fujinaminto

調べたこと、考えたことを記録します

fujinaminto

調べたこと、考えたことを記録します

記事一覧

Spinoza Note 62: 存在しない様態に関する idea が神の知性に含まれる

第2部の定理8「存在しない様態に関する idea が神の知性に含まれる。formal essence (実際の有り様)が神の属性に含まれるかのように。」これは謎の多い説明だ。最初の「…

fujinaminto
1か月前
1

Spinoza Note 61: 物と心が並行して働く

第2部の定理7「諸々のidea の順序と相互の関係は、物事の順序と相互関係に等しい。」とは、物と心の世界が並行して働くという意味だ。原文と訳文(高桑による)を並べる。 …

fujinaminto
1か月前
1

Spinoza Note 60: 神が idea を生じさせる

第2部の定理5と6は、神が属性を介して働くことを述べる。属性は互いに分離されており、動きが考えに影響したり、考えが動きに影響することがない。両者間の相互作用を除外…

fujinaminto
1か月前
1

Spinoza Note 59: 神は単一の idea を持つ

第2部の定理3と4は、神が自身と彼から生じたすべてのものについて、単一の idea を持つと述べている。原文と訳(高桑によるもの)を並置する。 文章がわからない。表にし…

fujinaminto
1か月前
2

Spinoza Note 58: 思惟と延長が神の属性に含まれる

第2部の定理1と2は神が二つの属性、すなわち思惟と延長を持つと主張する。原文と訳文(高畠訳)を並べる。 各定理について、Spinoza が論証で言及した定理と定義を横に並…

fujinaminto
1か月前

Spinoza Note 57:6つの公理

第2部で Spinoza が6つの公理を挙げる。いずれも極度に抽象的で、単独で理解するのは困難だ。第1部を読む際に試みたように、それぞれの定理を読む際、そこで参照されている…

fujinaminto
1か月前

Spinoza Note 56: 個物 singular

定義7は個物を説明する。何も読み取れず、途方に暮れる。 工藤&斉藤訳:個物とは、有限であり、限られた存在を持つもののことである。もし多くの個体<あるいは個物>が…

fujinaminto
1か月前

Spinoza Note 55: 実在性と完全性 realitatem & perfectionem

定義6は実在性と完全性を説明する。ひどくわかりづらい説明だ。 高桑訳:実在性と完全性とは同じものだと私は理解する 佐藤訳:物としての性格【実在性】と完全さというこ…

fujinaminto
1か月前

Spinoza Note 54: 持続 duratio

ひどく抽象的に聞こえるが、定義5は持続 duratio を説明する。英語だと duration だ。何らかの状態が続くこと、およびその持続時間を意味する。 工藤&斉藤訳: 定義5. 持…

fujinaminto
1か月前
1

Spinoza Note 53: 観念 ideam

定義3と4で、観念について理解しづらい説明が続く。しかし最重要といってよいところだ。辛抱強く読もう。 Elwes訳:By idea, I mean the mental conception which is form…

fujinaminto
1か月前
4

Spinoza Note 52: 物体 corpus

Elwes訳:By body I mean a mode which expresses in a certain determinate manner the essence of God, in so far as he is considered as an extended thing. (See Pt. …

fujinaminto
1か月前

Spinoza Note 51: 第2部 精神の本性と起源について

ラテン語だと " DE Naturâ, & Origine MENTIS " となる。精神の本性 Nature と起源 Origin を説明するらしい。冒頭の書き出しを読む: Eliot訳:I proceed now to explai…

fujinaminto
1か月前

Spinoza Note 50: あらゆる狂気に抵抗する力

Spinoza 著 Ethica の第1部を読んだ。前半(定義と公理、および定理14まで)は原文を参照しつつ、基本用語の理解に務めた。各証明も可能な限り検証した。後半(定理15から3…

fujinaminto
1か月前

Spinoza Note 49: 神は今、ここにいる

先に、定理18から15までを「神は内在する」としたが、神が内側や外側にいるわけではないので考え直した。結果、ラベルを「神は今、ここにいる」と改変した。Spinoza にとっ…

