Spinoza Note 48: 世界を創造する神

前項(Spinoza Note 47: 世界を維持する神)で定理25と24を検討した。そこで「維持」に注目したが、直前の諸定理である定理23から19は世界を創造する神に焦点を当てている。先にこれらの諸定理を「神と存在」とラベル付けしたが、「世界を創造する神」に付け直す。神と存在の関係を述べていることは確かだが、その関係とは「創造すること」であることが明確になってきたからだ。これらの諸定理は物事がどのように生じたかを説明している。

世界を創造する神 定理23から19まで

前項(維持する神)との関係でいうと、定理20「神の実在と神の有りかたは一つの同じものである」が気になる。前項では神の実在と神の有りかたを分けたからだ。証明の内容を読むと、「神の実在」と呼んでいるのは被造物ではなく、属性であるとわかる。諸属性は神の創造活動の過程で分化してくるものであるから、それを神の有りかたと同一視することに不都合がない。

これら諸定理に共通するもうひとつの要素は属性や様態の無限性である。実体(神)と属性、様態のそれぞれに対して、無限と有限の概念がどのように適用されるか。この点については他書に議論されているので素通りする。世界創造との絡みで、無限のものから無限のものがどのように生成されるか、さらに無限のものから有限のものがどのように生成されるのか、生成する側と生成された側の間にどのような関係が生じる(あるいは維持される)のかといった問題がある。興味深いが、無限は数学的な概念でもあるので近年の研究成果も踏まえて議論した方がよいと考える。

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