となみお

日本の片隅でひっそりと。 読むこと、書くことが好き。 活字の海にたゆたい、あれこれ妄想…

となみお

日本の片隅でひっそりと。 読むこと、書くことが好き。 活字の海にたゆたい、あれこれ妄想します。

記事一覧

ひいろ

色について思いつくまま綴っています。 今回は〈緋色/ひいろ〉です。 JIS慣用色名によると「強い黄みの赤」 緋色というと真っ先に思い出すのは、シャーロック・ホームズ…

となみお
1時間前
7

言語化することで癒される心

前田隆弘さんの『死なれちゃったあとで』を読んだ。 著者が経験した死別について綴ったエッセイだ。 自分とそう歳は変わらないのにずいぶんと死別を経験している人だな、…

となみお
5日前
23

ききょういろ

今日は〈桔梗色/ききょういろ〉について。 JIS慣用色名によると「濃い紫」 古くからある色名で、『万葉集』の時代には「あさがお」と呼ばれていたそうです。 フィクショ…

となみお
7日前
14

しろ

今日は白について。 春のお楽しみの一つに、新玉ねぎがあります。 ふだん出回っている玉ねぎは1カ月ほど風に当てて乾燥させるのだそうですが、新玉ねぎは収穫してすぐに…

となみお
13日前
8

セピア

今日は〈セピア〉について。 JIS慣用色名によると「ごく暗い赤みの黄」です。 セピア色というと、古いものや褪せたものを連想します。 古写真の影響かな。 写真、見るのも…

となみお
3週間前
10

ビリジアン

今日は〈ビリジアン〉について。 JIS慣用色名によると「くすんだ青みの緑」 絵具にこの色がありますね。 緑ではなくビリジアン。 なんでビリジアンなの? なんか言いづら…

となみお
4週間前
7

つつじいろ

今日は〈躑躅色/つつじいろ〉について。 JIS慣用色名によると「鮮やかな紫みの赤」 自分の背丈より少しだけ高い赤やピンクや白のトンネルは、鮮やかで華やかで眩しい。 私…

となみお
1か月前
8

みるいろ

今日は〈海松色/みるいろ〉です。 JIS慣用色名によると「暗い灰みの黄緑」 海松とはミル科の海藻で、万葉の時代から親しまれていたのだとか。 画像を検索すると……。 う…

となみお
1か月前
10

みずいろ

今日は〈水色〉について。 JIS慣用色名によると「薄い緑みの青」 子どもの頃からこの色が大好きでした。 女の子の友達がみんなピンク色を選んでいても、私は水色一択。 「…

となみお
1か月前
3

いまよういろ

今日は〈今様色/いまよういろ〉について。 JIS慣用色名によると「強い紫みの赤」 今様とは、平安時代の「今、流行りの」という意味です。 あの時代のトレンドカラーだった…

となみお
1か月前
9

かめのぞき

色には興味関心があります。 読書のように「好きだー!」とアピールするほどではないけれど、なんとなくふんわりと好き。 気づけば、関連する本もけっこうな数を集めていま…

となみお
1か月前
11

再び

noteを新規登録したのは5カ月前。 いくつか記事を書いたきり放置状態でした。 「あるある」かしら? 人生何が起こるか分からない、脱皮して新しい自分を生きよう。 そう決…

となみお
1か月前
5

文明の利器よ、ありがとう

所用で、およそ1,500キロの旅をしてきた。 思いがけない雪でスケジュールが大幅に変更となり、キツキツの強行軍。 ヘロヘロになって帰宅した。 やっと愛する我が家でゆっ…

となみお
6か月前
4

人生の課題図書

今では読書家を自認している私だが、子どもの頃は本を読むことが大嫌いだった。 家で静かに遊ぶより、野山を駆け回っているほうが性に合っていた。 当然、夏休みの宿題に…

となみお
6か月前
14

これに色気を感じる自分て……

アートが好き。 特に西洋絵画は、年に何度か展覧会に行くくらいには好きだ。 レオナルド・ダ・ヴィンチ? ええ、好きですよ。 【レオナルド・ダ・ヴィンチの「解剖手稿A…

となみお
6か月前
10

再読はあまりしないけれど

月に15冊ほどの本を読む。 書店で。 図書館で。 読みたい本が視界にどっと押し寄せてくるのを遮れない。 だからというわけではないけれど、再読はあまりしない。 しないの…

