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30日間の革命

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#連載小説

30日間の革命 #毎日小説5日目

30日間の革命 #毎日小説5日目

 ”革命”

 この言葉を聞いたのは、確か世界史の授業が最後だったかもしれない。加賀は色々な思考を巡らせた。

 (これは冗談なのか?また俺をからかってるのか?)

 しかし、坂本の表情を見る限り、ふざけて言っているようには見えないし、何よりその言葉に強い想いが込められているようにも感じた。

 「革命って、フランス革命とか産業革命とかの革命?」

 「うん。その革命だよ」

 「まじ?」

 「

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30日間の革命 #毎日小説21日目

30日間の革命 #毎日小説21日目

 加賀は一瞬固まった。何で馬場がそんなことを知っているのか分からなかった。革命を起こすための活動は最近始まったばかりで、現時点で知っているのは、坂本と森下と加賀だけである。手崎や神原にもコンタクトをとっていたが、革命の話はまだしていない。

 「ごめん、それってどういうこと?」

 加賀は、馬場からもっと情報を聞き出すべく質問をした。

 「どうもこうも、今言ったことそのままですよ。多分坂本先輩を

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30日間の革命 #毎日小説24日目

30日間の革命 #毎日小説24日目

 そこには、見知らぬ顔の二人と加賀がいるだけだった。馬場の想定では、坂本もこの場にいるはずだったが、坂本の姿は見当たらない。そして、この二人は誰なんだ。そんな思いがけぬ事態に、馬場は少し混乱していた。

 「お、馬場君も来たね。それじゃ、始めよっか」

 加賀は、皆がそろったことを確認して話し始めた。

 「ちょっと待ってください。すいませんが、まずこちらのお二人はどなたですか?」

 馬場は話を

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30日間の革命 #毎日小説25日目

30日間の革命 #毎日小説25日目

 それから加賀は、神原たちに革命についての計画を全て打ち明けた。その話を聞きながら、手崎はあることに気が付いた。

 (そっか。加賀先輩が私に話しかけてくれたのは、この計画のためだったんだ)

 内心とても嬉しかった。地味で目立たない自分に声をかけてくれ、このとんでもない計画の仲間にも誘ってくれた。正直、革命については何も想像は出来ないが、これから加賀と一緒に何かをやれるということだけで、手崎は断

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30日間の革命 #毎日小説33日目

30日間の革命 #毎日小説33日目

 集会当日の朝、準備のためメンバー全員は学校が開門する7時30分に学校へ集合した。

 「やべー。いつもならまだ余裕で寝てる時間だよ」

 加賀はまだ眠たそうに目をこすりながら話した。そんな加賀にお構いなしで、坂本はメンバーへ呼びかけた。

 「さあ、最終準備と流れの確認を行うわよ」

 第二視聴覚室にて、イスのセッティングや簡単なリハーサルなど、最終準備が行われた。会場のセッティングは前日までに

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30日間の革命 #毎日小説34日目

30日間の革命 #毎日小説34日目

 会場は少しざわめいた。そして、近くにいたメンバーたちも動揺を隠せなかった。いきなり”革命”と言われても、理解できるはずがない。一人ひとりに説明するならまだしも、30人の前では通じないのではないかと不安になった。事実、学生たちの中には、少し笑ってひそひそと話し合う姿も見られた。しかし、坂本はそんな状況を一切気にせず話を続けた。

 「まず始めにみんなに分かっておいてほしいのは、今言ったこと、そして

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30日間の革命 #毎日小説35日目

30日間の革命 #毎日小説35日目

 それから坂本は、革命の実行について少しだけ具体的な話をした。文化祭の日に、どのように何を行うつもりなのか。最初は少しざわついていた学生たちも、いつしか真剣に聞いていた。

