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デリカシーの欠片すら持たない、ぼくが僕になるまで

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ぼくが僕になるまでの物語です。ありったけの魂を込めましたので、ぜひお読み下さい。
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2019年5月の記事一覧

デリカシーのないぼくが僕になるまで(終章)

★わたしが言いたいのは・・・

「マコトって今までに相手の仕草や表情を見て、その相手の気持ちがある程度読めてしまって哀しくなってしまったことってない?」彼女は誰に向けても話しているようではなかった。僕はもちろんのこと、自分に対しても。口だけが勝手気ままに動いているに彼女の声は空疎に響いた。「話していると相手が何を望んでいるのか大体のところわかってくる。わたしが何をすれば相手が喜び、何をすれば嫌な顔

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デリカシーのないぼくが僕になるまで

デリカシーのないぼくが僕になるまで

★新たに付け加えた協定その十:この契約はどちらかが断るまで更新してもよい。

「おいおい、また来たのか」僕が部屋に入っても甲野さんは目を開かなかった。ピクリたりとも動かない。
「いいだろ。どうせあんたも暇して寝ていたとこじゃんか」
「俺の事はどうでもいいんだ。部活を見てくる約束だったろ」
 テーブルの上に僕はバッグを置いた。テーブルに備え付けられた椅子を引き、後ろ向きに座る。「ったく、電気ぐらい点

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