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【パワハラ対策】「相手の戦意を一瞬で削ぐ」言い返し方――嫌われない言い返し方③

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
 
◎理不尽なことを言ってくる【パワハラ上司】
◎コソコソと悪口を言う【同僚】
◎いつも上から目線の【クライアント】
◎モラハラで別れたくても別れられない【パートナー】
◎何かと口うるさい【親戚】【毒親】

などなど、縁を切りたくても簡単には切れない、いわゆる「めんどくさい」相手から理不尽なことを言われた際、嫌われない「言い返す」方法が存在し、そのテンプレートをこのnoteでも2本ご紹介しました。
 

今回はテンプレート3本目として、日本随一のコミュニケーショントレーナーとして1万人以上レクチャーしている司拓也さんが新刊『嫌われずに「言い返す」技術』の中で紹介している7つのテンプレートの1つ、「相手の戦意を一瞬で削ぐ」言い返し方について、一部編集して公開します。

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相手の攻撃から身を守る新しい戦略「助けてください」

 罵詈雑言や能力を罵る言葉。それは私たちの日常において、時に耳にするかもしれない辛辣な言葉です。しかし、これに対してどう対処すればいいのか、迷ってしまうことはありませんか?
 そんな罵倒を受けた際に心を守るための新しい方法を紹介します。
「ハゲたね」「太ったね」といったコンプレックスを突く言葉や、「仕事できないね」「仕事遅いね」といった能力を否定する言葉。
 これらに対して、「助けてください」と答えてみてください。
 相手が「助けようがないよ!」と返してきたら、「そんなこと言わずに助けてくださいよー」と再び伝えます。
 この繰り返しを続けることで、相手は戸惑い、攻撃の意欲が失せていきます。

なぜ「助けてください」は効果的なのか

 攻撃を続ける人は、多くの場合、他者を低く見ることで、自分の存在価値や自信を確立しようとしています。
 しかし、「助けてください」という言葉は、攻撃的な姿勢に対する意外性から、相手を困惑させるだけでなく、心理学的にも深い効果があります。
 アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーは、「認知的不協和の解消」という理論を提唱しました。この理論によれば、人は自分の行動と認識の間にギャップが生まれると、そのギャップを埋めるために、自分の認識を修正する傾向があります。
 例えば、好きでもない相手を助けた場合でも、「好きだから助けた」のではなく、「助けたから好きになる」という心理的変化が生じるのです。
 すべての人には承認を求める気持ちがあります。攻撃的な態度を取る人たちも、実はそのような欲求を深く感じています。それは、彼らの内なるコンプレックスの表れかもしれません。そうした人に「助けてほしい」と伝えることで、彼らの欲求は満たされるかもしれません。その結果、あなたを尊重するようになり、攻撃の度合いも和らぐでしょう。

「助けてください」の進化系「ティーチミー作戦」

 このテクニックをさらに進化させるには、「どうしたらいいか教えてください!」と追加する「ティーチミー作戦」も併用します。
 これによって、相手は、攻撃からアドバイザーへとシフトし、より建設的な関係が築けるでしょう。
 
 このテクニックが実際の場面でどのように機能するのか、具体的な会話の例を見てみましょう。

相 手 最近、仕事の進捗が遅いね。
あなた 本当に申し訳ないです。困っているので、助けていただけませんか? どうしたら効率良く進められるか教えてください!
相 手 えっーと、まずは、タスク管理を見直してみるといいかもね。

相 手 そのアイデア、実はあまり良くないと思う。
あなた そうですか……。じゃあ、どうすればもっといいアイデアになるか、助けてください! 具体的にどう改善すればいいですか?
相 手 うーん、そうだな……。もう少しユーザーのニーズを考慮するといいかもしれないね。

相 手 報告書、いつも同じミスをしているね。
あなた すみません、改善したいと思っています。助けてください。どの部分を注意深くチェックすればいいでしょうか?
相 手 データの正確性を3回確認することと、文体の一貫性に注意してみて。

