【人間関係】集団心理を巧みに操り、孤立させる――パワハラしてくる人の手口と対処法④
こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
パワハラ、モラハラをしてくる人は、悪意ある人は意図的に、あるいは、彼らが積み重ねてきた経験を基に無意識的に、他者(こちら側)を支配する心理術を使ってくることは、このnoteでも「ストローマン論法」「ダブルバインド」「メモリーハック」を通じてお伝えしてきました。
▼ストローマン論法
▼ダブルバインド
▼メモリーハック
今回は、パワハラしてくる人の手口④として、日本随一のコミュニケーショントレーナーとして1万人以上レクチャーしている司拓也さんが新刊『嫌われずに「言い返す」技術』の中で紹介しているパワハラ、モラハラで使われる心理術の1つ、「社会的証明の悪用」について解説、その対処法を紹介している該当箇所を一部編集して公開します。
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社会的集団圧力で従わせる──社会的証明の悪用
社会的証明の悪用は、社会的集団圧力による個人のアイデンティティの喪失とも言えます。
この現象を広く知られるようにしたのは、アメリカの心理学者ロバート・チャルディーニです。彼の著書『影響力の武器』では、人々がどのようにして他者の行動や意見に影響されるかについて詳細に述べられています。
「社会的証明」とは、私たちが自分で判断するのが難しいと感じる状況で、自分の意見ではなく、まわりの人がどう思っているかに基づいて行動してしまう傾向のことです。これは、「みんながそうしているから」という理由だけで同じことをする心理です。人は、多くの人が一緒に行動または考えることに安心感を見出し、それに従いたくなるのです。
人は自分だけが異なる意見を持つことに不安を感じたり、ストレスを感じること(これを「認知的不協和」と呼びます)を避けたいと思うため、周囲の意見に流されやすくなります。
プロジェクトミーティングで「提案Ⅹが最も効果的だと思う人は意見を示してください」とチームリーダーが言ったとします。あなたは提案Bが最も効果的だと考えていましたが、チームの他のメンバー全員が提案Aを支持した場合、突然不安になり「もしかして、私の分析は間違っているのか?」と自分の判断を再評価し始めます。
集団心理を巧みに操り、孤立させる──悪用事例
社会的証明の原理は、特定の状況下ではこれが悪用されることもあります。特に、職場などの階層的な組織において、上位者がこの心理的原理を利用して部下に圧力をかけるケースが考えられます。
このようなやりとりの中で、上司は「多くの人々が」という表現を用いることで、部下を孤立させ、自身の意見や立場を強化しようとし、結果的にあなたを言い返せない立場に追いやります。
社会的証明の悪用から身を守る方法──対処法
社会的証明の悪用に対処するためには、冷静な判断力と独自の価値観を持つことが重要です。
攻撃的な言動や圧力に対して、明確で建設的な反応を示すことで、自らの立場を守りつつ、良好な関係を維持することができます。
いったん、相手の意見を承認しつつも、他者の意見や行動を妄信するのではなく、「一方で」という言葉に続けて、自らの信念や価値観を伝えています。
「しかし私が提案したアイデアは新しい視点をもたらす可能性があると信じています。」と「しかし」の後に持論を展開したくなりますが、「しかし」や「でも」という否定の言葉の語感は、相手によりいっそうの反感を抱かせる原因となりますので、あえて「一方で」という反感を買いにくい言葉を用いて表現しています。
また、こんな回答例もあります。
このように、相手がこれまでも社会的証明を用いて論破する傾向がある人間なら、あらかじめ賛同を得られる人をリサーチしておいてコメントをもらっておくことも有効です。
相手に「こいつは、一筋縄ではいかないな」と印象づけることで、今後これらの理不尽な攻撃を受けることは減ってくるはずです。
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いかがでしたか?
今回ご紹介した新刊『嫌われずに「言い返す」技術』の著者・司拓也さんは、日本で随一のコミュニケーショントレーナー。心理学をベースに、話し方、声の出し方を、1万人以上にレクチャーしています。
嫌われずに言い返す、著者オリジナルのメソッド「ポーカーボイス&トーク」の重要エッセンスを、多くの会話事例を交えながら徹底解説した新刊『嫌われずに「言い返す」技術』(司 拓也・著)は、おかげさまで発売1週間で重版出来、全国書店、ネット書店で発売中です。興味のある方はチェックしてみてください。
▼『嫌われずに「言い返す」技術』の「はじめに」「目次」はこちらで読めます。
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