となみお
6か月前
17
ひいろ

ひいろ

色について思いつくまま綴っています。

今回は〈緋色/ひいろ〉です。
JIS慣用色名によると「強い黄みの赤」

緋色というと真っ先に思い出すのは、シャーロック・ホームズシリーズの『緋色の研究』という小説です。
読んだことはないけれど、タイトルだけは知っています。
最初にこの本を知ったのは小学生の頃。
読書嫌いだったくせに、夏休みに読もうと図書館から借りてきました。
勢い込んで読み始めたものの最初の

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言語化することで癒される心

言語化することで癒される心

前田隆弘さんの『死なれちゃったあとで』を読んだ。
著者が経験した死別について綴ったエッセイだ。

自分とそう歳は変わらないのにずいぶんと死別を経験している人だな、というのが真っ先に浮かんだ感想だった。

人生80年として、その半分以上を生きた私。
この歳にしては、誰かを見送った経験は数えるほどしかない。
だから、死別というものを実感することはほとんどなかった。
しかし、その現実が突然私の前に立ちは

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ききょういろ

ききょういろ

今日は〈桔梗色/ききょういろ〉について。
JIS慣用色名によると「濃い紫」

古くからある色名で、『万葉集』の時代には「あさがお」と呼ばれていたそうです。

フィクションの世界ですが、人名にも使われますね。
高橋留美子の『犬夜叉』に登場するキャラは「桔梗」ですし、今放映されているNHK大河ドラマ『光る君へ』の清少納言は「ききょう」という名の設定です。

実生活で「桔梗」という名の人に出会ったことは

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しろ

しろ

今日は白について。

春のお楽しみの一つに、新玉ねぎがあります。
ふだん出回っている玉ねぎは1カ月ほど風に当てて乾燥させるのだそうですが、新玉ねぎは収穫してすぐに出荷されるので、柔らかくて辛みが少なくてみずみずしいのが特徴。

そして、あの白さ!
パキッとした白ではなく、柔らかなふんわりとした白です。
かといって乳白色ほど黄みを帯びてはいなくて。
繭に包まれたような感じ、でしょうか。
(包まれたこ

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セピア

セピア

今日は〈セピア〉について。
JIS慣用色名によると「ごく暗い赤みの黄」です。

セピア色というと、古いものや褪せたものを連想します。
古写真の影響かな。
写真、見るのも撮るのも好きなんです。
セピア色の写真て、白黒とはまた違った印象の古さを感じますね。
やわらかくて、そこに写るものの〈歴史〉や〈郷愁〉が醸し出されているようで、なんだか良い。

1990年代の終わり頃、セピア色で写せる使い捨てカメラ

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ビリジアン

ビリジアン

今日は〈ビリジアン〉について。
JIS慣用色名によると「くすんだ青みの緑」

絵具にこの色がありますね。
緑ではなくビリジアン。
なんでビリジアンなの? なんか言いづらいし。
子どもの頃、絵具を使う度にそんなふうに思ったものでした。
まああれだ、ビリジアンって「緑」のおしゃれな言い方なんだろう。
そう解釈していた私でした。

絵を描くのが好きだし、得意な子どもでした。
絵具の12色の中で、減りも早

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つつじいろ

つつじいろ

今日は〈躑躅色/つつじいろ〉について。
JIS慣用色名によると「鮮やかな紫みの赤」

自分の背丈より少しだけ高い赤やピンクや白のトンネルは、鮮やかで華やかで眩しい。
私は目を細めてぐるりと見回す。
視界いっぱいに広がるつつじは、どこまでも続いていた。
ここを抜けたら違う世界に行けるのかも。
淡い期待に胸躍らせながら、私はゆっくりと歩いた。

いちばん古いつつじの花の記憶です。
幼い日、つつじが名所

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みるいろ

みるいろ

今日は〈海松色/みるいろ〉です。
JIS慣用色名によると「暗い灰みの黄緑」

海松とはミル科の海藻で、万葉の時代から親しまれていたのだとか。
画像を検索すると……。
うわ、ほんと松みたい。
昔の人はうまいこと言ったなぁ。

宮内庁雅楽部の楽人の装束には、この色が使われているそうです。
見に行きました。
もちろん、検索で。
ほうほう、なるほど。
うん、渋いねぇ。

この色名を初めて知ったのは、田辺聖

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みずいろ

みずいろ

今日は〈水色〉について。
JIS慣用色名によると「薄い緑みの青」

子どもの頃からこの色が大好きでした。
女の子の友達がみんなピンク色を選んでいても、私は水色一択。
「なんでピンクを選ばないの? 水色なんて男の子の色だよ」
――こういう価値観の時代でした。
私はそれに何と答えていただろう。
はっきり覚えていませんが、「だって好きなんだもん」くらいの返事をしていたでしょうか。