 これらの会話例からもわかるように、「ヘルプ&ティーチミー」法を用いることで、相手は協力的な態度に変わり、有益なアドバイスを受けることが期待できます。
「ヘルプ&ティーチミー」法を活用すると、攻撃的な言葉を避け、より建設的な対話を促進できます。相手があなたに対して批判的であったとしても、助けを求めることで相手の心理的バランスを変化させ、ポジティブな方向に持っていくことが可能です。
 このアプローチの背後にある心理学的メカニズムを理解すると、相手との関係性をより良好に保ちながら、相手の期待に応えることができます。
 また、相手があなたを助けることで、彼ら自身も自分の価値を再確認し、あなたとの関係がより強固なものとなるでしょう。
 なお、相手に助けを求める際は、相手が嫌味やハラスメント的な言動をとってきたとしても、誠実な気持ちを持って聞くことが大切です。
 自分の弱みや困っている点を正直に伝えることで、相手の中にかすかに残っているかもしれない良心がうずいて、協力的な態度を取ってくれる可能性が高まります。アドバイスを真摯に受け入れることで、あわよくば相互の信頼関係が深まり、より良い結果を生み出すことができることを期待しましょう。
 もちろん、それでも相手のハラスメント的な態度が改善しないこともあるかもしれませんが、それはそれで、相手の知識やスキルを引き出して頂戴できれば儲け物くらいの気持ちでチャレンジしてみてください。

仕事のやり方、進め方で攻撃的な発言を受けたときの対処法

 最後に、職場や日常で、

「俺ならそんなやり方絶対しないけどな」
「そのやり方、古いんじゃない。時代遅れだよ」
「そんなこともわからないの?」
「勉強不足なんじゃない?」
「努力が足りないんじゃない?」

 といった仕事のやり方、進め方で、攻撃的や嫌味な発言を受けた際の対処法をお伝えします。
 その際、相手の意図や背景を見極め、適切に対処することが大切です。
 このような発言をする人は、大まかに次の3つのタイプに分けられます。
 
①自己アピールが強いタイプ。
②素直な愛情表現が難しい、職人気質のタイプ。
③単に嫌味を言いたいだけのタイプ。
 
 ①のタイプは、自分の能力を認めてもらいたい欲求が強い人です。
 例えば、「俺ならそんなやり方絶対しないけどな」と言ってくる人は、実は誰からも認められない自己肯定感の低いタイプで、頑張りや知識をアピールしたいという意図があります。
 そういった背景を理解し、彼らの有能さを「師匠と呼んでいいですか?」と賞賛してあげましょう。
 ②のタイプは、真面目で職人気質な上に、コミュ障が入っていて、言葉がぶっきらぼうになるタイプで、悪意はそれほどありません。
「そのやり方、古いんじゃない。時代遅れだよ」と指摘してくるような、良い仕事をすることが生きがいの人たちです。
 このタイプとの関係を築くには、メモを取るなど、真剣に学ぶ姿勢を示し、「勉強になります。ぜひ教えてください」と敬意を込めて伝えることが大切です。熱意が伝われば、仕事力を高めてくれるあなたの良き師としてなってくれるでしょう。
 ③のタイプは、単に「そんなこともわからないの?」「努力が足りないんじゃない?」といった嫌味を言いたいだけの人たちです。
 このタイプには、具体的な質問を投げかけ、実際に知識や経験があるのかを確認しましょう。

 最終的に、相手の真剣度や意図を見極めることで、適切な対応を取ることができます。
 自分自身も具体的な事実や数字で説明できるように心がけることで、余計な批判を避けることが可能でしょう。

〈著者プロフィール〉
司 拓也(つかさ・たくや)

コミュニケーショントレーナー。声と話し方の学校「ボイス・オブ・フロンティア」代表。日本話す声プロボイストレーナー協会代表。活動歴は15年。年間セッション数は100以上。1万人以上のコミュニケーションの悩みを解決。幼少期のいじめ、学生・社会人時代になってからの上司や顧客からのモラハラ、パワハラ体験からうつ状態を経験。このままでは死んでしまうという危機感から「人の心を誘導し、相手を怒らせずにいじめやハラスメントを受けない方法を見つけ出せば、今後苦しむ必要はない」という強い思いから、心理学やコミュニケーションスキルを貪欲に探求。相手からのハラスメント的言動に対し、その攻撃力を無力化し、相手を怒らせることなく、言いたいことを言えるようになり、自分の心も強くなる「ポーカーボイス&トークメソッド」を開発。現在、心理学をベースとした対人コミュニケーションの講演やセミナーを開催。あわせてコミュニケーションスキルの講師を養成。

いかがでしたか?
 
今回ご紹介した新刊『嫌われずに「言い返す」技術』の著者・司拓也さんは、日本で随一のコミュニケーショントレーナー。心理学をベースに、話し方、声の出し方を、1万人以上にレクチャーしています。
嫌われずに言い返す、著者オリジナルのメソッド「ポーカーボイス&トーク」の重要エッセンスを、多くの会話事例を交えながら徹底解説した新刊『嫌われずに「言い返す」技術』(司 拓也・著)は、おかげさまで発売1週間で重版出来、全国書店、ネット書店で発売中です。興味のある方はチェックしてみてください。

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『嫌われずに「言い返す」技術』の「はじめに」「目次」はこちらで読めます。

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