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喜び 悲しみ 醜さ 美しさの結晶 生命を燃やして生き抜いた 僕の証達です。
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【姉なる薫風】

【姉なる薫風】

薫風が静かに僕を抱きしめて

さらっと塵を洗い流す

彼女は軽やかに囁いて

水色の雲へと旅立った

「そのうちすぐ帰ってくるよ」

ご機嫌なウィンクを僕に送って

ステップを踏んで空を舞った

木漏れ日が足をマッサージ

程よい加減が心地よい

幼い空気が微醺を運び

僕も青空に潜り込む

この青空を泳ぎ切る頃に

僕は彼女とまた会えるか

僕は彼女の胸に顔を埋めることを切望して

あるのかない

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【蟷螂の法悦】

【蟷螂の法悦】

鏡の中で踊る蟷螂 新郎新婦による 恍惚ショー

ハープの音による 生命の描画  

銀嶺な山が赤く染まる

止まることなく 揺れるマスカット

光る海面には揺籠が浮かぶ

海一面を染める白ワイン

雲は綿菓子となり夥しい数 空を駆ける

硬い 硬い 金属質な音の羅列が

蚊柱となり青空を犯す

落ちる 落ちる 海底に沈む 金属質な音の羅列

海一面は赤ワイン 

一筋の光 弦の音 天を摩する E線

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【おしまい2】

【おしまい2】

【おしまい2】

青空が崩れ落ちてゆく

巨大な質量を持ったパズルのピースが無数に降り注いでくる

僕らが信じたあの空は 剥き出しの白いデータだった。

ハンドルは火の輪に形を変え 

ワイパーは蛇に姿を変え

車を離れて宙を這う

噴水のように白線があちらこちらで吹き上がる

鏡はありのままを写し

草木は大地をミイラにした

荒唐無稽な光景に

悲しむ人は誰もいない

人々は酒を不要とし、紫煙

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【はにかむキミよ】

【はにかむキミよ】

貴女の表情には永遠に無垢なる少女が宿っている。

3歳頃の純心な不可侵の笑みを宿している

母の笑顔はブーケの笑顔

少女の笑顔はプリンセス

紫色のドレスを纏いミッキーのぬいぐるみをねだる。

白髪の老婆の月輪に蒼き香りのウェディング

花嫁の涙のその奥には夕焼けに寄せ合うヒストリー

僕は歴史の旅人で 貴女の世界の流浪の民

貴女の笑顔は永遠だ

永遠を僕が保証する

遠い思い出に僕がいて 言

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【腹上死】

【腹上死】

さぁさぁ皆様 ご一緒に

調子を合わせて腹上死

論理も狂気も騒々しいなら

高貴な箒で大掃除

さっさっさ さっさっさ

グラジオラスは大通りを避けてこっそりと抱擁し

動悸は徐々に高揚に 最後にはそっと腹上死

道徳心ほど毒々しい

恍惚心こそ尊い

もういい もういい 早々に

お出かけしましょう ご一緒に

同時に陽気に腹上死

正気の沙汰の腹上死

幼児のように無垢な情死

上質な情死 

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【カルガモパーク】

【カルガモパーク】

カルガモがおしゃべりしながら散歩してる

ぴょこぴょこ ぴょこぴょこ 空の下

肩を並べて歩いてる 顔を見つめて歩いてる

風がそーっとやって来て 葉っぱもわいわい歌いだす

木陰で蟻が楽しくピクニック

今の僕はみんな友達

マガモたちがおしゃべりしながら泳いでる

ぱっちゃぱっちゃ ぱっちゃぱっちゃ水の上

列を作ってすいすいと 少し早めのプール開き

光がすーっと差し込んで 葉っぱのこころを

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【ゆく友へ】

【ゆく友へ】

キミゆけば 明日の私はまた1人

キミも同じくまた1人 

花残り月も去る今日日

明日の戦は個々のもの

抗う術などなくしても

風に吹かれてキミよ行け

時には夕陽に立ち止まり

夜の明かりに語らって