人生で出合った水色で

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いまよういろ

いまよういろ

今日は〈今様色/いまよういろ〉について。
JIS慣用色名によると「強い紫みの赤」

今様とは、平安時代の「今、流行りの」という意味です。
あの時代のトレンドカラーだったというわけですね。
男女関係なく流行ったのでしょうか?
男性の衣装にこういう色を使っていたら、オシャレでいいと思います。

『源氏物語』の「玉鬘」の巻にこの色名が使われているというので調べました。
歳末、源氏は世話をしている女君たち

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かめのぞき

かめのぞき

色には興味関心があります。
読書のように「好きだー!」とアピールするほどではないけれど、なんとなくふんわりと好き。
気づけば、関連する本もけっこうな数を集めていました。

世界は色彩にあふれていますね。
心に及ぼす影響は少なくないでしょう。

色について、つらつらと綴っていきたいと思います。
この分野においてはまったくの素人なので、知識より感じたことを。

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初っ端は〈甕覗/

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再び

再び

noteを新規登録したのは5カ月前。
いくつか記事を書いたきり放置状態でした。
「あるある」かしら?

人生何が起こるか分からない、脱皮して新しい自分を生きよう。
そう決意してnoteを始めたよね、私。

新年度も始まったことだし、仕切り直しだー。

毎日投稿は無理でも、せめて週2、3回くらいは書きたい。
最初からハードルを高くすると挫けてしまうタイプなので、そこはマイペースで。

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文明の利器よ、ありがとう

文明の利器よ、ありがとう

所用で、およそ1,500キロの旅をしてきた。
思いがけない雪でスケジュールが大幅に変更となり、キツキツの強行軍。
ヘロヘロになって帰宅した。

やっと愛する我が家でゆっくりできる。

と思ったのもつかの間、なんとコロナに感染してしまった。

発熱、咽頭通、頭痛、鼻づまり、倦怠感。
具合の悪さにイライラ感は募るけれど、どうにもならない。
ベッドの中でひたすら忍耐の一週間を過ごした。

とは言え、熱が

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人生の課題図書

人生の課題図書

今では読書家を自認している私だが、子どもの頃は本を読むことが大嫌いだった。
家で静かに遊ぶより、野山を駆け回っているほうが性に合っていた。

当然、夏休みの宿題に出される読書感想文は毎回手こずった。
薄ーい本を選んで、あらすじを書いて最後の2行ほどで感想を述べる。
やる気のなさ全開である。
そんなわけだから、〈課題図書〉は読んだことがない。

あれからン十年。
毎日何かしらの本を読む日々を送るよう

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これに色気を感じる自分て……

これに色気を感じる自分て……

アートが好き。
特に西洋絵画は、年に何度か展覧会に行くくらいには好きだ。

レオナルド・ダ・ヴィンチ?
ええ、好きですよ。

【レオナルド・ダ・ヴィンチの「解剖手稿A」 人体の秘密にメスを入れた天才のデッサン】
本書は解剖の研究に関する手稿で、オリジナルはイギリスの王立図書館に所蔵されているそう。

解剖学?
まったくの門外漢ですよ。

でもね、なぜか惹かれてしまった。
最初は図書館で借りたのだけ

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再読はあまりしないけれど

再読はあまりしないけれど

月に15冊ほどの本を読む。
書店で。
図書館で。
読みたい本が視界にどっと押し寄せてくるのを遮れない。

だからというわけではないけれど、再読はあまりしない。
しないのだが、例外もある。

諸田玲子『楠の実が熟すまで』
江戸時代、公家の不正を幕府が摘発した”安永の御所騒動”に材を取った小説だ。
ヒロインは、不正を暴くためスパイとして公家の屋敷に乗り込む。
嫁として体を張っての隠密御用である。
きな

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