fujinaminto
1か月前

Spinoza Note 48: 世界を創造する神

前項(Spinoza Note 47: 世界を維持する神)で定理25と24を検討した。そこで「維持」に注目したが、直前の諸定理である定理23から19は世界を創造する神に焦点を当てている…

fujinaminto
1か月前

Spinoza Note 47: 世界を維持する神

定理25と24を先に「神の本質」とラベル付けしたが、「世界を維持する神」と付け直す。ようやくわかってきたことだが、Spinoza は神の仕事を二つに分けている。ひとつは世界…

fujinaminto
1か月前

Spinoza Note 62: 存在しない様態に関する idea が神の知性に含まれる

第2部の定理8「存在しない様態に関する idea が神の知性に含まれる。formal essence (実際の有り様)が神の属性に含まれるかのように。」これは謎の多い説明だ。最初の「存在しない」というところで、既にわからなくなる。

先に、持続 duratio の定義を検討する際に触れたが、属性のなかに死んだ人の観念が残るという話だ。神の思惟のなかで死者の魂が存続する。

定理8系の前半は、死んだ

もっとみる

Spinoza Note 61: 物と心が並行して働く

第2部の定理7「諸々のidea の順序と相互の関係は、物事の順序と相互関係に等しい。」とは、物と心の世界が並行して働くという意味だ。原文と訳文(高桑による)を並べる。

「諸観念の秩序と結合」とは神が思惟すること、考えたことの順番や相互の関係を指す。対して「事物の秩序と結合」は神が延長する extending ことである。観念と事物は同時に起きる。たとえば観念A, B, C, D が2024年7月

もっとみる

Spinoza Note 60: 神が idea を生じさせる

第2部の定理5と6は、神が属性を介して働くことを述べる。属性は互いに分離されており、動きが考えに影響したり、考えが動きに影響することがない。両者間の相互作用を除外することから、Spinoza が心身の相関に対してDescartes と異なる解決を計ることが予期される。原文と訳文(高桑による)を並べる。

定義5は、観念が生じるのは神が思惟するときに限るということらしい。別の方向から説明すると、体を

もっとみる

Spinoza Note 59: 神は単一の idea を持つ

第2部の定理3と4は、神が自身と彼から生じたすべてのものについて、単一の idea を持つと述べている。原文と訳(高桑によるもの)を並置する。

文章がわからない。表にして、それぞれの定理の右に証明で参照されている他の定理を置く。言及されている定理や定義が7つあり、うち6つが第1部からだ。

神が自身について抱く idea は 神の immediate infinite modification

もっとみる

Spinoza Note 58: 思惟と延長が神の属性に含まれる

第2部の定理1と2は神が二つの属性、すなわち思惟と延長を持つと主張する。原文と訳文(高畠訳)を並べる。

各定理について、Spinoza が論証で言及した定理と定義を横に並べる。背景を薄青で塗ったものは第1部にて言及されたことを意味する。

定理1は「神が考える」ものであることを述べている。定理2は神が物でもあると述べている。2点目が特異なので注意する。Jarrettが指摘していて気づいたが、神が

もっとみる

Spinoza Note 57:6つの公理

第2部で Spinoza が6つの公理を挙げる。いずれも極度に抽象的で、単独で理解するのは困難だ。第1部を読む際に試みたように、それぞれの定理を読む際、そこで参照されている公理を検討するという形で進める。後で読み返すときのために翻訳を並べておく(高桑訳)。

人は存在することもあれば、存在しないこともある、ということだろう。人類として存在するが、特定個人が存在するか否かは偶然だ、と読む。

思惟に

もっとみる

Spinoza Note 56: 個物 singular

定義7は個物を説明する。何も読み取れず、途方に暮れる。

工藤&斉藤訳:個物とは、有限であり、限られた存在を持つもののことである。もし多くの個体<あるいは個物>が、すべて同時にある一つの結果の要因であるかのように、一つの活動において協働するならば、そのかぎりにおいて私はそれらすべてを一つの個物と見なす。