 時折学生からの質問も受けながら、坂本は30分ほど話した。そして、最後に学生たちへこう呼びかけた。

 「私たちは”白の会”として、この活動を行っていきます。もし今日の話しを聞いて、興味を持ったら、このサイトにアクセスしてみて

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30日間の革命 #毎日小説36日目

30日間の革命 #毎日小説36日目

 日頃から、厳しい校則に不満を持っていた学生も多く、そして、坂本たちが立ち上げたということも話題となり、学生の間では白の会の噂が一気に広まっていた。数日が経つ頃には、

 「生徒会長とかが、学校でクーデターを起こすらしいよ」

 「先生たちに反抗するんだってさ」

 「学校乗っ取るつもりなんだって」

 などと言った、正確ではない噂まで出てきていた。

 「これはちょっとまずいんじゃないかな」

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30日間の革命 #毎日小説37日目

30日間の革命 #毎日小説37日目

 「次の集会は100人規模の大きなものを行います。そして、ここから白の会のメンバーも増やしていきます」

 坂本たちは、再び放課後に第二視聴覚室で集まり、ミーティングをしていた。革命を大きく動かすための、次なる集会の計画を立てているところだった。

 「100人規模となると、この教室じゃ人は入りきらないよね。体育館じゃないと無理かな」

 加賀が坂本へ問いかけた。

 「そうね。普通の教室じゃ10

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30日間の革命 #毎日小説38日目

30日間の革命 #毎日小説38日目

 次の集会は、白の会の活動にとって大きな試金石となる。そう坂本は思っていた。学校行事でもないので、自主的に学生たちに「参加したい」と思わせなければならないということ。そして、何よりこの集会を成功させなければ、革命自体も達成するのが難しくなるということ。100人の気持ちを動かすことも出来なければ、自分たちで学校を変えることなんて到底できることじゃない。そう坂本は思っていた。

 そこにきて、更に不安

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30日間の革命 #毎日小説39日目

30日間の革命 #毎日小説39日目

 翌日加賀は、またいつもよりも早めに登校した。目的は坂本と会うためである。加賀は、坂本に話があるときは決まって早めに登校し、その道すがら話しをすることにしていた。何せ、坂本はいつも全く同じ時間、全く同じ通学路で通っているため、見つけやすいのであった。そして、いつも通り、通学中の坂本を見つけることが出来た。

 「小春! おはよう」

 「あらセトおはよう。今日も早いってことは、何か相談でもあるの?

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30日間の革命 #毎日小説40日目

30日間の革命 #毎日小説40日目

 その日からメンバーは各班に分かれて、それぞれの役割に応じて行動を開始した。坂本と馬場は第二視聴覚室にて、集会の内容と今後の展開などを計画し、加賀、神原、手崎は集会への参加者を集めるべく、色々な学生へ声をかけていた。

 「しかし、100人集めるって結構大変だよな。3人で分担すると、単純計算でも1人33人くらいは集めなきゃいけないなんて割と無茶だよな」

 加賀は、神原と手崎と時折図書室に集まって

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30日間の革命 #毎日小説41日目

30日間の革命 #毎日小説41日目

 高校3年生の夏は、進路を決めるとても重要な時期となる。それは坂本や加賀たちも変わらない。進学するのか、それとも就職するのか。その選択を迫られていた。

 武蔵中央高校では、毎年6月中旬に三者面談が行われる。保護者が学校へ来て、担任との面談を行う。

 加賀家でも、この話しは避けて通れなかった。

 「ちょっとセト、あんた勉強とかしてるの? 進路とかどう考えてるのよ」

 最近、夕食のときには必ず

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30日間の革命 #毎日小説42日目

30日間の革命 #毎日小説42日目

 6月に入ってから、気温は急に上昇し始めていた。日中は30度を超す日もあり、夏服に衣替えした学生たちは、既にうちわなどを持ち寄る姿も見られていた。

 加賀は翌日、いつも通り始業ギリギリの時間に登校した。少し走ったため、既に少し汗ばんでおり、自分の席につくなりさっそくカバンからうちわを取り出しあおいだ。

 「あちー。まじでこのペースで暑くなったら、いよいよ日本も四季がなくなるな」

 すると、前

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