昨日の談笑に涙し

飄々と今日を生き残れ

公園のベンチは今広く

大の字になり空を仰ぐ

紺色の草木が身を包み

夜風が昨日を空に映す

おやすみキミよ また会おう

明日の先でまた会おう

【風のうた】

【風のうた】

メロディが風に吹かれて跳ね回る。

昨日の僕が知らなかった うららかな歌を連れてくる。

彩雲が鳥を形造り 雄々しい翼が空に舞う。

鳥の背中で少年は青藍に笑みを投げかけた。

電線に止まる鳥たちは 空に描かれた五線譜。

弾むリズムは朗らかに 大地を駆ける春のトリル。

風のタクトの思うまま 

揺れる菜花に相乗りして

あっちにこっちに風まかせ

昨日の自分も今日の自分も明日の自分も気分次第

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【瓦解】

【瓦解】

酒に深淵が暴かれる時

両目は奥行きを見つめ続けて、意識は天と融和する。

もう僕に泥酔の感覚はなく、ただ麻酔のようにタナトスを流し込みながら死神を肺に招待しているに過ぎない。

ガタガタと自分が崩れ落ちていく音を感じるが、不思議と不快感や不安はなかった。

土砂まみれの瓦礫の真ん中から光が溢れ

神々しい解放の兆しが魂を浄化させるのを感じる。

今わかった。

崩れ落ちてゆく自分は死体になってい

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【落葉】

【落葉】

あれだけ特別だった君の誕生日が
なんでもない日になりました。

カレンダーに輝く文字が虚しく胸を張っていたけれども
そんな現実はまるで元からなかったかのように
なんでもない空っぽの平日を過ごしました。

あと2年もすれば君の誕生日は薄れてゆき
「あぁ、そういえば」とふと思い出す落ち葉のような記憶に変わりゆくのでしょう。

お誕生日おめでとうございました。

【深海】

【深海】

忘れ去られた深海の中 
少女がそっと手を伸ばす。

翼のようにしなやかな白皙の腕が蒼を纏う。

優しい波にさらわれて、僕は海底と同化する。

潜り込んだゆりかごの世界 僕は大地に背を向けた。

重力が刻を飲み込んで水圧の中に消失した。

海中に響くアルペジオが螺旋階段を形作る。

音の粒子は光を放ち 歩みの世界を彼女に示唆する。

少女は陽射しに導かれ大地を目指して海を舞い

いかなる白より嫋やか

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【のっぺらぼうな太陽へ】

【のっぺらぼうな太陽へ】

1人の孤独は世界の孤独 

時が止まった部屋の中の孤独

カラカラの腹に紫煙の殴打

コーラとウォッカが喉を横断

空腹とは孤独の別名称

倦怠感だけが僕にメンション

陽射しは退屈を浄化せずに無機質にぼうっと輝き続ける。

口に広がる煙草の味

無音の昼下がり 誰もいない町。

無味無臭こそが心の死。

あぁ、刺激。刺激。心の火!!

退屈よ!!お前の目論見通りにはさせない!!

私の生命を見く

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【パラノイア】

【パラノイア】

一滴の涙が僕の胸を突く

心の水面に ぴちゃっ と波及し 溶解し 重なり合う

涙の味は少女の味 桃色の頬の熱の味

遺伝子の彼方からこだまする 

37.0 ℃の白い吐息

少女の匂いが僕を抱き

少女は僕に包まれる

硝子に浮かぶ 綿の雪

茶色い尻尾が地を張って

脈打つ大地がせめぎ合う

血潮の生命は今にあり 遠い未来へと血を送る。

再び、涙を結晶化して

凍土の中心から、また濡れてきて

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【思い出の重力】

思い出が僕の心を押しつぶす。

遠い 遠い 無邪気な空

そこから溢れ 逆流した 何千トンもの思い出が

あの日の景色が あの笑顔が

走馬灯のよう駆け巡り

戻れぬ日々がのしかかる。

貴女の笑顔は今いずこ

貴女の心は今いずこ

いや もういない いないんだ

僕の世界にはいないんだ。

過ごした日々は消えやしない

消えやしないから なお寂しい

いっそはじめから なかったら

いいえ、やっ

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