Spinoza Note 56: 個物 singular

定義7は個物を説明する。何も読み取れず、途方に暮れる。

Per res singulares intelligo res, quæ finitæ sunt, & determinatam habent existentiam. Quòd si plura Individua in unâ actione ità concurrant, ut omnia simul unius effectûs sint causa, eadem omnia eatenus, ut unam rem singularem, considero.

工藤&斉藤訳:個物とは、有限であり、限られた存在を持つもののことである。もし多くの個体<あるいは個物>が、すべて同時にある一つの結果の要因であるかのように、一つの活動において協働するならば、そのかぎりにおいて私はそれらすべてを一つの個物と見なす。

このように定義することの意図がわからないが、人が精神と肉体から成るということが話題だから、それと関連すると仮定する。肉体と精神は別物だが、「一つの活動において協働する」ので「ひとつの個物と見なす」、すなわち統一された一個人とみる、と後で述べるのではないかと思う。

「有限であり、限られた存在」というからには様態だ。我々が知る様態は二種、精神と肉体だ。精神・肉体ともに様態がさらに様態化して分化するから「多くの個体」が生じる。それらが一緒になって何かの要因とみえるなら、「一つの個物」と呼んでよいだろう。今はそう理解しておく。

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