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祖母と私のつれづれぐさ

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#家族

私と弟とこのせかい

「オレは、あの家じゃ日陰の存在だった」とよく弟は言っていた。
あの家、とは父親の実家のことだ。私は昔から学校の成績はよかった。
受験もまぁ成功した方に入るだろう。それを口々にみんなが褒める。弟は、あまり勉強は得意な方ではなかったため、言外に「それに引き換え弟くんはねぇ」という空気を感じていたのかもしれない。そんなこと思っていない、と本人たちはいうに違いないが、意識してるかそうでないかの違いだけだ。

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死にたいと言う気持ち

祖母は抗がん剤を打ったその日から2,3日は非常に調子がいい。
食欲もあるし、何かと積極的にやろうとするし、何より明るい。孫ながらうちのばあさんは可愛らしいなと思う。
がしかし、副作用がおおよそ3日後ぐらいに現れる。すなわち発熱だ。そうなると食欲も落ちるし、彼女の気分も落ち込む。
「ああ、死にたい、死にたいわぁ」とぼやく。

伯母(祖父母の面倒をみると言って毎月乗りこんで来ている)は自他共に認めるマ

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大好きだった祖母、大嫌いな祖母

小さい頃から母方の祖母が大好きだ。
しっかりしていて何でもきびきびこなす。私の最大の理解者。怒ったりなんかしないでいつでも私に優しい。
そう信じていたからこそ、あの夜祖母を頼り、今こうして一緒に暮らしている。

けれど、私が二十数年信じ続けていたそれが、間違いだったことにしばらくして気づく。
まずは日頃の生活態度。実家にいる頃家族みんながしていただらしなさはもう許されるものではなかった。休みの日に

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