このように定義することの意図がわからないが、人が精神と肉体から成るということが話題だから、そ

もっとみる

Spinoza Note 55: 実在性と完全性 realitatem & perfectionem

定義6は実在性と完全性を説明する。ひどくわかりづらい説明だ。

高桑訳:実在性と完全性とは同じものだと私は理解する
佐藤訳:物としての性格【実在性】と完全さということでわたくしが解るのは同じものである

まったく理解できない。工藤&斉藤の解説を読む:

佐藤の訳「性格」' reality ' と工藤&斉藤の解釈「本質」' perfection ' を併せると、なんとなく重なる。これらの用語も Sp

もっとみる

Spinoza Note 54: 持続 duratio

ひどく抽象的に聞こえるが、定義5は持続 duratio を説明する。英語だと duration だ。何らかの状態が続くこと、およびその持続時間を意味する。

工藤&斉藤訳:
定義5. 持続とは、存在の無限定な継続のことである
説明. 私は無際限な継続という。なぜなら存在の継続は存在するものそのものによっては決して限定されないし、また動力因によっても限定されてないからである。つまり動力因はものの存在

もっとみる

Spinoza Note 53: 観念 ideam

定義3と4で、観念について理解しづらい説明が続く。しかし最重要といってよいところだ。辛抱強く読もう。

Elwes訳:By idea, I mean the mental conception which is formed by the mind as a thinking thing.
高桑訳:観念とは、精神が思惟するものであるゆえに、精神が形成するところの精神の概念のことだと私は理解する。

もっとみる

Spinoza Note 52: 物体 corpus

Elwes訳:By body I mean a mode which expresses in a certain determinate manner the essence of God, in so far as he is considered as an extended thing. (See Pt. i., Prop. xxv., Coroll.)
粗訳:物体は様態であり、ある定まっ

もっとみる

Spinoza Note 51: 第2部 精神の本性と起源について

ラテン語だと " DE Naturâ, & Origine MENTIS " となる。精神の本性 Nature と起源 Origin を説明するらしい。冒頭の書き出しを読む:

Eliot訳:I proceed now to explain that order of existences which must necessarily follow from the essence of God,

もっとみる

Spinoza Note 50: あらゆる狂気に抵抗する力

Spinoza 著 Ethica の第1部を読んだ。前半(定義と公理、および定理14まで)は原文を参照しつつ、基本用語の理解に務めた。各証明も可能な限り検証した。後半(定理15から36)は結論から遡っていった。すなわち、神の能力、産出の必然性、知性の役割、因果関係の連鎖、世界を維持する神、世界を創造する神、「今、ここにいる神」というように整理した。

世界を作る神と保つ神がいて、Spinoza は

もっとみる

Spinoza Note 49: 神は今、ここにいる

先に、定理18から15までを「神は内在する」としたが、神が内側や外側にいるわけではないので考え直した。結果、ラベルを「神は今、ここにいる」と改変した。Spinoza にとって、創造神ではなく、今のこの世界を動かしている神の方が重要だという気がしたからだ。

神は何者か?という問いは、この世界はどのように出来たのかという創世と関係しているように思われる。この世界があるのはなぜかを考えたとき、誰が作っ

もっとみる

Spinoza Note 48: 世界を創造する神

前項(Spinoza Note 47: 世界を維持する神)で定理25と24を検討した。そこで「維持」に注目したが、直前の諸定理である定理23から19は世界を創造する神に焦点を当てている。先にこれらの諸定理を「神と存在」とラベル付けしたが、「世界を創造する神」に付け直す。神と存在の関係を述べていることは確かだが、その関係とは「創造すること」であることが明確になってきたからだ。これらの諸定理は物事がど

もっとみる

Spinoza Note 47: 世界を維持する神

定理25と24を先に「神の本質」とラベル付けしたが、「世界を維持する神」と付け直す。ようやくわかってきたことだが、Spinoza は神の仕事を二つに分けている。ひとつは世界を創造すること、もう一つは創造した世界を維持することだ。後者の重要性が感じられるようになった。

定理25と24は神の本質、私の理解では神の働きに関することと理解していた。神の働きに伴って存在が生じると理解していた。間違っていな

もっとみる