」みたいなものがあって、見ると今働いている図書館より時給が良かったりします。
もちろん広告が大噓で、実際は超過酷な仕事、という可能性もありますが、仮に広告どおりだったとして、じゃあ転職しようか、とはなりません。
「誰にでもできる簡単な仕事」というのはかえって拷問じゃないかと思うからです。
むしろ「そこそこの知能が前提で、それなりの努力と研鑽が不可欠、

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図書館のお仕事紹介(13)修理製本

図書館のお仕事紹介(13)修理製本

昔から書籍修理には興味があり、製本教室に通ってみたことがあるのですが、そこでわかったのは「自分は不器用過ぎて製本家になれない」ということでした。
専門知識以前に「定規にカッターをあててまっすぐ切る」「紙に糊を塗って貼り付ける」といった工作の基本がまともにできないのですね。もともとモノはつくるより壊すほうが得意で、家電なども触っただけで壊すので「手から破壊のビームが出ている」疑惑もあり、家人からデス

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図書館のお仕事紹介(12)展示

図書館のお仕事紹介(12)展示

今回は、図書館業務にしては華やかな部類と言える展示についてご紹介します。

ふだんの業務で一番多いのは「新着展示」ですね。新しく入った本をすぐに配架せず、新着本コーナーに展示します。

もうひとつは「テーマ展示」です。よくあるテーマは季節行事(ひな祭りとかクリスマスとか)、推薦図書、人物関連、時事問題、貴重書や郷土資料の紹介などでしょうか。

作業の流れとしては「展示テーマを決める」→「資料の調査

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人にはどれだけの蔵書がいるか

人にはどれだけの蔵書がいるか

「図書館の人って、自宅にもさぞたくさん本があるんでしょうね?」と言われることがあります。

もちろん人によります。本の山に埋もれて暮らしている人もいれば、そもそも本好きではなく自宅に本などない、という人もいます。

ちなみに私は、自宅の蔵書を数えてみたところ、漫画や雑誌を入れても、430冊くらいでした。日本人の平均値より多いかもしれませんが、本好きとしては少ないのではないでしょうか。

自室に天井

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図書館のお仕事紹介(11)相互利用

図書館のお仕事紹介(11)相互利用

相互利用とは、要するに図書館同士でやる本の貸し借りです。
(Inter Library Loan、略してILLともいいます)
「自館に登録している利用者からの依頼で、他館の所蔵資料を利用させてもらう」業務と「他館からの依頼で、自館の所蔵資料を提供する」業務になります。

さらにそのなかで、本そのものを貸し借りする「現物貸借」と必要なページだけコピーして送ってもらう「文献複写」に分かれます。

さら

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図書館のお仕事紹介(10)レファレンス

図書館のお仕事紹介(10)レファレンス

今回はいよいよ図書館の花形業務、レファレンスのご紹介です。

今頃になってしまったのは、そもそも私はレファレンス専門の担当者でもなく、例によって「何でも屋」として他業務の合間にバタバタとレファレンスもやっているだけなので、私ごときに語れることがあるのか不安だったからです。
(実際世の中には「レファレンスの鬼」みたいなすごい専門の司書がいて、事例集などもいろいろと発信されています)
とは言え最近はレ

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人生の先輩に仕事を教える

人生の先輩に仕事を教える

私もこの年齢になって、そろそろ後進の育成みたいなことに貢献したいと思っていたのですが。

ふと気が付くと、自分の職業人生で、自分より若い人に教える回数より年配者に教える回数のほうが圧倒的に多いのですね。

「大学卒業したて!司書資格取りたて!」というキラキラした瞳の志ある若者に、司書の仕事を伝えていければ…と夢見ていたのですが、現実はだいぶ違いました。
そもそも図書館で新卒採用などしていませんし、

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図書館のお仕事紹介(9)受贈

図書館のお仕事紹介(9)受贈

受贈とは、寄贈された資料の受入にかかわる業務です。
くれる側の立場からは「寄贈」ですが、図書館側からは「受贈」になります。
「くれるものをもらうだけだろ」と思われるかもしれませんが、寄贈によって発生する事務はけっこうな作業量になるので、私の勤め先でもちゃんと受贈の担当者がいます。

作業を一覧にすると、このようになります。

・寄贈者の意志確認(とくに受入先や受け入れなかった場合の処分方法)
・寄

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図書館のお仕事紹介(8)蔵書点検

図書館のお仕事紹介(8)蔵書点検

蔵書点検(以下蔵点)は、以前ご紹介した除籍と同様「やらないとまずいし、かなりの労力もかかるが、やってもほめられるわけではない仕事」の典型と言えます。
具体的に何をするかというと「館内にある資料のバーコードをスキャンして、正しい場所にあるか確認する」という作業です。

蔵点は体力勝負ですなにしろ点検対象が数万件、下手をすれば数十万件になります。
普通のお店でも「棚卸」というかたちで在庫を確認するでし

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図書館のお仕事紹介(7)分類

図書館のお仕事紹介(7)分類

図書館の本は、たいてい背ラベルに三段にわかれた記号が書かれています。
一番上の段に書かれた数字が、分類記号です。
その分類記号を決めるのが分類業務です。
この分類、以前紹介した目録と並ぶ図書館でもマニアックな部類の業務です。
https://note.com/fukuidharu/n/n1b78840cd4e3

分類とは:数字には意味がある分類法にもいろいろあるのですが、ここでは多くの図書館で採

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司書講習のメリットとデメリット

司書講習のメリットとデメリット

私は司書の資格を司書講習で取得しました(もう20年ほど前ですが…)。
通っていた大学に司書課程がなかったのです。
最近、周囲に司書講習の受講を検討している人が何人かいたので、メリット・デメリットをまとめてみることにしました。

注:あくまでも20年前に受講した者の感想です。受講を検討されるかたは最新の情報をご確認ください。

司書講習のいいところ出会いがある

大学の司書課程だとどうしても「まあつ

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図書館のお仕事紹介(6)督促

図書館のお仕事紹介(6)督促

督促とは要するに返却期限を過ぎても返してくれない利用者に対して返却を促す業務です。館外貸出をしている図書館であれば、避けて通れないものでもあります。

私は基本的に図書館業務で嫌いなものはないのですが、督促だけはどうも苦手です。担当者ではなくても手伝いを頼まれただけで、露骨に「やだなあ」という顔をしていたと思います。

入職当時、督促の手段はおもに電話だったので、テレアポかサラ金の取り立てのごとく

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