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わたしのアイデンティティは国家に依存しない
頑張って生きてきた。
本当に頑張った。
頑張っていれば
必ず
きっと必ず
その先に明るい未来がある
幸せがある。
そう信じていた。
父はよく言った。
「継続は力なり」
「力」の意味は
安心な日々が続くことだ。
不安な毎日ではない。
その言葉を信じていた。
夜空に月を見つければ
いつも祈っていた。
苦しいことや悲しいことは
人には言えなかったけど、
月を見ているときだけは
心の内を
信じる心 それが欲しかった
紅葉した木から、葉がはらりと下に落ちる。
そっと手をのばした。
葉は手に触れず、静かに水面に落ちた。
ただの、普通が欲しかった。
普通になりたかった。
みんなと同じになりたかった。
そして、それが幸せだと思っていた。
「普通」とは、なんだろう?
いつもみんなと違う「ハーフ」「ガイジン」の自分には、「普通」がわからない。
顔を変えたらいいのか。
名前を変えたらいいのか。
肌の色を変えたら
みんなとちがう「わたし」かけがえのない「自分」
自分は、いったい、なにものだろうか。
このことについて考えだすと、
心が痛む。
ありもしない臓器の、
いったいどこが痛むのか。
誰かに相談したいと、一度も思わなかった。
誰かに相談して解決できると思わなかった。
自分でもわからない問題を、
他の誰が解決できるというのか。
このまま抱えながら
生きていくのだと思っていた。
この問題から離れたかった。
もう考えたくなかった。
それなのに
「たとえ、だれもいなくても」ハーフとして
先日、子供のお友達のお母さんに「ハーフですか」と聞かれた。
久しぶりに聞いた言葉だった。大人になってから、あまり聞かなくなったから。
私を一目見れば、完全な日本人でないことに気づくはずだ。白い肌、茶色の髪、高い鼻、明るい茶色の目、一般的な日本人とは違う。
「ハーフ」という言葉、やっぱり好きになれない。
子供の頃から自分を説明するたびに話していた。何度も使いすぎた言葉、そして何度も聞きすぎた
エミリーは みんなと ちがう
わたしの かみは
みんなと ちがう
わたしの はだは
みんなと ちがう わたしの めは
みんなと ちがう わたしの はなは
みんなと ちがう
わたしの かおは
みんなと ちがう
わたしの ことばは
みんなと ちがうわたしの たべものは
みんなと ちがうわたしの ようふくは
みんなと ちがう
わたしの おやは
みんなと ちがう
わたしの すべてが
みんなと ちがう
わ